岡村陽久の勝手にしやがれ

あなたの相談を岡村流「勝手な解釈」で解決。ITのことから、世の中、男女、不条理まで

【第45回】アドウェイズ岡村×須田仁之 IT業界のおじさんたちが、若者から好かれるにはどうしたら良いのかを考えてみた

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第45回。珍しくこの日はアドウェイズ岡村が深刻な顔をしながら、おくりバント高山を社長室に呼び出した。なにやら岡村は、4月から新卒を迎える前に“解決しておきたい悩み”があるという。そしてこの悩みは2人では解決出来ないということで、今回は特別ゲストを招き正解を探っていくようだ。全国のおじさんサラリーマン必見の内容を、最後までお楽しみに。

 

2019年 3月25日(月)深夜23時、アドウェイズ社長室にて

 

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アドウェイズ岡村:あの……そろそろ、結論を出したいですよね。

 

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おくりバント高山:そうですね……。僕もちょっと眠くなってきました。

 

岡村:割と長い時間、話をしていると思うんですけど、やっぱり答えがまとまらないですね。須田さんはどうでしょうか?

 

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須田さん:そうですね、僕もちょっと眠くなってきました。やはりこの件について答えを出すのは無理なのかもしれないですね。

 

岡村:やっぱダメか……

 

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アドウェイズ岡村とおくりバント高山はこの日、夜の20時過ぎから熱い議論を交わしていた。話の結論が見えてこないため、会社の近くのコンビニで酒とつまみを買いに行ったほどである。

 

岡村:えっと、一旦振り返ってみましょう。僕らはこの数時間、ずっと同じ議題に悩まされているわけですが。

 

高山:もう3時間以上経過していますね。

 

岡村:はい。その結果、2人で悩んでも仕方ないと思い、須田さんを呼んだんです。

 

須田さん:急に電話がかかってきて何だろうと思ったら、今すぐ新宿にきてほしいと。渋谷で飲んでいたのですが、急用かと思いすぐに駆けつけました。

 

岡村:本当にありがとうございます。

 

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急な誘いに関わらず、快く駆けつけてくれた須田さん。エンジェル投資家ならぬ“エンジェル労働家”を自称する須田さんの初めての著書『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』(ヨシモトブックス刊)は、全国の書店にて絶賛発売中だ。

 

須田さん:そしたら、2人ともずっと同じ議題で悩んでいるって言うじゃないですか。

 

高山:はい。すみません。

 

須田さん:でもこの議題って、僕らおじさん世代がもう何年も悩まされている問題だと思うんですよ。だから急に解決するのは無理なのではないでしょうか。

 

岡村:いやいや須田さん、ダメなんです。僕らは今日中に解決したいんですよ。若手社員に好かれる方法を…!

 

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若手から好かれるためにはどうしたらいいか。

 

岡村:あの、さっきから何回か言ってますけど、来週から新卒が入ってくるんですよ。その前にこの悩みを解決しておきたくてですね。

 

高山:はい。

 

岡村:ちょっと例を出すと、僕らが若手の頃って、仕事上“無茶振り”があったら嬉しかったじゃないですか。多少どこかで、何というか…芸人的な“おいしさ”があったんです。でも、今の若手って、無茶振りには引いちゃいますよね。

 

須田さん:はい。ドン引きですね。

 

岡村:多分ベンチャー企業を10年以上やっている人って、無茶振りは喜ぶのではないかと勘違いをしてる人って多いんですよ。僕もつい最近までそうだったんですけど、しかし、どうもこうも違う、おれが違うんだと思い始めたんです。

 

高山:岡村さんは考え方が変わったんですね。

 

岡村:はい、ここ数年で体育会系的な思考を変えなきゃと思うようになったんです。でも、いざ変えるといっても、どういう風に若手に接したら良いのかマジでわからないんですよ。

 

須田さん:わかります、わかります。

 

岡村:今アドウェイズにいる本部長とかは無茶振りをして育ってきた世代で、なんでもかんでも出来ると信じて無茶振りをして、だんだん成長して今があります。だから変えなくてはならないってなった今、全くわからないんですよ。

 

須田さん:普段、若手社員とはあんまり喋らないんですか?

 

岡村:正直な話、若い人との接点をあまり持たないようにしているんです。なぜかと言うと、すぐ気合いと根性の話をしちゃうからで…。本当はめちゃめちゃ喋りたいんですけど、でも喋って嫌われるかもしれないと思うと怖いんですよ。

 

須田さん:なるほど……、嫌われたくないんですか。そしてこの話って、日本中のおじさんサラリーマンが悩んでいる議題ですよね。

 

f:id:okuri_bunt:20190326224045j:plain気合いと根性を受け入れることができる世代は「親が育った世代が戦後か戦後じゃないかということで変わるかもしれない」とアドウェイズ岡村は持論を展開していた。ちなみにアドウェイズ岡村が着用しているジャケットは「木更津のアウトレットで買った」とのこと。

 

高山:若手とおじさんたちがうまくいってる会社って、どんな感じにやってるんですかね。

 

