岡村陽久の勝手にしやがれ

あなたの相談を岡村流「勝手な解釈」で解決。ITのことから、世の中、男女、不条理まで

【第40回】アドウェイズ岡村と旧知の仲。クルーズ小渕社長にどうしたら人は進化するのか聞いてみた〜社長対談〜

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第40回。外から聞こえる虫の鳴き声がセミからコオロギへ変わり、平成最後の夏が終わりを迎えた。そんな9月の後半、なかなか進化しない子会社おくりバント代表の高山に「どうしても会わせたい人がいる」と発言するアドウェイズ岡村。それは旧友であるクルーズ株式会社の小渕宏二氏であった。この日は、古い付き合いの友人同士だからこそ話せる“業界の裏話”や、クルーズが掲げる“永久進化構想”についての議論が交わされた。現在IT企業に勤める人はもちろん、これから勤めたい人も興味がない人も必見の内容である。ぜひ最後までご覧いただきたい。

 

とある9月の昼下がり、六本木ヒルズ森タワーにて

 

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アドウェイズ岡村:それで、まあ色々あるんです。とにかく僕が言いたいことは、うちの子会社「おくりバント」の社長・高山が本当に酷くって。

 

 

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クルーズ小渕ええ。

 

クルーズ株式会社・小渕宏二社長

日本最大級のファストファッション通販「SHOPLIST.com by CROOZ」ほか数々のネットサービスを手がけるクルーズグループの代表を務める。アドウェイズ岡村とは旧知の仲。

 

岡村:おくりバントの社長として5年間もトップに立っているにも関わらず、未だにエクセルすら使えないんですよ。資金繰りとかのレベルにすら達していません。要するに、全く進化が見えないんです。

 

小渕:なるほどですね…

 

岡村:「今年こそは本社にしっかり利益を出し、グループに貢献するように努めます!」なんて、テンプレみたいなセリフを毎年正月に僕に言うんですけど、一向に進化する様子がなくて。

 

小渕:はあ。

 

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おくりバント高山:なんか、僕のことですみません……。

 

岡村:この前なんて、業務中に急にいなくなったと思って高山さんに連絡をしたら、「すみません、カラオケに行ってました!」とか言うんですよ。さすがにそれは僕も怒りましたけど。

 

小渕:あの…。岡村さん。

 

岡村:はい。

 

小渕今日は愚痴を言うためにうちのオフィスに遊びに来られたんですかね? 愚痴の元凶の高山さんまで連れてきて…。


岡村:いや。もちろん愚痴は言いたかったんですけど、僕がここに来た本当の理由は…

 

小渕さんなら、高山さんを進化させてくれるんじゃないか、って思ったからなんです。

 

小渕:え?

 

高山:え? 

 

岡村:え?(笑)

 

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おくりバント高山は今も昔も資金繰りに苦戦しているが、自分の会社を立ち上げたばかりの頃、今よりも更に資金繰りに苦戦してしまい、小渕社長に助けてもらったことがある。そのため全く頭が上がらないそうだ。ちなみにおくりバント高山が小渕社長の元に持参したものは、「資金繰表」だけだったという。

 

岡村:小渕さんは先日、自分の会社であるクルーズの事業を全て子会社化して、永久進化構想を立ち上げたんです。今日はその話を高山さんに聞かせようと、ここにやってきたんですよ。

 

小渕:あ、なるほど、そういうことだったんですね。

 

高山:え? あの…すみません。恩人の小渕社長を目の前にして突っ込むのはかなり僭越なのですが、その僕を進化させてくれるっていう“永久進化構想”って、なんなんでしょう……。

 

小渕:あの、これって真面目に説明したほうが良いんでしょうか。

 

岡村:そうですね、“進化前”の高山さんに、ちゃんとわかるように説明していただけますと嬉しいです。

 

小渕:了解です。わかりました。

 

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アドウェイズのスローガンといえば「なにこれ すげー こんなのはじめて」であるが、このスローガン、実はアドウェイズ岡村と山田と鹿野が考え、そこにクルーズの小渕社長が一手間加えてできたものなのだ。小渕社長曰く、「岡村さんがいつも言ってそうな事」をイメージしたとのこと。それほど二人は仲が良い。

 

 

クルーズが掲げる“永久進化構想”とは?

