アドウェイズ社長の岡村陽久がユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第3回。
前回のインタビュー時に「サスペンス映画は10分見れば、8割以上の確率で犯人を当てられる」と豪語した岡村。ドードーばりに人を疑う事を知らないおくりバント社長の高山は、危うく岡村の話を鵜呑みにするところだったが、そこに「ちょっと待った~!」をかける人物が現れた。
「10分で8割当てるというのはあり得ないと思いますよ」。数々の映画メディアで記事を執筆するライターの中村女史である。
そこで、第1回、第2回に引き続き、急遽ユーザーのお悩み相談を中断して、「サスペンス映画 犯人当てクイズ」を実施。岡村にサスペンス映画を強制的に10分間鑑賞させ、犯人を当てさせるという企画だ。
「ただいま休憩中」という岡村に呼び出された先は、またもや西新宿五丁目商店街。またひげ剃りか…と思った矢先に飛込んで来たのは、バナナを食べる岡村の姿であった。
今、我々と岡村の真剣勝負が始まる。
決戦の舞台に選ばれたことなど微塵も知らないであろう「本田商店」のトシコさん。
高山:何やってんですか…。
岡村:そんなバナナって顔してますね。ハッハッハ。
高山:…。そんなことより、まさか忘れたとか言わないでしょうね?
岡村:え、何を?
高山:前回のインタビューで「サスペンス映画は10分見れば、8割以上の確率で犯人を当てられる」と言いましたよね?
岡村:はい。10分見れば、8割以上の確率で犯人を当てられます。
高山:ファイナルアンサー?
岡村:ウッス。
高山:ならば今日は、映画に大変造詣の深いライターの中村さんと真剣勝負をしてください!
岡村:ハッハッハ。いつ、何時、誰の挑戦でも受けるのが岡村イズム。中村、出てこい!
中村:(苦笑)。よろしくお願いします。今日は犯人当てクイズに相応しいサスペンス作品3本を用意しました。どの映画も怪しい人物がたくさん登場するので10分だけで真犯人を当てるのは難しいと思いますけどね(キッパリ)。
岡村:ノー問題。
中村:序盤からヒントになりそうな10分間をピックアップしましたので、観賞して犯人を当ててください。映画公式サイトの人物相関図の参照は可とします。
筋金入りのCAマニアであり、筋金入りのサスペンスマニアであり、筋金入りのバナナマニアでもあった岡村。
※ネタバレ注意
問いに出てくる映画の犯人を知りたくない方は閲覧しないようにご注意ください。
【第1問】『渇き。』
中村:まずは役所広司と小松菜奈が主演の『渇き。』です。とりあえず観てもらいましょう。
岡村:いや、ちょっと待って。この映画に関しては公式サイトの相関図だけで犯人がわかりそうですね。
中村:公式サイトの顔写真だけで、ですか?
岡村:推理の流れは3段階です。まずは、役者の格で絞り込みます。真犯人って主役みたいなもんですから、主役と同レベルの格じゃないといけません。次に表情。当然ですけど、演じてる本人は自分が真犯人だってことを知ってるんで、それを隠そうというのが表情に出ちゃってるんですよね。
中村:なるほど…。
岡村:最後に偽の犯人、つまり引っかけを見抜きます。サスペンスの醍醐味って「相手をいかに欺くか?」なので、二重三重にトラップが仕掛けてあるじゃないですか。怪しい男性が実は犯人じゃなくて、ノーマークだった女性が真犯人だった!みたいな。そのサプライズを楽しみたくて、サスペンス映画を観てるといっても過言ではないです。この人だったら驚くな〜っていうのが大体は真犯人ですね。
中村:制作者サイドから犯人を推理するってことですが、ぶっちゃけ邪道ですね(笑)。ひと昔前に流行った受験テクニックぽいですが。
岡村:当たればいいんです。この映画は、その3段階で犯人をズバリ当てられるんです。まず、役者の格からすると、この3人が怪しい。妻夫木聡、中谷美紀、國村隼。次に表情ですが、妻夫木聡は明らかに嫌みな顔をしているから引っかけで除外。内面に何かを隠しているのは残りの2人です。このどちらかです。
中村:ということは?
岡村:ズバリ中谷美紀です。だって、國村隼だったら、やっぱり!で終わりじゃないですか(笑)。だから映像見る必要ないですよ。写真だけでわかります。
中村:ファイナルアンサー?
