岡村陽久の勝手にしやがれ

あなたの相談を岡村流「勝手な解釈」で解決。ITのことから、世の中、男女、不条理まで

【第1回】「誰もわかってない!」漢(おとこ)岡村がサイバー藤田社長炎上問題を斬る

アドウェイズ社長の岡村陽久がユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ。

 

第1回目の話を聞きに、指定された北新宿の焼き肉屋で岡村と対面。早速ひとつめの質問をぶつけようとすると、岡村の方から今回はどうしても言いたいことがあるという。それは、サイバーエージェント(以下、CA)の藤田晋社長の炎上問題のことだった。

 

Yahoo!ニュース - 炎上は計算? 藤田社長ブログ(2014年10月3日(金)掲載

 

藤田社長がNIKKEIに掲載した記事で炎上した件について、CAに3回落ちた自称業界一のサイバーマニア、アドウェイズCEO岡村陽久と、アドウェイズ人事戦略室西久保剛の二人が、CAについて、藤田社長の真意について、あくまでも各人の「勝手な解釈」という前提で語り始めた。

 

f:id:okuri_bunt:20141101221209j:plainCAの藤田社長のことなど微塵も知らないであろう焼肉「若葉」の店主と奥様。

 

相手の人生まで想って怒る、それがサイバーエージェント

 

今回の騒動で藤田さんを批判する人たちはなにもわかっていない、というのは一体どういうことですか?

  

岡村:まず、藤田さんはあの記事を誰に向かって話してると思いますか? 辞めた本人に、ですよ。

 

本人、ですか?

 

岡村:あの記事は本人に向けた言葉です。藤田さんは感情に任せて単純に怒るような人じゃないですよ。怒る時は相手の人生まで考えて怒るような人なんだから。

 

f:id:okuri_bunt:20141101221317j:plain飲む水はAmeba waterと決めている筋金入のCAマニア岡村。 

 

退職した本人になにかを伝えたかったんですか?

 

岡村:人の信頼を裏切るような人間になってほしくない、ってことです。

今回退職した人って、会社から信頼されて任された事業を途中で放り出して辞めたわけでしょ。会社に対してだけじゃなくて、一緒に働いてた仲間とか取引先企業も裏切ったことになる。これは人として絶対にやっちゃいけないことですよ。藤田さんはこの裏切り行為に対して激怒したわけで、裏を返せば、そんな人間になってほしくない、って思いがあるんです。

 

本人に対する単純な怒りなんて、藤田さんにはなかったと。

 

岡村:そうです。まあ、僕の勝手な解釈ですけど。ネットで批判してる人たちは誰もCAという会社をわかってないけど、どんな会社なのか、社員に会えばわかるんですよ。みんな仲間をとても大切にする人たちなんです。だから、怒るときは相手の人生のことまで考えて、というのは藤田さんだけじゃないですよ。

 

CA社員の身体からにじみ出すサイバー汁とは?

 

西久保:こんな話があるんですけど。昔、CAの担当をしていたアドウェイズの新卒社員がとんでもないミスをしたことがあったんです。その社員の上司が一緒に謝罪に行って「申し訳ありませんでした。担当を替えます」と言ったところ、CAの責任者の方が激怒したんです。「バカヤロウ!」と。そんな風に怒鳴られたら、担当を替えるだけじゃ許されないのかと思うじゃないですか。でも、次に出た言葉は「ミスした社員にもう一度チャンスを与えるのが上司の責任だろう。自分の部下を信用できないような会社と付き合えるか」って。

 

f:id:okuri_bunt:20141101222857j:plainもちろん西久保が 飲む水もAmeba water。ちなみに藤田社長と面識はない。

 

岡村:藤田さんが記事で書いてる「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを」って言葉そのままでしょ。サイバー汁がドバドバ溢れてる。

 

なんですか、そのサイバー汁って? 

 

岡村: CAらしさ、藤田さんの魂、っていうのか、社員の間には藤田マインドがしっかり浸透して、社員の身体から滲み出てくるんですよ。それを僕らはサイバー汁って呼んでて。

 

えーと、具体的にはどういうことなんでしょう…?