 

 

高山:すみません、僕のような猿人でも理解ができるように説明してもらえますでしょうか。言うなれば、3行くらいで……

 

小渕:……。簡単に言うとですね。

 

うちの会社は時価総額1兆円を達成したいんです。

 

高山:1兆円……。(1兆円?)

 

小渕:もっと言うと、時価総額1兆円以上を達成し、インターネットの時代を動かす凄い100人を創り、インターネットの発展を社会還元していきたいんですよ。その為にクルーズは今年の5月、全ての事業を子会社化し、純粋持株会社となりグループ経営への移行を決定したんです。その数は現時点で26社くらいになるんですけど。

 

岡村:全ての事業を子会社化って、すごい試みですよね。

 

小渕:このグループ経営への移行と共に打ち出したのが「CROOZ永久進化構想」でして。 どういうものかというと、次世代の事業と経営者の誕生と成長、永遠のベンチャースピード、時価総額1兆円を目指すための仕組みです。

 

高山:……

 

岡村:すみません、猿人でも理解できるように……

 

小渕:簡単に言うと、100億円稼ぐ事業が100個あったら、1兆円になるじゃないですか。  

 

高山:はい。

 

小渕:なので優秀な経営者を100人集めればいいなと思って。そしてさらに新しい事業がどんどん増えてくれば、もっと時価総額が増えていくってことです。

 

高山:要するに、それが“永久進化”ってことですね。あ、でも優秀な経営者って、正直、どんな人達なんですか?

 

小渕:競争が激化するネット市場で優秀な経営者を集めるには、敢えて「変人」が必要だと考えていて。

 

高山:え。変人…?

 

小渕:例えば高山さんって、見かけの通り中身も面白いじゃないですか。ですよね、岡村さん。

 

岡村:そうですね。こんな身なりで中身がちっとも全く面白くなかったら、多分、事業を継続させていないと思います。

 

高山:え、ありがとうございます。

 

小渕:僕は、高山さんみたいなキャラが強くて面白い人も、トップに上がらせたいんですよ。個性が際立つ人がトップにいるって凄いと思っていて。今のクルーズのミッションは「インターネットの時代を動かす凄い100人を創る」というものなのですが、そこには絶対にそういう人材が必要なんですよね。

 

真面目な話をすると、2000年〜2005年位までに立ち上がったITベンチャーって、今はほどんどいないじゃないですか。でもアドウェイズも残ってるし、クルーズも残ってるし…。20年近くも第一線にいれることって凄いことだと思うんですよ。で、よく考えると他の会社と違ったのは、岡村さんもそうだけど、周りにいる仲間の個性が際立ったやつが多くて。

 

これまでは、「クルーズの国はこうゆう国だから、こんな人材を集めなきゃ」などの思いがあったんですけど、今はそこへのこだわりが無くなって。大きな会社の中に強いやつも個性のあるやつも沢山いて、その人たちがそれぞれにビジョンや目標をもって事業をやっていて、最終的に結果として同じところに繫がる。そうゆう強固で揺るがない関係を目指したいんです。そんな仲間たちを集めて10年先も20年先も生き残っていきたいなと。

 

高山:あ、あの、平たく言うと、僕みたいな人間がクルーズに欲しいってことですか? 僕みたいな人間が、一兆円を生み出すってことですよね…?

 

小渕:はい、高山さん“みたいな”人間ですね。

 

高山(うわあ。これはまじか…)

 

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おくりバント高山は、現在、前述した通り、相変わらず資金繰りに苦戦しているのだが、最近は本格的にヤバいので“ただでお金をくれる人”を夜な夜なFacebookで探しているらしい。高山にお金を寄付したい!「おくりバントに仕事をしてもらいたい!」という方は、気軽にメッセージを送ってみよう。

 

