岡村陽久の勝手にしやがれ

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【第4回】アドウェイズ岡村のテンションはMAX! ”命の恩人”クルーズ小渕社長を熱く語る!

アドウェイズ社長の岡村陽久がユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第4回目。(人生相談と言いながら質問が来てないので、今回も脱線気味です!)

 

暖かい日差しの5月のある午後、アドウェイズ社内の本陣オフィスでVHSの秘蔵コレクションを磨いていた「おくりバント」社長・高山の携帯が鳴った。

 

高山:「なんだよ誰だよ。面倒くせーな、こっちは仕事中なんだよ。はいもしもし…あっ、はい! はい、承知いたしました! すぐに参ります!」

おくりバント社員A:「どうしたんすか? 急にかしこまっちゃって。誰からの電話っすか?」

高山:「バカヤロウ! 岡村さんだよ! 今から喫茶店のMAXに来いって言われたよ…。ヤバいよ、おくりバントの今月の予算達成率がヤバいから絶対そのことだよ。あーとにかく行くしかねー! みんな準備しろ! よし行くぞ!」

 

直電話での呼び出しを受けた我々は、取るものもとらず、嫌な予感を抱きながら岡村のいきつけコーヒー専門店である西新宿の「MAX」に向かった。

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※西新宿の名喫茶店MAX。我々の憩いの場である。

 

カランカランとドアベルを鳴らしながらコーヒー専門店「MAX」に入った我々を出迎えてくれたのは、岡村とアドウェイズ執行役員の鹿野晋吾だ。

 

岡村、MAXでテンションMAXに

高山:はぁはぁ…。すんません、遅くなりました!

岡村:随分早かったですね! お待ちしていましたよ(にっこり)。さぁさぁ、みんなアイスコーヒーでも頼んでくださいよ。

高山:(あれ、怒られるのかと思ったんだけどな?) じゃ、じゃあ、冷コーお願いします。

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困惑しながらアイスコーヒーを頼むおくりバント高山。

 

岡村:今日はですね、僕も鹿野から急に呼び出されましてね。どうしてもおくりバントの皆さんに話したいことがあると。それで皆さんに来てもらった次第です。で、何の話でしょう?

鹿野:おくりバントの皆さん、よく来ていただきました。今日はですね、しっかりと皆さんにお伝えしたいことがあります。それはですね、我が社のスローガンのことです!

岡村:ふむふむ。

高山:あ、スローガンのことなんですね! もちろんスローガン覚えてますよ。『なにこれ すげー こんなのはじめて』(※注1)ですよね!

鹿野:そうです! このスローガン、皆さんにどのような経緯で生まれた言葉なのか、今日はそのことを一度しっかりお伝えせねばと思い、ご足労いただいた次第です。そもそもですよ、このスローガンというのはクルーズの小渕社長にも色々助言をいただきながら出来たものなんです。

 

岡村:…小渕社長?(眼光鋭く)

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トーストを食しながら、「小渕社長」という言葉に過剰反応する岡村。

 

鹿野:この言葉には、小渕さんにも尽力いただきながら我々が考えた、未体験のものに常に挑戦していこうというですね、僕たちのですね、

岡村:おいおいおい! ちょっと、ちょっと待ってくれ!

鹿野:え、は、はい!? どうしました?

岡村:今、小渕社長って言ったよね?

鹿野:え、えぇ。言いましたが、それが何か?

岡村:………。

鹿野:………

岡村:…君はどう思いますか?

鹿野:はい?

岡村:クルーズの小渕社長についてどう思いますかと聞いているんです‼︎ 僕は小渕さんに命を救われているんですよ!

 

穏やかに我々を迎えてくれた岡村が急にテンションMAXモードに入った。ここはコーヒー専門店「MAX」。そんなことはともかく、どうも岡村はクルーズ小渕社長(クルーズ株式会社 代表取締役社長 小渕宏二氏)への想いを急に語りたくなったようだ。

 

鹿野:ちょっと待ってください! その前にスローガンの真の意味を皆さんにですね!

岡村:いや、頼む! 小渕さんのことをちょっと語らせてくれ! もう小渕さんのことを思い出すと、身体が熱くなってきちゃって話さずにはいられねーんだ!

鹿野:…分かりました。僕にとっても小渕さんは、本当に尊敬している方です、ともに語り合いましょう! 

高山:(一体何なんだこの展開は?)

 

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岡村がテンションMAXになっていることなど露知らず、美味しいコーヒーを作ってくれるMAXのマスターと奥様

 

岡村:皆さん、しっかりと聞いてもらいますよ。あのですね、僕も社長として生きてる以上、人の下には付くことはできないと思ってます。自分なりの男としての生き方とか、理想を追求するには自分でやるしかない。そういう気持ちでやってるわけなんですけど…、 小渕さんの下でだったら命かけて働いてみたいという気になるんです!

