岡村陽久の勝手にしやがれ

あなたの相談を岡村流「勝手な解釈」で解決。ITのことから、世の中、男女、不条理まで

【最終回】売り逃げなんかじゃない!漢(おとこ)前澤社長は2兆4000億をZOZOに捧げていた

9月某日 アドウェイズ社長室

 

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高山:この「勝手にしやがれ」も今回で49回。もう少しで50回ですね。

 

西久保:約4年間かあ。短いようで長かった。折角だし50回記念の催しを企画してもいいかもしれないですね。

 

高山:岡村さんの好きな竹原ピストルとか呼びたいですね!

 

西久保:いいですね!「カモメ」とか聞いて、前後不覚になるくらい泣きたい!

 

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岡村盛り上がってるところ悪いけど「勝手にしやがれ」は今回で最終回です。

 

西久保・高山:!?

 

高山:……49回で終わるって縁起も区切りも悪いし、せめてあともう1回やりませんか?それとも、今回で終わらせたい理由が何かあるんですか?

 

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いきなり最終回の告知を受け、あまりの驚きに「ゼロ」の表情になる2人

岡村そもそも4年も続くと思ってなかったんですよ。そこは、もうごめんとしか言えないです。ちなみに、僕が第1回目で話したこと覚えてますか?

 

西久保:サイバーエージェントの藤田社長がNIKKEIに掲載した記事が炎上したことに対して、藤田社長の本心を勝手に想像しながら言及した回ですよね初っ端から色んな意味でキレてたと記憶しています。

 

岡村:そうそう。それで初心に戻って今、世間を騒がせている話題をチェックしてみたんですよ。

 

前澤社長は損得勘定で会社を売るような人じゃない

 

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西久保:最近で言うとZOZOの前澤社長の退任とか……。

 

岡村:まさしくそのことに関して、今回はどうしても物申したいことがあって。そしてそのままゴールテープを切り、有終の美を飾りたい。

 

高山前澤社長と言えば世間では「売り逃げ」なんて囁かれていますけど……。

 

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ひょっこりとキレる岡村

岡村正気ですか?

 

高山:えっ。

 

岡村:実は僕と前澤社長は、過去にお食事会をしたこともある間柄なんですよ。と言っても、15年前に1回だけなんですけどね。

 

高山:……15年前。

 

岡村:でも、僕は以前から一度飯を食えばその人の性質が7割分かるスキルを持ってるんです。だから言える。あの人は自分の損得勘定で会社を手放すような人じゃない。

 

西久保:岡村さんの男気スカウターが発動したわけですね。

 

 

Yahoo!と組むことでZOZOの株価は5年後10倍になる(見立て)

 

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興奮のあまり動きが俊敏になり、心なしか発光している

 高山:とは言え実際に自分の会社を手放しているわけですし……。

 

岡村:……高山さんの視野は鳥ですか?現状、ZOZOのユーザーは20〜30代前半がメイン。それに対してYahoo!のユーザーは30〜40代の我々世代。Yahoo!と組むことでZOZOを利用する客層が大幅に広がるんですよ。

 

西久保:ZOZOを世に普及するための施策でもあったんですね。

 

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岡村:それだけじゃない。Yahoo!と組む事でポイント系がより充実する筈です。きっと。連結子会社になったからこそYahoo!はそこまでのことをしてくれるんですよ。

 

西久保:なるほど。

 

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株価10倍理論を展開するため後ろの黒板に色々書き連ねていたが、ちょっとよく分からなかったので割愛

岡村そうなってくると、ZOZOの株価は間違いなく上がるはず。きっと。Yahoo!と連携を組むことで売り上げが増加し、株価は3倍に。さらにポイント系の恩恵を受けプラス3倍、社員のモチベーションが上がったりと、その他諸々で1.1倍。 

 

高山:本当ですか……?

 

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西久保:じゃあ今、前澤社長が売却によって手にした額が2400億円と言われてるけど……。

 

岡村株価は5年後に10倍は上がるはずだから、2兆円は損したことになりますね。そもそも売り逃げっていうのは、例えば800円の価値のものを1000円で売ること。将来2兆4000億円になる株を2400億円で売ることは、売り逃げとは言いません。広辞苑にもそう書いてあります。

 

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岡村それでも売却したのは、ZOZOの市場価値を上げるため。ZOZOを誰よりも愛している前澤社長だからできた決断なんですよ。

 

高山:でも、そこまでZOZOを愛しているのなら、既存の社員が勤めているZOZOを退任しなくても良かったのでは?