小渕:採用をする際、昔は“ネット事業をやったことがないとダメ”などの基準がありましたけど、最近はそうでもない若い人も沢山いるんです。そういう意味では、クルーズっぽくない人たちが10年後にクルーズを動かす立場になった時に、どう作用していくかを見たいっていう理由もあります。というか、その人たちがインターネット時代を動かす凄い100人になってほしいなと思っていて。

 

岡村:小渕さん、昔は「酒が飲めてネットに強い人じゃないと入れない」って言ってましたもんね。

 

小渕:確かにそんなことも言ってましたね(笑)。ただ、全てが全て高山さんみたいな人たちばかりだと、入社した後に「クルーズってちょっと自分と合わないな」と思われそうなので、全てが混ざり合った上での「無色」を目指しているんです。だからよくいう、連続起業家とか、髭とメガネがおしゃれな連中とか、いろんな人たちが来れるような場所にしたいというか。

 

岡村:昔って、IT業界全体的に、そうゆう方たちが立ち入れる隙間ってなかったですよね。この何年かで急激に業界も変わってきたような気がします。

 

高山:なるほど! 要するに、仲間を増やすって意味では、漫画の「ワンピース」みたいなもんってことですね?

 

小渕:いえ。「キングダム」みたいなもんです。

 

高山:(ちょっと間違えたか…)

 

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クルーズの社内は宇宙や惑星をイメージして作っており、犬を愛する小渕社長の影響か、このような不思議な動物たちが会議室やオフィスに溢れている。これも永久進化構想のひとつなのだろうか。

 

 

ぶっちゃけ、クルーズってどう変わったの?

 

 

 

高山:でも、話を聞いてて、クルーズにすっごく興味が湧いてきました! さっきも話の途中で聞こうと思っていたんですけど、そういう優秀な人たちってどうやって集まってくるんですか?

 

小渕:…。一般的な採用面接で来る場合もありますけど、最近は「“永久進化構想”ってどんな仕組みなんですか?」って興味本位で聞きに来ることもありますね。高山さんほどキャラの強い人はなかなか来ないですけど(笑)。  

 

高山:え。「金ないから本当おねがいしまーーーす!」みたいなのはいないんですか?

 

小渕たまに来ますよ(笑)。でもそれよりも、「起業したい!」って人だったり、もともと親交のあった人が来て、「じゃあどんな事業にしましょうか」って一緒に考えるところから始まることとかが多いですね。  

 

高山:そうなんですか。(なるほど…)そういうのって、岡村さんのところには来ることはあるんですか?

 

岡村:あ……去年一回だけきました。本当にゴリラみたいな人が。

 

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「アドウェイズはゴリラ系が多いと思われてるかもしれませんけど、ゴリラ系って社内で僕だけなんですよ」と語るアドウェイズ岡村。とはいえ、ゴリラ系の採用も最近は積極的に行っているという。

 

岡村:というか高山さん、さっきから急にクルーズに興味津々な感じになってきましたね。どうしたんですか?

 

高山:ハハッ。気にしないでくださいよ(笑)。

 

じゃあ小渕社長、せっかくなので「今後はどんな会社になりそう」みたいな予想ってしていただけますか?

 

小渕:そうですね…。クルーズ自体は事業を持たない純粋持株会社になったので、僕は「お金を投資します。ノウハウはこちらで教えるしサポートします。あとはどうぞ自由に頑張ってやってください」って立場になるんです。

 

高山:(やっぱりただでお金をくれるのか!)

 

小渕:その代わりにクルーズの資産をシェアリングして、クルーズというプラットホームがどんどん大きくなって、余ったお金と人と時間を全部共有してみんなで太っていこう。っていうことが出来たらいいなと。で、最終的に時価総額1兆円以上を達成し、インターネットの時代を動かす凄い100人を創り、インターネットの発展を社会還元していくことに繫がれば嬉しいです。  

 

岡村:小さな事業部でもクルーズの看板を使わせてもらうわけなので、企業間での信用にも繋がったりとか、お金やリソースを使うことができますもんね。

 

小渕:はい。なかなか売り上げが上がっていないベンチャー企業でやっていた人とかも入社していたりしていて。話を聞くと「やりたいことが出来る幅が広がった」って言ってましたね。


