アドウェイズ社長の岡村陽久がユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第6回目。
梅雨入りした7月のある日の夜、一大プロジェクトを無事にやり遂げた「おくりバント」の面々は、打ち上げの二次会と称して西新宿のスナック「プレジデントハウス」になだれ込んだ。皆が互いを労いながらの楽しい宴席になる……はずだった。そう、酔った社員が高山のお腹に言及するまでは。
おくりバント社員A:酔ったから言いますけど、社長、ぶっちゃけ、そのお腹やばくないっすか?
高山:あ……!?
おくりバント社員A:お腹出すぎてるからダイエットした方がいいんじゃないんですかっ!って言ってるんです。たとえばライザップとか。
高山:俺だって好きで太ってるんじゃない。お前らを食わせるために、しょうがなく食ってるんだよ。この樽のようなお腹があってこそ、俺は時にマスコットのように愛嬌良く見られるし、時に豪快に見られて受注できる。ちなみにライザップって、 2カ月で一気に痩せられるってとこだろ。そんなの怪しいだろ!
おくりバント社員A:どこが怪しいんすか? 2ヵ月で痩せられるの、凄くないすか?
高山:ちゃんと調べたか? 俺は会社にいるときはネットサーフィン三昧だから、ライザップのことは個人ブログや掲示板で評判をチェック済みだ。外回りのときは、公園で昼寝しながら雑誌を読んでるから、ライザップのことは何でも知ってるんだよ!
どうも高山は今CMで話題沸騰中のダイエットジム「ライザップ」について、疑いを感じている模様だ。とはいえ、どうもその調査方法にはボンクラ感が漂うが。
高山:で、調べてみたら案の定だよ。ライザップではな、ハードなトレーニングメニューと糖質抜きの食事メニューが義務付けられるんだよ! そんなの痩せられるに決まってるだろ! 俺は、白米・麺類の炭水化物をたらふく食いながら、運動もせずに痩せられるもの以外はダイエットだと認めてないんだよ!
おくりバント社員A:そんな無茶な…。
高山:もういいよ。俺が独自のダイエットを考案してやるよ! あっちが「RIZAP/ライザップ」なら、こっちは「TAKARAP/タカラップ」だ!
おくりバント社員A:一応聞きますが、それ、一体どんなダイエットなんですか?
高山:カラオケダイエットだよ。カラオケでただ歌うんじゃなく、ハードなラップをすることによりカロリーを燃焼させようというダイエットだよ。よしやるぞ! 気持ちがレイムじゃモノホンプレイヤーになれねえ! 1曲目はBUDDHA BRANDの……
その時、カラオケスナックの扉が突如開くとともに、大きな声がフロア中に響き渡った。
※突然開いたプレシデントハウスの扉。そこにはカメラ目線のアドウェイズ岡村プレジデントが!
岡村:大丈夫ですか!?
カラオケスナックに突然現れたのはアドウェイズ社長の岡村だ。
高山:な、なぜここに!?
岡村:なぜって、身体はまだ大丈夫なようですね! 良かった良かった!
高山:……?
岡村:どうしたんですか? 豚がデコピン食らったような顔して。
高山:えーと、それは豚じゃなくて「鳩が豆鉄砲食らったような顔して」ですよね。 いきなり「大丈夫か?」って言われてもわけが分かりません!
岡村:実はですね、最近食べ過ぎ、飲みすぎで少し太ってきた気がしたので、肥満が原因で起きる病気について調べていたんです。そしたら自分のことより、あなたのことが心配になってきましてね。今この瞬間にも倒れてしまっているんじゃないかと。まだ無事ならよかったですが、今後の健康のことを考えて、何かダイエットしたらどうですか?
高山:ライザップですか? 僕がネットサーフィンと雑誌で調べた情報によると、かなり怪しいですよ。それより、僕が考案した「タカラップ」でですね…。
※タカラップを披露する高山に対して、生理的にイラついてしまった岡村。
岡村:…このバカヤロウ!(高山の頬にビンタを入れながら)
高山:えっ! な、なぜ!?