 

 

前澤社長は顧客のために売却し、社員のために退任した

 

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岡村:……あの会見、見ました?ちなみに僕は全部見ました。

 

高山:前澤さん泣いてましたよね。

 

岡村僕はあの涙を見て全てわかったんですよ。

 

西久保:全て、とは?

 

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岡村:前澤社長がZOZOに在任し続けることで、ZOZOには親分が2人いることになります。社員も、前澤親分とYahoo!の川邊親分の2人の親分がいたんじゃどっちのいうことを聞けばいいのかわからなくなってしまう。自分の子どもとも言える社員に、悩まず健やかに成長して欲しいという思いから、退任という苦渋の決断をしたんだと思います。これもおそらく7割の確率で当たっているはずですね。

 

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最近週6でサウナに通っている西久保。多いときで週8

西久保:子の成長を想う親の気持ち……。

 

岡村前澤社長が涙を見せたのは、記者から社員に対しての質問が出たときだったんです。「愛ゆえの決断ではあるものの、長年一緒に戦ってきた社員に『社長は逃げた』と悲しい思いもさせたくない」という葛藤が涙となって現れたんじゃないでしょうか。前澤社長は顧客のために売却して、社員のために退任したんです。

 

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今日かぶっているのはガチモンの「農業協同組合」キャップ。お気に入り

高山なんで岡村さんもちょっと泣きそうなんですか?

 

岡村:僕も一応これでも社長なんで少しは気持ちがわかるんですよ。でも、こんなこと、前澤社長は野暮だから言わないと思う。だから社長の端くれである僕が代わりに言っておきます。そして、最後に前澤社長にはこう伝えたい。

 

 

拝啓 前澤友作様。そしてZOZO社員の皆様

 

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岡村:待って、これも言っておきたい。

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良質な漢気に共鳴するといくとこまでいっちゃう岡村

西久保:あれ……岡村さん、泣いてる……?

 

高山:泣いているところ大変恐縮ですが、これ、全部岡村さんの想像上の話ですよね。

 

岡村:おおかた、7割は合っているはずです。

 

西久保:おおかた7割。

 

高山:おおかた7割。

 

岡村:前澤社長、本当にお疲れさまでした。あと、この「勝手にしやがれ」も本当にお疲れさまでした。今までありがとう。そして……ありがとう。

 

西久保:あ……本当に終わるんだ。

 

 

 

これまで長きに渡り、ご愛読いただいた読者の皆様、ありがとうございました!またどこかでお会いしましょう!

 

 

 

 

 

 

 

構成・執筆:いちじく舞

【緊急招集】2億の豪邸生まれプレハブ小屋育ちのフィリピン支社長が来日

7月某日 アドウェイズ社長室

 

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アドウェイズ岡村:今日、アドウェイズフィリピンを急成長させた社長が帰国したんですよ。

 

おくりバント高山:社長が一時帰国してるって噂は聞いていますよ。それが今日、緊急招集がかかった理由ですね。確かフィリピン支社は、広告運用をやっている重要海外拠点のひとつなんですよね。

 

岡村:実はフィリピンって、以前はいつ撤退してもおかしくない小さな拠点だったんです。それをたった3年で重要拠点にまで押し上げた彼に、アドウェイズフィリピンの「人儲け」の真髄を教えてもらおうと思って呼んだんです。

 

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坂川:お疲れさまです! アドウェイズフィリピン社長、坂川です!!

 

高山:海の家を関東中心に3店舗くらい展開するオーナーみたいな人が来た。

 

 

優秀な人材が多いのに、離職率が高かった理由とは

 

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坂川:すみません、セブ島は日差しが強いんでどうしても日焼けしちゃうんです……。

 

高山:え、アドウェイズフィリピンってセブ島にあるの!? 毎日がリゾートじゃないですか!

 

岡村:セブ島に拠点を置いた狙いはちゃんとあるんですよ。物価や家賃が安いうえ、実はセブは英語留学の町なので、人材育成もできるし、現地に優秀な人も多いんです。

 

坂川:そうなんです。一流大学から大手企業に就職してキャリアアップのために英語勉強しに来た人や、国家公務員で疲れちゃったからセブで英語勉強しながら暮らそうって人が普通にいるんです。例えば森永製菓のアイス『ピノ』のパッケージデザインとか、食品関係でデザイナーやってた人とかもうちにいて、セブの日系レストランのロゴとかメニューデザインの仕事から広告受注に繋げたりしてくれていて、この間も……。

 

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岡村:オーケーいったんストップ!坂川くん放っておくと5時間くらい喋るので、僕が止めていきます。

 

高山:ありがとうございます。ここまでは優秀な人材が多いって話でしたけど、昔はフィリピン撤退も考えてたんですよね?