岡村:今までって、子会社化を毛嫌いする人って結構多かったじゃないですか? 5年前とかってまるで“悪”みたいな感じでしたよね。

 

小渕:あー、確かにそういう風潮ありましたよね。

 

岡村:グループに入るってことは、その方針に従わなきゃいけないって風潮が会ったと思うんですよね。「俺たちがやりたいようにできねーじゃねーか」っていう。でも今って、「俺たちのビジョンを達成するためにはこのグループに入ったほうがいい」っていう柔軟な選び方に変わってきている気がしていて。

 

小渕:確かに。今までは「自分たちの企業を作るんだ!」って感じだったのが、「作ったプロジェクトを通じて世の中を良くしたい!」って感じに変わって来たのかな。そうなると「ここのグループに入れば自分たちのビジョンを達成できそう」、「そこのグループ資産を使った方が合理的じゃん!」っていう判断の仕方に変わったんですかね。

 

岡村:昔って「企業は人だ!」「人が企業を作るんだ!」っていう考えに重きが置かれていましたけど、「企業は人なり」っていうものが元々出来上がった会社に入ってしまえば、物、事があれば成り立ちますもんね。その物を作るための最短ルートで考えるやり方に変わっていったのかな。

 

小渕:僕たちって元々、「山はてめえの足で登るんでぃ!!」っていう考えでしたもんね。「お前らついて来いや!」的な。

 

岡村:そうっすね(笑)。

 

小渕:でも今って、「なんで山を登るためにそのやり方なんですか?もっと合理的な登り方あると思うんですけど」っていう考え方も出てきていますから。昔のような「根性論」的な俺たちとは違いますよね。

 

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「いつのまにか、紙巻きたばこを吸っている人も電子タバコを吸うようになった。時代はどんどん移り変わるんですね…」と、モノ悲しそうに会話をするアドウェイズ岡村。

 

岡村:世の中的に起業家って、会社っていう組織とプロダクトを作らなきゃいけなかったんですよね。でも最近は、プロダクトに集中するような流れに変わってきたのかな。だから「会社は俺たちの物だけじゃなくていい」っていう柔軟な考えになってきていて。企業側もそれを受け入れられる柔軟な考えに変わってきてるし。

 

小渕:そうだね。そう考えると今までのクルーズって、「俺たちのクルーズ!」っていう考えが強かったんですけど、今の会社は人と物と金が集まるプラットホームみたいな場所に変わっているんですよ。みんなで共有して、早くて合理的だねっていう風に変わってきていて。「おれ」が「みんな」に変わったというか。もちろん「根性です!」っていう人も大切だけどね。是でも非でもなく。

 

高山:長時間たくさん飲めたら偉い、っていう時代でもなくなったんですね。

 

岡村:高山さんの価値が薄くなりますね。

 

小渕:いや、最初に言ったとおり、もちろん高山さんみたいな人も大事なんですって(笑)。

 

高山:(ここは、最後のチャンス……!)

 

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高山:じゃあ、あの。僕も、“永久進化構想”、入りたいんですけど……。グループ入りすること、名誉じゃないですか。最近お金がなくって、えへへ…(笑)

 

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小渕おくりバントは……ちょっと勘弁してください…。というか高山さんの会社はアドウェイズの子会社じゃないですか。岡村さんに言ってくださいよ。

 

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岡村いや…あの、小渕さん、すみません、引き取ってもらえませんか……。

 

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高山:……。

 

岡村:全く進化してねーな。

 

 

 

ということで、クルーズ株式会社・小渕氏を迎えた「勝手にしやがれ」第40回は終幕した。皆さんは“永久進化構想”について理解を深めることが出来ただろうか。

 

「自分もクルーズに入り、永久進化構想を成し遂げる経営者の一員になりたい」と思う方は、小渕社長のもとに訪れてみてはいかがだろうか。(当日「勝手にしやがれを見た」と小渕社長に伝えると、何らかのメリットがあるかもしれない)

詳細はこちらから 

 

次回もアドウェイズ岡村がユーザーの悩みに答えていく。乞うご期待あれ。

 

 

取材協力:クルーズ株式会社

 

編集・構成:長橋諒