岡村:貴様はいい、そうしてカラオケしてれば気分も晴れるんだからな!
高山:親父にもぶたれたことないのに!
岡村:それが甘ったれなんだよ!
高山:も、もうやらないからな、誰が二度とライザップなんかやるものか!
岡村:そもそもあんた、やってないだろ! 僕はですね、ネットや雑誌の知識をかじっただけで、色々物知り顔をしている人を見るとイライラしてくるんですよ! よし、こうなったらライザップに対する疑問を、僕が代わりに答えてみせようじゃないですか!
高山:むむむ、ちょっとカチンと来ましたよ。望むところです! では僕の質問にきっちり答えてもらいますよ!
思わぬ展開から始まった、岡村と高山のライザップ問答。図らずも「ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ」というこの企画のテーマに沿った形となった。今話題のライザップについて岡村が様々な疑問に答えます!
●高価だから効果がある。義務だからキープできる。
高山:(スマホをいじりながら)あ、これだ。では質問1。まずは、あのライザップのダイエット法についてです。ハードなトレーニングに加えてさらに厳しい食事メニューを課して、それを毎日トレーナーに報告させる。そんなの誰だって自分でやれば痩せられるでしょう? ジムに行く必要なんかないじゃないですか! そんなサービスに対して約30万円のお金を前払いで取るなんて、あんまりじゃないですか? って感じのことが、掲示板に書かれてます。
岡村:「誰だって自分でやれば痩せられる」とは聞き捨てなりませんね。逆なんじゃないですか? 痩せる方法なんて誰でも分かってるのに、痩せられないからライザップがあるんじゃないですかね。あなたはこれまでダイエットに挑戦して痩せられなかったことが何度ありますか?
高山:0回です。これまでダイエットをしようとしたことは一度もないからです。(ニヤリ)
岡村:……あなたに聞いたのが間違いでしたね。いいですか、世の中には多くのダイエット法が出回ってますが、その多くは、継続できれば効果があるものだと思います。でも、人はそれを続けられないんです。
高山:自分は毎晩の暴飲&暴食を続けられていますよ?
※何かに取り憑かれたように、連日暴飲暴食を繰り返す高山。継続は力なり。
岡村:あなたは続けているんじゃなくて、ただ欲望に弱いだけ! つまりですね、人は苦しいことをやるときには、何らかの鎖につながれることが必要なんです。ライザップの場合であれば、止めたくなっても「30万円払ったんだから」続けなきゃという気持ちになれますし、食事メニューを「トレーナーに報告しないと怒られるから」決めたメニューを守ることができるんです。あなたが言う批判ポイントこそが、むしろ肝なんだと思いますよ。
高山:う~ん。それにしても30万円かぁ~。
岡村:ズバリ言いますけど、ライザップの瀬戸社長の理想は、このプログラムを5万円ぐらいで提供することです。
高山:えっ! 瀬戸社長がそう言ったんですか!?
岡村:いえ、僕の勝手な想像です(笑)。
高山:……またかよ!
岡村:あくまで想像ではあるのですが、このプログラムでみんなが痩せてハッピーになれるのであれば、安く提供できればできるほどいいと瀬戸さんは思っているはずです。ただ、先ほど話したように、30万円払ったという鎖があるから、きつい時でも「痩せたい」という目標に向かって進むことができるわけです。安いダイヤモンドに価値がないのと同じように、ある程度のお金を払っているから意味があるのではないですかね。
高山:僕としては居酒屋は安ければ安いほどいいのですが……。
岡村:だから、そこと比較しちゃダメだって!
高山:あ、もちろん安くて美味くなきゃだめです!