 

岡村:業績が上がってなかったんです。それがここ数年で重要拠点になるくらい調子良いってことで聞いてみたら、坂川くんはまず離職率をさげる努力をしたそうなんですよ。じゃあ坂川くん、どうぞ。

 

坂川:はい。離職率を下げられたのは、社員の人生にコミットしたおかげなんです。

 

 

離職率を下げるため、社員のお母さんと一緒に三者面談

 

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坂川:さっきも言った通り、セブは英語留学の町で優秀な人が集まってます。ただそれゆえ「一時的な通過点」というスタンスで長く働くつもりがないから、業務上のスキルを習得する必要もないと考える人も多くて。

 

高山:腰掛けってやつですね。

 

坂川:そこで、まず「2年間働いてくれる人を増やす」という目標を決めたんです。

 

高山:達成するためには、どんなことを?

 

坂川:その人がアドウェイズフィリピンで過ごす2年間と、2年後会社を辞めてからの未来を提示して、会社が提供できるものと本人の夢を徹底的に擦り合わせる必要があったんです。その人のやりたいことに繋がるようなスキルが身につく仕事なら、モチベーションも全然違いますよね。

 

岡村:要は会社の都合で仕事をやらせるんじゃなく、その後「アドウェイズフィリピンで働いて良かった」と思えるような経験を積んでもらえるよう全員と向きあったんですよね。

 

高山:なるほど。でも、その人が本当は何をやりたいかを聞き出すのって結構難しそう。

 

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坂川:社員と距離を置かず、とにかくコミュニケーションを取りました。僕自身の夢も自己開示して向き合って。そうやって時間をかけて仲良くなって、その人の人生と仕事を擦り合わせした結果、うちで働くモチベーションを持ってくれたんです。

  

岡村:素晴らしい。尺はギリギリだったけど。

 

坂川:ありがとうございます。

 

高山:人と向き合うことを徹底した結果、業績がアップした。まさに「人儲け」ですね。

 

坂川:フィリピンっていう場所だからそれができるというのもあって、本社から出張で来た人には驚かれますね。社員のお母さんと一緒に3人で人生を考えたりもするんですけど、「そこまで向き合ってるのはやり過ぎなんじゃないの!?」って。

 

高山:大人の三者面談は聞いたことないな……。

 

岡村:これほどまでに坂川くんが人と向き合おうとするのは、自身の生い立ちも大きく関係してるんだよね。

 

坂川:僕ってプレハブ育ちだったんですけど……。

 

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高山プレハブ!?

 

坂川:ぼく、福井県の偏差値最下位の高校で、さらに成績が最下位の生徒だったところから頑張って早稲田に入ったんですよ。そしたら大学卒業1ヶ月前に福井市の市長だった父親が亡くなっちゃって……。

 

高山:急に簡潔すぎて話に追いつけない……。

 

岡村:人生色々ありすぎですよね。メインはお父さんの話なので、他の色々はダイジェスト的にまとめましょうか。

 

 

ビールケースで作った即席ベッドで眠る少年時代 

 

坂川:生まれた瞬間は大金持ちだったんです。おじいさんも年商が100億ある大富豪で、一族にも政治家とか医者とか弁護士ばっかりで。そこの直系の長男が僕でした。

 

高山:福井の名家の跡取り息子だ。

 

坂川:父も政治家で、福井のテレビに出たり中学の卒業式で偉い人のお言葉としてスピーチしたりして「あいつ話長いな」って言われてましたね。

 

岡村:遺伝したんだね。

 

坂川:そんな家柄だったので、次の総理大臣になるべく育てられていました。「世取り」の書道持たされて記念写真を撮ったこともあります。

 

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高山:総理大臣用の教育プログラムを通ってきたんだ……。

 

岡村:ヤバいよね。

 

坂川:それがおじいちゃんの不動産屋がバブル崩壊で一気にダメになっちゃって。ぼくが小学2年生のときには実家は借金だらけ。急遽2億円の豪邸を売って、余ってた土地に駐車場とプレハブ小屋を建てて引っ越したんですよね。

 

高山:それは辛かったでしょう。

 

坂川:子どもだったからか意外と平気でしたね。ビルの間にある駐車場だったんで日の光も差さないし、雨降ると天井が打楽器さながらのリズムを奏でるし、ビールケースで作ったベッドで弟と母と川の字で寝たり、とにかく極貧だったんですけど、全部面白がってたんです。

 

高山:前向きなんだね。

 

 

ペンを持つこともままならなかったけど早稲田に合格

 

坂川:高校はカラーギャングとか暴走族とかいっぱいいるとこでした。

 

高山:そこでもビリだったってなかなかですよね。

 

岡村:勉強嫌いだったの?