 

岡村:仕事にとことん一生懸命なこと。そして、とにかく本当の意味で人を大切にする。一番の特徴はこの2点です。一緒に仕事する仲間だけじゃなくて取引先、業界全体のことも良くしたいと思いながら働いてる人がたくさんいるんです。こういう人は自然と身体からサイバー汁がにじみ出てくる。匂いもわかる(笑) 

 

f:id:okuri_bunt:20141101223347j:plain手前が名物「天使のとりナンコツ」。Ameba waterとの相性も抜群。

 

f:id:okuri_bunt:20141101223820j:plain同じく名物「キングホルモン」。言うまでもなくAmeba waterとの相性は抜群だ。

 

サイバー汁にも負けない、義理と人情が自慢のアド汁

 

アドウェイズにはそういう汁的なものはないんですかね?

 

西久保:ありますよアドウェイズ汁、アド汁。負けてないですからねサイバー汁には。

 

岡村:結構似てるんですけどね。人を大切にする、とか、仕事にとことん一生懸命、というのは共通してます。うちの特徴は、義理と人情。

 

西久保:ある意味、時代遅れなくらい思いやりの心を重視してるのがアド汁ですね。万人に受け入れられるサイバー汁と違って、アド汁はちょっと人を選びますね。腹壊す人もいるかもしれない(笑)

 

—飲むと健康になりそうな名前なんですけどね。アド汁。

 

新規事業の強烈なプレッシャーから逃げてしまったのでは?

 

岡村:これはあくまで僕の勝手な解釈だけれど、今回辞めた人だってサイバー汁を持った人だったんじゃないかと思うんですよ。

 

新規事業を任されていたくらいだからサイバー汁たっぷりだったんでしょうね。そんな人がなんで辞めるんでしょう?

 

岡村:辛かったんでしょう。新規事業って要は絵に描いた餅じゃないですか。コストと時間ばかりかかって、軌道に乗るまでは売上げがまるで出ない。その強烈なプレッシャーに耐えられなくて逃げ出したかったのかもしれない。そんなときに競合他社からいい条件で誘われて、辞めちゃったんじゃないかな。

 

なるほど。そして、藤田さんは本人に対してではなく、周囲の人を裏切った、行為そのものに対して激怒した。人の信頼を裏切るような人になって欲しくなかった、という思いをこめて激怒したと。これって、CAの人から直接聞いたことなんですかね?

 

岡村:いや、僕の勝手な解釈です。

 

f:id:okuri_bunt:20141101224052j:plain藤田社長の考えは手に取るように分かる!と語る岡村だがCAの採用には3度落ちている。

 

岡村が逃げ出した17の夜

 

わかりました。でも、本人のためを思って怒るのなら直接呼び出すとか、せめてブログでもよかったのに、日経新聞というマスメディアで公開する必要はあるんですか?

 

岡村:日経で公開する必要があったんですよ。同じことを繰り返させないためには、本当に強烈にやらなくちゃ本人には伝わらないんです。あの、みんな、辛いことから逃げた記憶ってないですか?今回の話で僕自身の苦い体験を思い出したんですけど。

 

どんな体験ですか?

 

岡村:実は僕、会社をクビになったことがあるんです。

 

え、クビですか?

 

岡村:17歳のときに布団の訪問販売の会社で働いてたんですけど、これがまるっきり売れなかった。売れないことが辛くて辛くて、毎日外回りに出ると喫茶店で漫画読んでサボってたんですよ。この布団屋の社長は息子くらいの年の僕を本当にかわいがってくれてたんですけど、サボってたことが社長に勘付かれて、ある日、寮の部屋に乗り込んできてぶん殴られたんです。「お前は戦力外や!」て。

 

な、なるほど。

 

岡村:殴るだけじゃないですよ。住んでいた寮まで追い出されたんですよ。息子同然にかわいがられてた僕としては、完全に想定外だった。僕も社長を恨みましたよ。まだガキの僕から住むところまで奪うことないだろうと。これは犯罪なんじゃないかって(笑)。とにかく恨んで恨んで…。でも、よく考えたら明らかに僕が悪いわけじゃないですか。サボって漫画読んでたわけだから。それで辛い仕事から逃げていたことを後悔するようになって。ちなみに、今でもめっちゃくちゃ後悔してることですよ。

 

後悔することで社長を恨む気持ちはなくなったんですか?