岡村:……もうこの話はやめましょう。
●どこの進学校にも校則を破る生徒はいる
高山:プログラムについては答えてもらいましたが、まだまだ疑問はありますよ! (スマホと雑誌を見ながら)えーと、質問2! ライザップでは高価なプログラムにも関わらず、トレーナーの勤務時間は長時間にわたって、対応に問題があるスタッフもいるらしいですね。無理なトレーニングをやらされて、身体を壊した方もいるとか。
岡村:それはもちろん、一つ一つの事象については、良くないことですよね。トレーナーが適正な労働時間で働けるように環境を改善すべきだし、無理なトレーニングをさせたのが事実なら、方法を改善してお客様にもしっかりと説明とお詫びをすべきでしょう。今後の課題であることは間違いないでしょうね。ただ、この点についても、一つ言っておくことがあります。
高山:……?
岡村:断言しますが、800人のトレーナーがいる中で、全員が完璧なサービスを提供することは無理です。もちろん、会社として完璧を目指すのは前提ですが、どんな進学校にも校則を破る生徒はいますし、どんな大手企業でも問題を起こす社員がいるように、現実問題としてそれは不可能です。問題が多発しているのであればそれは批判されてしかるべきですが、メディアが粗探しをして一つの事柄を過大に伝えている可能性もあるということを、我々も考えなければいけませんよね。
高山:確かに、どの会社にも問題児はいますからね。僕にも思い当たる奴らがいますよ。まったく、あいつらは仕事もしないでダラダラしやがって。
岡村:確かに、あなたのように問題児がいます。知ってますよ、平日の日中に歌舞伎町の映画館でマッドマックスを観てはしゃいでいたことを。
※反省しているフリをして自身のお腹を愛でる高山とちょっと眠い岡村。
高山:ただ、マッドマックスは本当に最高の映画でして、アイデア出しという一面が全くないかと言われると、そうとも言い切れないわけでして……。
岡村:……ふぅ。気を取り直して、もう一つ言っておきます。トレーナーが合わないと感じたら変更すればいいんですよ。ユーザーも「痩せる」という一番大事な目標を達成するために、その制度をうまく利用するといいんじゃないですかね。それでも続けられないと思ったら、30日間以内なら無条件で全額返金なんでしょ? 特別な事情なんかなくても、花粉症だとか、自分探しの旅に出るとかそんな理由すらなくても止められるわけなんですから。僕からすると、お客さん想いの制度だと思えますけどねぇ。
●広告を打つのは悪いことなの?
高山:まだ質問はありますよ。(スマホと雑誌を見ながら)質問3! では人件費のことはどうですか? ライザップは人件費の割合が売り上げの約10%にも満たないとか。さらに、広告費が売り上げの約20%で、こちらは異常に高いそうです。これはどうも怪しいんじゃないですか?
岡村:というか、あなた数字には滅法弱いのに、ここぞとばかりに質問攻めしてきましたね…。では逆に聞きますけど、人件費が売り上げの10%というのはそんなに低い数値なんですか?
高山:え、えぇと、それはココにある雑誌に「異常に低い」って書いてあったので……。
岡村:僕も正直分かりません。ジム業界の平均がどれぐらいで、それが高いのか低いのか。ジムへの設備投資も決して安くはないでしょうしね。ちなみにアドウェイズの人件費は…(資料を確認しながら)、約8%です。
高山:…。
岡村:よく分かんないですよね。何を基準に高いのか安いのか。いや、もしかしたら本当に「異常に安い」のかもしれないですよ。ただ、そこが分からないのに、メディアが言っているからという理由で批判するのはつまらないですよね。ねぇ、高山さん?(ニヤリ)
高山:…ぶひっ!