 

坂川:いや勉強って悪い人がするもんだと思ってたんですよね。当時インターネットとかなかったんで、先輩がそう言うから本当だと思ってたんですよ。

 

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高山:痛快なほどバカだったんだね。

 

岡村:それだと坂川くんの親族の医者とか弁護士もみんな悪いってことになっちゃうじゃん。

 

坂川それは気付かなかったです……。勉強をやった悪い人たちが東大とか早稲田に行って官僚になって悪いことしてるんだという思考が育っていって。「良い人間でいれば、大学はお願いすれば入学できる」と先輩が言っていたので、本気で信じていました。

 

岡村:不良なのに性善説が過ぎるな。

 

高山:その世界観なら勉強する理由は何もないですよね。でもそっからどうやって早稲田に繋がるんですか。

 

坂川:高2の終わりぐらいですかね、ふと思ったんです。大学はお願いして適当なところに入ったとして、卒業後働くとなったら東大とか早稲田とかを出た悪い奴らが俺たちの上司になってアゴでこき使われるんだ、それっておかしくないか?って。

 

高山:その理屈でいけば確かにそうだよね。まあ、その理屈がおかしいんだけどね。

 

坂川:でもそんな文句言ったって負け犬の遠吠えになっちゃうから、一度悪い奴らと同じ土俵で戦って、勉強なんか大したことないぞこの野郎って言ってやろうって思って勉強を始めたんです。

 

岡村:そこからよく勉強に入っていけたね。勉強なんて初めてなんでしょ?

 

坂川最初はシャープペンシルの持ち方すらおぼつかなくて、書いてると指もすぐ疲れちゃうんですよね。

 

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高山:そこからかぁ。

 

坂川:でも福井の田舎のプレハブで育って、好きだった映画とか音楽とかテレビは全部遠い東京にあるっていう中で、勉強だけは頑張った分だけゴールに近づく感覚があって大好きになったんです。それから一日中、何やってるときもずっと勉強してました。

 

高山:でも勉強って悪いことしてる感覚はなかったの?

 

坂川罪悪感は、ずっと感じてましたね。

 

高山:罪悪感はあったのね(笑)でもそれで早稲田に合格したんだからすごい。

 

坂川:まずペンを持つところからだったので3年かかりました。2浪でそこそこの大学には合格したんですけど、入学してから「俺がもともと目指してたのってなんだったっけ」と思って、親に相談して退学したんです。バイトしながらまた勉強して、翌年に憧れだった早稲田に入ったんです。

 

岡村:すごいよね。当時ブログとかあったら書籍化してたかも。

 

高山:でもそこからどうやって「人と向き合って一歩を手助けする」みたいな人生観になるんだろう……。

 

 

父の死に様が、生きる上での教科書になった

 

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坂川:バブルが崩壊して我が家は没落したりはしましたけど、父はずっと福井市長を目指して政治家をやってたんです。家でもいつも「自分を育ててくれた福井のために頑張りたい」って言っているのをぼくも母もずっと見ていました。そしてついに僕が大学3年のとき、父が福井市の市長に当選したんです。

 

高山:お父さんの夢が叶ったんだね。

 

坂川:でも、当選してすぐにガンが見つかって、翌年死んじゃったんです。

 

高山:マジか。

 

坂川:当選してすぐに地元の新聞で市の将来設計とかを全部宣言して、あとは実行に移すだけだ、俺は福井のために頑張るんだってタイミングだったんです。そうやって志半ばで亡くなって、ずっと支えてきた母親も本当に悲しんで。

 

岡村:やっと夢が掴めたって瞬間に亡くなってしまったんだね……。

 

坂川:第一歩を踏み出した瞬間だったんです。でもそれはあくまでスタートであって、ゴールじゃない。そんな父の生き様と死に様を間近で見て、一歩踏み出したらまた次の一歩を踏み出してゴールにたどり着かなきゃ意味がないんだなと思ったんです。

 

高山:大学卒業、就職の直前で人生観変わったんだ。

 

坂川:そのときの気持ちが今のアドウェイズフィリピンにつながっているんです。父親の、誰かのために尽くそうとした遺志を継ぎたいという気持ちがぼくの中に生きているんです。

 

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坂川:フィリピンに来てる人たちって、日本で思うようにいかなくて、世界への一歩、別のキャリアへの一歩を踏み出した人たちなんです。でもその次の一歩をどう踏み出すべきか悩んでいるとき、一緒にゴールを見据えて寄り添っていけたら、それは父が福井のためにやろうとしたような意義のあることなんじゃないかなと思ったんです。