須田さん:うーん、僕が見てきた感じだと、やっぱり“寄り添う”っていうことは大事なのかなって思いますよ。でもその寄り添い方が難しいんですけど。

 

岡村:卑怯かもしれないけど、新卒と接している時はすごい優しく寄り添っていますね。中堅社員からは「え、僕らの時代は…」とか言われますけど、それは割り切ってもらっています。

 

須田さん:まあ、こんな風に世の中が変わるのは仕方ないことですよね。昭和は終わって、なんなら平成も終わろうとしていますから。言うなれば、これからの若手が喜んで仕事が出来るシステムを開発する企業が勝つんじゃないですかね。どの会社もいろいろ模索していますが。

 

高山:岡村さんも昔は最年少上場の若社長でしたけど、今はもうおじさん社長ですからね。

 

岡村:本当ですよ。そしてこれは話尽くされているかもしれないですが、昭和系は「飲みに行こう」と言われたら喜ぶじゃないですか。仮に夜23時でも「いえーい!」となりますよね。でも若い子は絶対に嫌がりますよね。

 

須田さん:いやいや、話尽くされてますし、もう飲みなんて禁止ですよ。

 

高山:え。禁止ですか。

 

須田さん社員のプライベートを飲み会で削るなんてもってのほかです。社内的に禁止にした方が良いくらいです。

 

岡村:でもそうすると、社内でのコミュニケーションが薄まってしまうのでは……。

 

須田さん:であれば、例えば夕方15時くらいからハッピーアワーを開催して、飲みたい人だけ参加するシステムを作るとか、いろいろ策はあると思いますよ。

 

岡村:確かに……。

 

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尊敬されているおっさんを研究すれば良い

 

岡村:とはいえですね、部下に誘われたりしたいじゃないですか。30代以上の中堅にはご飯とかに誘われますが、20代からは一度もないですからね。キャンプも釣りも、おじさんしか一緒に来てくれないですから。

  

須田さん:うーん、であれば、アンケートとかを取ったら良いかもしれませんね。そうすれば若手が会社に何を求めているかを把握出来るかもしれません。上司に怒られた時とか取引先とトラブった時とかに、岡村さんに直接相談できるシステムがあっても良いかもですね。

 

高山:辞める前に一度こちらへ、退職相談のります。とかも嬉しいかも。

 

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「キャンプ、釣りは若手に人気がないと薄々気づいていた」と語るアドウェイズ岡村。その2つがダメならば、次の候補として「パンケーキを一緒に食べに行く」という戦法を考えていたらしいが、須田さん曰く「絶対にやめておいた方が良い」とのことである。

 

須田さん:というか、最近の若手はめちゃくちゃスペックが高いんですよね。今の新卒は即戦力ですから。小さい頃からIT機器をいじっているからだと思いますが、エクセルもパワポもインターネットも全部使えます。

 

高山:そう考えると、ネットに疎いおじさんたちを尊敬できないし、そんなおじさんたちに指示なんか出されたくないってことかもしれませんね。

 

岡村:あー、ってことはじゃあ、尊敬できるおっさんになったら良いってことで、そのためには尊敬されているおっさんを研究すればいいんじゃないですか?

 

高山:一理ありますね。

 

須田さん:芸能人でいうと出川さんとかサンドイッチマンさんとか、ちょっと“ダサいおじさん”って、好感度がめちゃくちゃ高いんですよ。

 

岡村:うん、ちょっと“スベって”いるおっさんって、可愛いし尊敬もされるのかもしれません。

 

須田さんマウントも取ってないですし。そしてちゃんと仕事も出来るという。

 

高山:これ、発見ですね。

 

須田さん:要するに、若手に権威を振りかざしてマウントを取ってはいけないってことですよ。そう考えると芸能界と同じように、IT業界にも“本当にいい人が尊敬される時代”が来るのではないでしょうか。なんか僕らの業界って、ちょっと胡散臭い人が多いですしね。

 

岡村:KPIとかエンゲージメントとか、難しい言葉を権力を振りかざして使うおじさんになってはいけないってことですね。そう考えたら僕はカタカナが嫌いな人間なので、結構若手に好かれる気がしてきました。

 

須田さん:まあ、ある程度リテラシーは高くないと尊敬してもらえませんよ……

 

 

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 気がつけば時刻は深夜2時になっていた。話し合いの結果、アドウェイズ岡村は新卒を迎え入れる心構えを持てたようである。ちなみに須田さんの話をもっとよく聞きたい、という方は、著書『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』(ヨシモトブックス刊)を購入してみてはいかがだろうか。

 

 

3人のおじさんが“若者に好かれるにはどうしたらよいか”を考えた、対談形式の「勝手にしやがれ」は閉幕した。この議題について完全なる正解を導き出すのは難しいかもしれないが、ここまで読んでいただいた皆さんは、おじさんたちの考え方に理解を深めることができただろうか。

 

ということで、次回の「勝手にしやがれ」もお楽しみに。

 

 

 

編集・構成:長橋 諒