岡村:広告費の件ですが、自分たちのサービスを知ってもらうために、多くの広告を打つのが悪いことなんですか? これもなぜ批判されているのか分かりません。ライザップがこれで一気にお金を集めて、適切なサービスをせずに逃げてしまうようなら、それは問題ですよ。ただ、多くの広告を打ったということだけで「怪しい」とか、「危ない」とか言われてしまうのは可哀そうに思えますけどね。
高山:確かに。公園で昼寝をしながら雑誌を読んだせいかもしれませんが、自分も流されていたような気がします。このお腹でわかると思いますが、よく浮く身体ですので……。
※「流されるな!」と心眼について語る岡村……と見せかけて、単に撮影で目をつぶりがちな岡村。
●なぜ、こんなにライザップの肩を持つのか? 岡村の真の意図が明らかに!
高山:それにしても、岡村さんはライザップの肩を持ち過ぎじゃないですか?
岡村:やっぱりそう思われてしまうんですかね……。じゃあ、言っておきますけど、僕は瀬戸さんと面識はありますし、最近も話をする機会がありましたよ。だからこそ敢えて言いますが、ライザップからお金をもらっているわけでもないし、ライザップの広告塔をやる気もありません。まぁ、僕が広告塔をやったところで誰も来ないとは思いますが(笑)。
高山:そりゃそうです(笑)。
岡村:大体、痩せるための方法なら他にも色々ありますからね。大手ジムで言えば、ゴールドジムさん、ティップネスさん、コナミさんなどもいらっしゃいますし、ユーザーの皆さんがそれぞれしっかりと長所と短所を比較して選択すればいいだけだと思っていますよ。結局は、いいサービスを提供できるところは残るし、そうじゃないところは消えていくということだけだと思いますから。
高山:じゃあなぜ、ライザップへの批判に対して、わざわざ答えようと思ったんですか?
岡村:それはですね…。あなたが痩せるところを見たいからです! ただそれだけです! ハッハッハ!
高山:えっ!
岡村:あなた最近、身体もそうですが心もたるんでませんか? 社員の生活を預かる社長たるもの、ビシッとしないといけませんよ。ということで、ライザップのプログラムでしっかりと節制して心も身体もダイエットしてみてください!
※岡村の真の意図は、この死角だらけの刺客!というか、お腹をライザップに送り込むことだった!
高山:いや、それはちょっと。。自分で食事制限して痩せてみせるんで、ジム通いはちょっと……。タカラップという新ダイエット法も開発中ですし……。
岡村:ハッハッハ! そういうマインドだから、毎月売り上げ目標に四苦八苦してるんじゃないですか? 誘惑に弱いあなたにはライザップが一番合うんです! もうこれ以上は言いません。あとは自分の意思で決めてください。(ニヤリ)
高山:(どう言えば逃げ切れるか…)じゃ、じゃあ、一緒にやりましょう!最近、岡村さんの腹もなかなか出てきてるじゃないですか!
岡村:僕は結構です。この腹になるのにいくらお金がかかったと思ってるんですか? 30万円でこの腹を台無しにするわけにはいきませんから!
高山:(こいつはまずい展開になったぞ…)
※岡村は心から高山の体を心配している。
岡村からダイエット指令を受けたおくりバント高山。果たしてライザップの門を叩くのか? それとも別の手段で痩せるのか? はたまた、岡村が忘れるまでひたすら逃げ続けるのか? 今後の高山にご期待ください!
※「プレジデントにはプレジデントがよく似合う」とハードボイルドぶる高山だが、すでにライザップのことでお腹が、ではなく頭がいっぱいだ。
※遠い目を演出しているが、ダイエットのプレッシャーで、サングラスの下は涙目だった高山。
▪️撮影協力『プレジデントハウス』
東京都新宿区西新宿5丁目1−18
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関連記事 『岡村陽久の「前のめり人生道」:日経ビジネスオンライン』
※本記事および対談の内容はRIZAP株式会社、あるいは瀬戸健氏とは一切関係がありません。岡村陽久、および株式会社おくりバントによる創作です。
■岡村陽久への質問募集中 ブログで岡村に答えてほしい疑問質問を受け付けています。おくりバントFacebookページにメッセージで内容をお送りください。
編集・構成:小沼朋治
文:是枝勉
写真:中村宗徳