 

岡村:すごいでしょ。

 

高山:後半ずっと鳥肌が立ってました。

 

岡村:でもね高山さん、坂川くんのエピソード、まだまだこんなもんじゃないですよ。まだ5分の1も話してません。

 

高山:まじっすか。

 

岡村:また次に帰国するタイミングで聞かせてもらいましょう。替わりに短いヤツ、両親の結婚式の話聞かせてよ。

 

坂川:全然大した話じゃないんですけど、両親は福井市で結婚したそうでそのときの写真見たんです。そしたらなんか市内でパレードやってたみたいで。変わってますよね。

 

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高山:全然大したことあるんだよなぁ……。

 

 

 

 

 

次回もお楽しみに!

 

執筆:勝山ケイ素

編集・構成:いちじく舞

【第47回】会社は友達を作る場所じゃない!けど”御トモダチ”は社会人のライフラインになる

前回「おじさんギルド」の重要性を伝授してくれた西久保さん。論客としての腕を買われ、この日も社長室に呼び出されていた。今回は「おともだち」ならぬ「御トモダチ」の作り方を教えてくれるということだが……?

 

7月某日 アドウェイズ社長室

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アドウェイズ岡村:お忙しいところ急にすみませんね、西久保さん。僕一人の手に負えないので、一緒に高山さんを説得して欲しいんです。

 

おくりバント高山:岡村さんなんでそんなこと言うんです! あんたも俺を裏切るのか!!

 

西久保:穏やかじゃないですな……。一体なにがどうしたんです。

 

高山:クライアントからの直球な要望を伝えたら、仕事を任せてる若手から逆ギレされて。俺だって精一杯尽力してるのに、何で軽自動車の狭い車内で2時間説教を受けなくちゃいけないんだ。もう泣きそうだったよ。というかほぼ泣いてたよ。きっと未来永劫、誰も俺の頑張りなんて認めてくれないんだ。

 

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西久保辛い。

 

岡村:ずっとこの調子なんです。

 

西久保:でも、高山さん。もしかして高山さんも、他人に関心を持っていないんじゃないですか?

 

高山:他人への関心……?

 

学校では作れない、人生を支える“御トモダチ”

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西久保:自分を一方的に理解してもらおうとしたって無理な話です。高山さんは相手の家庭のことや、私生活、好きな漫画、得意なワザや苦手な食べ物、どれくらい知っていますか? 人に関心を持っていない人が、同僚や上司部下から分かってもらうのは難しいんじゃないですか?

 

高山:そ、それは確かにそうかもしれませんけど……。でも、ここは会社ですよ! ある程度の距離を保ちながら相手の気持ちを酌んで、よしなにやってくのが社会なんじゃないんですか!  会社は学校じゃないんだ!

 

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岡村:ばかやろう……。

 

高山:!?

 

岡村:確かに会社は友達を作る場所じゃない。会社はなあ……『御トモダチ』を作るところなんだよ!

 

高山:おともだち!?

 

西久保:違います、御社の『御』にカタカナの『トモダチ』の方の『御トモダチ』です。

 

高山:そんな言葉聞いたことないですよ……。

 

西久保仕事というお互いに切実な事情が絡んでいるからこそ育める社会人の熱い友情関係ですよ。それは決して学校ではできない。要は全ての会社は最高学府なんです。今の世の中、御トモダチがいないと生き延びるのは難しい。水道、ガス、電気に次ぐ社会人のライフラインなんですよ。

 

岡村:そう、御トモダチはね、社会で唯一自分のことを分かってくれる、心の支えなんです。

 

人には、適正な感謝と適切な承認が何より大切

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岡村:社会で生きていくには自分の頑張りを提示ことも大事かもしれないですけど、日本には見せない美学ってものがあるじゃないですか。

 

西久保:隠れて努力したり、わざわざ口に出さずに相手を思いやることですよね。

 

岡村:ただ、それをずっとやり続けていると、たまに気付いてほしくなることがあるんです。

 

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高山今の俺じゃん。

 

西久保:人間だから仕方ないのよ。誰だって褒められたいんだもの。

 

岡村:そうなんです。努力とか、男らしさとか、徳のある行動とか、知っておいてほしかったりするんですね。

 

西久保:そうそう。

 

岡村:御トモダチは「お前はこういう気持ちでやったんだろ」「俺、お前が頑張ってるのちゃんと分かってるぞ」と励ましてくれます。別に評価が欲しいわけじゃないんです。ただ、たった一人でも自分の努力を知ってくれてる存在がいるということ自体が、心のお守りになるんです。