鹿野:その点は僕も同じですね。自分で言うのもなんですが、今まで色んな会社から誘ってもらいました。でも、アドウェイズ以外で働きたいと思える会社はクルーズしかないです。

岡村:僕と鹿野が言ってることはお世辞じゃないですよ。他は興味ないけど小渕さんの下なら働きたいって人は実は多いですからね。

 

本当に困ったときに頼れるのは小渕さん

岡村:小渕さんと出会ったのは10年くらい前ですね。出版社の飲み会でお会いしたのが最初です。当時から既におしゃれで面白くて、「オモシロカッコイイ」(クルーズ社が掲げているスローガン)そのものっていう感じでしたね。今でももちろんそうだけど、小渕さんは見た目の格好良さだけじゃなくて、『生き様』というか、人間としてカッコイイ人なんですよね。

高山:へぇ〜、生き様がカッコイイというのは、具体的にどんなエピソードがあるんですか?

岡村:小渕さんは私にとって、そしてアドウェイズにとって「命の恩人」だということです。小渕さんがいなければ、あの『07ショック(※注2)』は乗り越えられなかったと思います。

高山:アドウェイズ史上最大の危機と言われる07ショックですね。

 岡村:そう、忘れもしません。2007年です。会社の業績が急激に悪化して多くの新規事業からの撤退を余儀なくされた時です。あの時、上場前後に個人的に銀行から8億円借金してたんですが、経営状態を危ないとみた銀行から「すぐに業績が回復できなければ株を売るぞ」と迫られ、本当に追い込まれていました。正直もうダメかと思った時もありました。 そんな時、小渕さんに相談に行ったんですね。

 

そうしたら、小渕さんは「俺のマンション担保にして金借りよう」って即答ですよ。それだけじゃなく、色んな人に電話して資金を貸してくれる方を探してくれたんです。

当時、会社の業績は落ちる、社員は辞めて行く、金も返さなきゃいけない、でも返せない、っていう打つ手なしの状態で気持ちも暗くなってたんですけど、小渕さんに「俺に任せろ」って言われて一気に元気が出たんです。

しかも、後から話を聞くと、当時クルーズも決して順風満帆だったわけではなくて、小渕さん自身も苦しんでいる中で僕のために動いてくれたんです。そんな男がどこにいるのか?って思いますよ。

 

 高山:小渕さんカッコイイ! 男として、人間として凄いですね! 僕も困ったら小渕さんに連絡しよう。 

岡村:…。おかげで、銀行から「株売るぞ」と言われても「売るなら売ってみろ!」って強気に出ていけましたからね。で、結果的に銀行は僕の株を売却しなかったんです。小渕さんの言葉に力をもらったことで、本来の強気の僕に戻れたんです。「業績は回復しそうですか?」って聞かれても、堂々と強気で答えていたら、銀行も安心するじゃないですか? 「この社長まだ大丈夫だな」って。それで会社もなんとか復活することができた。小渕さんにパワーをもらってなければ株は売られたと思います、本当に。売られてたら今のアドウェイズもなかったということです。ある意味、命の恩人なわけです。 

高山:「売るなら売ってみろ!」って言えちゃうのもなかなか凄いですが…。

岡村:僕も男として、企業の社長として生きてるんで、周囲の人にはなかなか弱音は吐けないんです。苦しいときでも弱みは人に見せないでギリギリまで自分で頑張るんですけど、どうしても自分一人の力ではどうにもならなくなったときに頼れるのは、小渕さんしかいないですね。本当の本当に困ったときに弱音を吐ける相手は小渕さん以外考えられないです。

 

スローガン『なにこれ すげー こんなのはじめて』が生まれたきっかけ

高山:小渕さんが男気溢れる方だということがよく分かりました。

岡村:ただ勘違いしないで欲しいのは、小渕さんは頼り甲斐があるだけではないんです。人の気持ちが分かるだけじゃなく、深い愛情を持って人間のことを心底まで見つめている人でもあるんです。

高山:といいますと?

鹿野:やっと来ましたね。僕はこの話がしたかったんです。スローガン『なにこれ すげー こんなのはじめて』は、小渕さんの助けがあってできたんです。

 

 

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満面の笑顔で小渕さんとの思い出を語り始めた鹿野。

 

岡村:あの時は感激したよね。

鹿野:当時のアドウェイズには、会社がどんどん大きくなっていく中での経営課題として「社員が一丸となれていないのでは?」という問題があったんです。そこで小渕さんに相談してみようということになったんです。それで小渕さんに連絡したら怒られたんですよ。

高山:そりゃそうですよ。ただでさえ忙しい小渕さんに、他の会社の課題の解決策を教えろって言われたら怒っちゃいますよ。僕も小渕さんと同じ行動をしますね!「それぐらい自分で考えろ!」と一喝ですよ!