 

岡村:恨みから一転して感謝するようになりましたよ。今の僕があるのは、あの経験のおかげです。ちなみに、その後入社した空調設備の会社で仕事がうまく行った頃、布団屋の社長に会いに行ったんです。そしたら社長がすごく喜んでくれたんですよね。結論、殴られて寮を追い出されたことで、僕は自分が犯した過ちの重さを実感できたんです。社長もそこまでわかっていて心を鬼にしてくれてたんですよ。ただクビになるだけ、ただ殴られるだけだったら、ちょっと反省するだけで、次の会社でも、いや、もしかしたら一生同じことを繰り返してたかもしれない。卑怯な人間になってたかもしれない。藤田さんも、本当にその人のことを思ってるからこそ、日経に記事を出したんです。

 

愛情の裏返しですよ。

 

f:id:okuri_bunt:20141101224519j:plain愛情の裏返しの横で肉を裏返す、おくりバント高山。自己犠牲の精神で黙々と焼く。

f:id:okuri_bunt:20141101224718j:plain焼きが甘いとトングを取り上げられた高山。岡村から戦力外通告を受けここで退店。

 

なるほど!藤田さんがあえて日経で記事を公開したことは、本人に過ちの大きさを実感して二度と繰り返してほしくない、という意味だったんですね?

 

岡村:その通り。やっぱ藤田さん、すげー。

 

ちなみに、今おっしゃった藤田さんの真意というのは…?

 

岡村:もちろん、僕の勝手な解釈です。

 

はい。

 

毎月100人の社員とランチを一緒に食べる藤田社長

 

西久保:今、岡村が言ったことはもちろんそうなんですけど、藤田さんは組織のことも考えてるんだと思いますよ。ご本人が「一罰百戒」と表現しているように、今回の事例で社長としての考え方、態度をはっきりと全社員に伝えて、今後の抑止力にしていると思いますね。だって、藤田さんて社員一人一人のことをとてもよく知ってる人なんですよ。50人体制の人事部が全社員を3ヶ月ごとに面談して、藤田さん自身も毎月100人の社員とランチを一緒に食べて広く交流する。会社としてたくさんの制度を作っていく際にも、その制度で困る、嫌がる人間は誰か?ということを常に分析している人ですからね。

 

岡村:毎月100人の社員とメシに行く社長なんていないですよ。

 

西久保:そこまでやる人ですから、ニュースメディアを使って炎上することも計算に入れた上で、藤田さんの真意は社員にちゃんと伝わってると思います。

 

それは勝手な解釈と判断してよろしいですか?

 

西久保:はい。解釈というか、ほとんど希望です。

 

岡村:今後同じような人が出ないように。二度とこういう人を出したくない、という藤田さんなりのメッセージだったわけで。それは怒りとは真逆の懺悔に近い心境じゃないでしょうか。社内限定で発信するより、社員全体のためを考えたら日経で正解だった。

 

なるほど。藤田さんの行動はあくまでも辞めた本人と社員みんなの今後のためだったというわけですね。

 

岡村:その通りです。今回辞めた社員もいつか藤田さんに感謝して挨拶しに来ると思いますよ。

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二人の愛読書はもちろん「起業家」。Ameba waterとの相性はもちろん抜群だ。

 

アドウェイズを辞めても、ずっと社員だと思ってる

 

アドウェイズも辞めた人たちがいると思いますけど、そういう人が会いに来たら岡村さんはどうしますか?

 

岡村:うちもこれまでたくさんの社員が辞めていったけど、今いる社員も辞めた社員もみんなアドウェイズの社員だと思ってる。今だけ他の会社に出向してる、て僕は考えるようにしてるんですよ。まあ、でも、何回も出たり入ったりされても困るんで、再入社はひとり5回まで、と厳しく決めてます。

 

5回とはファイブタイムスチャンピオンと呼ばれた、アーネストホースのK-1優勝回数と奇しくも同じですね。今日は長い時間お話しいただき、どうもありがとうございました。

 

岡村:ありがとうございました。ところで、お腹減ってるでしょ?肉食べましょう。すいませーん、キングホルモン4人前。どんどん持ってきて!

 

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※本記事および対談の内容は株式会社サイバーエージェントとは一切関係がありません。

岡村陽久氏、西久保剛氏、および株式会社おくりバントによる創作です。

 

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■撮影協力『若葉』

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東京都新宿区北新宿2-2-5 03-3362-6617

噛めば噛むほど旨味が拡がる鶏ナンコツやキングホルモンが人気。カウンターと小さな座敷のみのお店なので事前に予約を。

 

編集・構成:小沼朋治

写真:堀裕輝