 

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西久保:人間って、感謝と承認の連続で成長していきます。それは会社員も同じで、お金による成果や対価はもちろん大切だけど、それだけでは心に栄養は行き届かなくて。適正な感謝と適切な承認が繰り返し得られることで、その場所に居心地のよさを感じられたり、ここで頑張りたいと思えたりする。

 

岡村:それをしてくれるのは御トモダチだけなんです。絶対。

 

高山:仕事に関わる全員から褒められなくても、ツボを押さえた一人からの評価で良いんですね。

 

離婚の危機を救った御トモダチのアドバイス

高山:成長とか心の支え以外に、御トモダチを作るメリットってあるんですか?

 

西久保:そりゃメリットだらけですよ。

 

岡村:御トモダチは自分のことをプライベートも含めて全部理解してくれる相手ですから、ピンチのときに最高のアドバイスをくれるんです。

 

西久保:高山さんも、身に覚えがあるんじゃないですか? 前に家のお金を使い込んじゃったときに解決できたエピソード……。

 

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高山あぁっ!

 

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高山:そうだ、家の貯金を全部使っちゃって奥さんが許してくれなかったとき、岡村さんに相談したんです。そうしたら「高山さんは営業マンだから言葉で謝っても口八丁なだけだと捉えられるかもしれない。だから、手紙をしたためて文字で誠意を伝えればきっと奥さんの心に響くはずだ」って言われて。

 

岡村:ありましたね(笑)

 

高山:そんなバカなと思ってたら、本当に許してもらえて。あのときの驚きは今でも忘れられないですよ。岡村さんは、俺のことも奥さんのことも熟知してるから、問題を解決する一番の正解が分かったんだなと。え? もしかしてあれが……。

 

西久保:まさにそう。 それが御トモダチなんですよ。

 

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高山:そうか実は……社長である岡村さんと俺は、御トモダチだったんですね……。

 

岡村:高山さん、僕はずっと高山さんのこと御トモダチだと思ってましたよ。

 

高山:岡村さん……!

 

西久保:あんまりやり過ぎると気持ち悪くなるのでこれくらいにしときましょうか。

 

御トモダチがいれば100万円の仕事も数千万円以上の価値に

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西久保:御トモダチが必要なもうひとつの理由は、やはり仕事が楽しくなる、幸福度が増すってことですね。例えば今すごい苦しい思いをしていたとしても、御トモダチと一緒に乗り越えられたらいつか笑い話になるんですよ。

 

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岡村:楽しさも御トモダチがいれば100倍です。例えば100万円売り上げがでた案件を1人でやっていたら、ただそこには100万円の売り上げだけがあります。

 

高山:それはそうですよね。

 

岡村:でも御トモダチと一緒ならみんなで思いっきり喜べるし、足りなかったらみんなで思いっきり嘆くことができる。同じ気持ちで一喜一憂できるんです。それは、単なる同僚じゃなくて御トモダチだからこそですよね。

 

西久保:月に1回の面談で売り上げだけ褒める上司と違って、御トモダチは一緒に戦った過程も知ってくれていますからね。

 

岡村:自分が夜な夜な続けてきた努力やそこで味わった苦悩を、御トモダチが知ってくれているからこそ、また再起できる。そして一緒に乗り越えた日々はドラマになるんです。その感動は100万なんかじゃ買えません。1億、2億、それ以上の価値がある。

 

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高山:御トモダチとの日々は数億円以上の価値がある……。俺が会社経営の危機に面して落ち込んでいたとき、西久保さんがその日の予定を全部キャンセルして、ラーメン二郎インスパイア系の「豚星。」に連れて行ってくれたあの行動も……。

 

岡村はい、完全に御トモダチです。

 

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高山御トモダチはこんなにも、近くにいたんだ。

 

御トモダチを作るコツはリアルな『いいね!』と『リツイート』

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高山:御トモダチを作ることの重要性はわかったんですが、今から御トモダチを作ろうとしたとき、どんなアクションをすれば良いんでしょう。プライベートに踏み込んだりするのは今の時代ルール違反になりかねないですけど。

 

岡村:あくまで周囲の人に関心を持って見守ることが大事ですね。

 

西久保感動したら、リアルで『いいね!』すればいいんです。

 

高山:SNSだけでなく、リアルで『いいね!』……!!