岡村:…、君と小渕さんでは人として雲泥の差があるようだね。小渕さんの答えは君と全く正反対ですから!

鹿野:何て言われて怒られたかというと、「なんでもっと早く相談しないんだ? 水くさいだろう!」です。

高山:えっ! 懐が大き過ぎ!

岡村:ハッハッハ。そうでしょう! 小渕さん、最高でしょうが? その相談の中でアドウェイズのスローガンを新たに作ろうということになったんだよね。ちなみに君は体が大き過ぎ。

 高山…。

鹿野:そこから小渕さんだけでなく、諸戸さん(クルーズ執行役員 諸戸友氏)、山田(アドウェイズ執行役員 山田翔)にも加わってもらって、2回の泊まり込みの合宿をしました。他社のスローガン作りを助けるために、2回も身体を張ってくれたんです。その結果生まれた言葉が『なにこれ すげー こんなのはじめて』だったんです。

高山:よその会社のことにそこまで付き合ってくれる小渕さんて本当に熱い人なんですね。

 

岡村:だから最初に言ったでしょ! 小渕さんの下だったら命かけて働けるって。

高山:なんていうか、僕も「おくりバント」を逃げ…じゃなくて辞めてクルーズで働きたいです!

岡村:バカ野郎(笑)! いやまぁ、その気持ちは分かりますよ。ハッハッハ!

 

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小渕さんを褒めると自分のことのように喜んでしまう岡村 

 

高山:なんか自分が褒められたように喜んでますね。それにしても小渕さん、イケメンな上に人間もカッコイイとなると、完璧すぎてちょっと憎たらしいぐらいですね。どこか一つくらいダメなところってないんですか?

岡村:う~ん…何かあるかな?

鹿野:あるとすれば、酔っ払うと同じことを何回も言うことくらいですかね?

岡村:あの人は飲むと長いよね〜!(笑)

 

高山:最後、小渕さんへこれだけは伝えておきたいってことはありますか?

岡村:07ショックから復活したこと。スローガンを作ったこと。この二つはアドウェイズにとって大きな節目だったわけです。そこに大きく関わってくれたのが小渕さん。アドウェイズの歴史において非常に重要な人物が小渕さんなんです。10年前に焼肉屋で出会えて本当に良かったです。いつか小渕さんの役にたって「助かった」って言ってもらいたいですね。

高山:いやぁ、凄い話をありがとうございました!

岡村:こちらこそ、話を聞いてくれてありがとうね。気分がいいんで、もう一杯コーヒーでもいただいてリラックスしますか!

高山:…すいません、実は我々「おくりバント」の今月の予算目標の進捗が思わしくなくてですね…。今月だけどうにか堪忍してもらえんでしょうか?

岡村:それは予算を立てても達成できない時期は当然あるでしょう。我々はベンチャー企業、新しいものに常に挑戦していかなければいけないわけですから、当然のリスクですよ!

高山:(ラッキー!)ご理解いただきありがとうございます!

岡村:ただし、何故ダメだったのかはしっかりと見つめ直す必要がありそうですね。よし、近いうちにおくりバントのみんなと我々で合宿をやりましょう。僕としては、高山さんより製作総指揮の小沼さんの方が社長に向いているのではと…。

高山:全力で今月の予算達成します! ご心配は何一つおかけしませんので少々お待ちを!

 

(※注1)「なにこれ すげー こんなのはじめて」

経営理念やコーポレートコピーとは異なる、アドウェイズ社員ひとりひとりが共有できるスローガンとして生まれた言葉。スローガンを新しく作るまでの経緯は岡村のブログにて。 

 

(※注2)「07(ゼロナナ)ショック」

2007年、アドウェイズの広告収入の中心となる顧客はクレジットカード会社やキャッシングカード会社だったが、上限金利の引き下げにより各社の広告費が半減。アドウェイズは新入社員の大量採用を進めていたことも併せて赤字が大幅に拡大。新規事業の撤退や社内体制の改革だけでなく、岡村自身も役員報酬を8割カットし、4畳半風呂なしアパートに移り住んだ。

 

▪️撮影協力『COFFEE HOUSE MAX』

東京都新宿区西新宿5-6-4

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※本記事および対談の内容はクルーズ株式会社、あるいは小渕宏二氏とは一切関係がありません。岡村陽久、鹿野晋吾、および株式会社おくりバントによる創作です。

 

■岡村陽久への質問募集中 ブログで岡村に答えてほしい疑問質問を受け付けています。おくりバントFacebookページにメッセージで内容をお送りください。

 

編集・構成:小沼朋治

文:是枝勉

写真:中村宗徳