岡村:ウッス。
中村:はい、正解です…。
連載史上最高のドヤ顔を披露する岡村。
岡村:ハッハッハ! でも、なんで彼女が犯人なんだろう? この映画にスゴく興味が湧いて来ましたよ。
ドヤ顔に殺意を抱いたのか、凶器を物色する(?)おくりバント高山。手には大根が。
【第2問】『白ゆき姫殺人事件』
中村:次は「白ゆき姫殺人事件」です。
中村:では相関図からご覧ください。
岡村:菜々緒が被害者なんですね。金子ノブアキは一見して怪しいので引っかけでしょう。貫地谷しほりに、谷村美月。僕のセンサーがビンビンに反応してるのは、この2人ですね。写真でわかるのは、ここまでですね。
中村:では、本編を観ましょう。
(再生後1分)
岡村:あー、綾野剛が犯人を見つけることになるんだろうな…。ね、中村さん。
中村:あのー、ノムさんばりの「ささやき戦術」で私の表情からヒントを得ようとしてませんか?(笑)
「あのモジャモジャが大根で…」サスペンス的には目撃者が似合う本田商店のトシコさん。
(再生後10分間経過)
岡村:うーん、途中、よくわからないバンドが出てきましたけど、この辺が伏線として怪しいんですよ。ね、中村さん?
中村:だからノーコメントですってば…。
岡村:3人に絞り込めましたが、貫地谷しほりは怪しいので、今回は引っかけですね。残るは谷村美月か、僕の知らないバンドですが、後者はきっとゲスト出演みたいな感じでしょう。
中村:ということは、犯人は谷村美月ですか。
岡村:間違いないですね。難易度を1~5で評価したら、テレビのサスペンスドラマが1~2くらい。これは伏線が多くて3か4くらいありましたよ。
中村:では、ファイナルアンサーでよろしいですか?
岡村:ウッス。犯人は、谷村美月で間違いない!
中村:はい…不正解。
岡村:え?
「そんなバナナ…」まさかの不正解に、頭を抱える岡村。
中村:不正解ですよ。
岡村:じゃあ、一体誰が犯人なんだ…。
中村:映画を観てください(笑)。
高山:中村さん、企画した我々の社内での立場が危うくなりますので、もっと簡単な映画を用意してください…。
【第3問】『華麗なるアリバイ』
中村:それでは最後の作品に参りましょう。巨匠アガサ・クリスティーの「ホロー荘の殺人」を映画化した「華麗なるアリバイ」。
岡村:えっと、どこの映画ですか。ぜんぜん役者がわからない…。どの俳優が人気なんですかね…。
中村:フランス映画です。今回は素直に観てみませんか?
(本編20:00から再生スタート)
岡村:ふーむ…。
(再生後30秒経過)
岡村:パッと見た感じでは、この人ですね。
中村:この作家役ですか?
岡村:ええ。さっきまでの方法が通じないとなると、もう野生の勘に頼るしかありません。国が違えど同じ人間。表情を見れば、たとえ知らない役者だろうと犯人か否かは一発で見抜けます。だてに、アドウェイズを世界十カ国以上にグローバル展開してませんよ。
中村:ファイナルアンサーですか?
岡村:ウッス。
中村:はい、不正解でした。
岡村:……。
まさかの不正解にまったく動揺を隠せない岡村。サスペンス映画だったら真っ先に犯人候補になるであろう。
高山:さあ、3作品すべて終了しました。成績をまとめてみましょう。
不正解:『白ゆき姫殺人事件』鑑賞時間10分
正解 :『渇き。』鑑賞時間0分
不正解:『華麗なるアリバイ』鑑賞時間0.5分
正解率:33%
中村:ということで、勝負は岡村さんの負…
高山:(話をさえぎって)でもですよ!! 岡村さん独特の推理方法がとても興味深かったです! 俳優の知名度や顔写真の表情をヒントにしたり、物語だけでなく映画の作り手の意図を読み解く推理がすっごくすっごく冴えていました! 映画の楽しみ方としては邪道なのかも知れないですが、物の考え方としては非常にユニークで感激したし勉強させて頂きました!! 今日は本当に面白かったです! 正解は1問でしたけど、それ以上に深くて鋭い洞察力を見せていただいたと思います! いやースゴい! さすが我らがアドウェイズグループの社長です!
岡村:え、終わり? あのー、ちょっといいですか。これじゃあ、たとえ2つ正解しても正解率66%ですよね?
中村:そうですね。何かご不満でも…。
岡村:最低10本観ないと僕の能力の検証にはならないでしょう。ここから7本連続で正解するはずなんですよ。それで8割でしょ。
一同:……。
岡村:本田商店さんも閉店の時間ですね。残念ながらタイムアップ。悔しいけど引き分けということで!
▪️撮影協力『本田商店』
東京都新宿区西新宿5-22-3
-------------------------------------------
関連記事
『岡村陽久の前のめり人生道』:日経ビジネスオンライン
■岡村陽久へ観て欲しいサスペンス映画募集
「サスペンス映画 犯人当てクイズ」を引き続き実施します。ご興味のある映画関係者の方はおくりバントFacebookページへご連絡ください。
■岡村陽久への質問募集中
ブログで岡村に答えてほしい疑問質問を受け付けています。おくりバントFacebookページにメッセージで内容をお送りください。
編集・構成:小沼朋治
写真:中村宗徳