 

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西久保:誰かが良いことをして感動したら、直接「いいね!」って伝えればいい。それからみんなにも言いふらせばいいんです。そこから御トモダチとのドラマは始まっている。

 

高山:リアルで『いいね!』して『リツイート』するだけでいいんですね……!

 

岡村:これってネットではみんな簡単にできてることなんですよね。でも何故かネットの中だけで済ませちゃってリアルではやっていない。

 

高山:SNSのおかげで『いいね!』を付けたりシェアする習慣はついているはずだから、実はやりやすい時代なのかもしれないですね。

 

岡村:今、自分は『他人に興味もないし御トモダチもいりません』って思っている人も、実はみんなFacebookやTwitterはやっていて誰かに『いいね!』やリツイートをしている。それをリアルでやるだけで御トモダチができて、毎日がけっこう面白くなるんじゃないかな、と。

 

〜〜〜

 

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高山:今日もありがとうございました。御トモダチの作り方がわかって希望が持てました。自分のことを理解してもらおうとする前に、まず人に関心を持つところから始めます!

 

西久保:僕らは高山さんの御トモダチですから力になりますよ!

 

高山:あ、じゃあ5000円で良いんで貸してくれませんか? なんだったら3000円でも良いです。

 

西久保:またですか……?

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

執筆:勝山ケイ素

編集・構成:いちじく舞

【第46回】若手と飲みに行きたい!イケてるおじさん“西久保さん”に聞く「若手との交流の作法」

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第46回。数カ月ぶりにアドウェイズ岡村は、おくりバント高山をアドウェイズ社長室に呼び出した。ここ最近アドウェイズ岡村は“とある悩み”によって苦しめられており、大好きなキャンプにも身が入らないほどだという。「元号が令和に変わっても俺の悩みは変わらない」と語るアドウェイズ岡村のその悩みとは一体。全国のおじさん必見の内容、令和第一回目の「勝手にしやがれ」を最後までお楽しみに。

 

令和元年・6月某日 アドウェイズ社長室にて

 

アドウェイズ岡村:高山さん、お疲れ様です。

 

おくりバント高山:お久しぶりです、岡村さん。そうこうしているうちに、元号が変わりましたね。

 

岡村:そうですね、いよいよ令和になりましたね。あれだけ世間は「平成の終わり」と騒いでいたのに、もう誰も「平成」というワードを口にしなくなって少しさみしい気もします。

 

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高山:言われてみれば……平成、もう忘れさられてますね…。ちなみに岡村さん、令和の目標ってもう作ったんですか?

 

岡村:……これは平成からずっと思っていることなんですけど、やはり、若手と飲みに行きたいんですよ。目標っていうか、悩みですね。かなり深刻な悩みです。

 

高山:飲み会ですか。なんかちょっと時代に逆行している気がしますが……。

 

岡村:まあ、確かにそうかもしれませんが、僕はできれば飲みながら人と会話をしたいんですよ。会社組織を良い組織にするには、やはり仕事以外のコミュニケーションを取ることが一番だと思うんですよね。

 

高山:じゃあいっそのこと、もう直接誘ったら良いんじゃないですか。会社にはたくさんの若手がいるので、岡村さんが一声かければ、誰かしら一緒に行ってくれると思いますよ。

 

岡村:高山さん、それこそアルハラじゃないですか。「飲み会なんて行きたくない」と思っている人を、僕の勝手なエゴで誘いたくはないんですよ。とはいえ、「飲みに行きませんか?」なんて誘いも滅多に来ません。ってなると、僕は一体どうしたら良いんですかね。

 

高山:うーん、じゃあ、若手から飲みに行きたいと思われるキッカケを作れば良いんじゃないですか。

 

岡村:キッカケ……?

 

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「若手と飲み会に行きたい」と悩むアドウェイズ岡村だが、酒の席では基本的に「コーラ」を頼むという。アルコールは一切飲まないが、コーラを飲みすぎて糖分を摂取しすぎると、翌日は二日酔いになってしまうらしい。

 

おじさん界のホープ、西久保さんに聞いてみる

 

高山:ということで、令和の時代を代表するおじさん界のホープ、西久保さんを連れてきました。

 

岡村:あ、西久保さん、お疲れ様です。なんか最近すごいッスね。

 

西久保:お疲れ様です、ありがとうございます、おかげさまで……。

 

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~西久保剛 プロフィール~

学生時代には、プロボクサーを目指す。だが、視力検査があることをプロテスト試験中に初めて知り断念。現在は株式会社アドウェイズにて業務に勤しむ。先日Twitterにて、おくりバント高山と一緒に“世界同時バズ”を生むなど、SNSでの活動にも精を出している。

 

 

岡村:イケてるおじさんってことで話題の西久保さんですけど、若い人とはよく飲みに行ってるんですか。

 

西久保:ん〜、まあそうですね、ちょいちょい飲みに行ってますよ。

 

岡村:であれば、ちょっと質問したいんですけど、どうしたらそんなに“ちょいちょい飲みに”行けるんですか?

 

西久保:そうですね…。簡単に話すとですね、若者には二種類いまして。これは僕と飲みに行きたい人、行きたくない人の二種類です。要するに、行きたくない人を飲みに誘っても仕方ありません。

 

岡村:…そりゃそうでしょうね。

 

西久保:ということはですね、僕と飲みに行きたいっていう人を探すんです。

 

岡村:あの、西久保さん、それが難しいんじゃないですか。

 

西久保:いや岡村さん、自分で探すから難しいんですよ。まさか、まだ平成を引きずっているんですか?

 

岡村:え……?

 

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平成を引きずるアドウェイズ岡村に対し、令和を生きるおじさんホープ西久保。「令和はピースです。しかし、私たちはピースを受け取る側ではなく、与える側にならなくてはならないのです」という言葉を、彼は口癖のようにつぶやいていた。

 

西久保:例えばですね、おじさんが若者を飲み会に誘うと、大体の確率で「面倒くさいおじさん」と思われます。おじさんはおじさんが思っているよりつまらないし、脅威ですからね。しかし、間におじさんを挟むことでそうは思われなくなるんですよ。

 

岡村:お、おじさんを挟む?

 

西久保連携プレーを使うんです。例えば岡村さんが「こいつと飲みたいな」と思っている若者がいるとします。その人の情報をあらかじめ僕と共有しておくんですよ。僕はその若者と会った際に「そういえば岡村さん、君のこと凄く優秀と褒めていたよ」とか、「岡村さん、君の心配をしていたぞ」など、さり気なく“誘い水“を出します。そこで「行きたいです!」と言われればすぐさまセッティング。要するに、おじさん同士で若者をサンドイッチ。いわゆるオジサンドイッチです。

 

高山:(オヤジギャグ……)

 

西久保:この連携プレーをするにあたって大切なことは、周りにいるおじさんが全員参加すること。全員じゃないと連携プレーが成り立ちませんからね。一人でも連携できてないと、おじさんはすぐ「周りのおじさんより俺の方がすごいんだ」ってマウントを取っちゃうんですよ。

 

岡村:なるほど、おじさん相手に変な負けん気を出すなと。

 

西久保:はい。あくまでもおじさん同士は譲歩し合わなければなりません。とにかく、まず若者よりも、おじさんの友達をたくさん増やさなきゃならないってことです。ちなみに僕はこれを「おじさんギルド」と呼んでいます。

 

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おじさんギルドに入会したアドウェイズ岡村とおくりバント高山。なお、ギルド感を出すために話し合いの場所は社長室から会議室に移動した。

 

安易に若手に怒ってはいけない。

 

岡村:話は変わりますけど、この前、うちの若手と飲みに行ったんですよ。28歳くらいの。そこでちょっと怒ってしまったことがあって。

 

高山:え、キレちゃったんですか?

 

岡村:いや、そこまで怒ったわけではないんですが、言うことは言わないとなと思いまして。いくつかあったんですが……一つは飲み会に行く際、交差点でタクシーを拾ってもらおうとしたんです。しかし、その若手は“空車”を2台、目の前で逃したんですよ。

 

高山:はい。

 

岡村:まあ、これは仕方ないっちゃ仕方ないんです。左折レーンの前にバスが止まっていたので、タクシーからしたら見えなくって。でもこれって、バスの後ろで止めなきゃいけないじゃないですか。

 

高山:そうですね。遠いところで手をあげていたら見えないですもんね。

 

岡村:しかし僕は、タクシーの止め方もわからなくて何が仕事だと、説教をしてしまいました。

 

西久保:あ〜〜〜。

 

岡村:飲んでいるときも、僕の手元にあった烏龍茶が最終的に無くなるまで注文をしなかったんです。焼肉も生焼けで皿の上に出されました。僕は“よく焼き派”なんです。ちゃんと確認してほしくって、その都度怒ってしまいました。社会人としてのマナーをわきまえろと。

 

高山:えっとそれは、どれくらいの口調で怒ったんですか?

 

岡村:もちろん優しくですよ。まあ、僕と飲み行ってる分は良いんです。でもクライアントとの飲み会で同じことをやったら彼が恥を掻くじゃないですか。あくまで指導をしたわけですね。

 

西久保:うん。岡村さん、実に平成的ですね。

 

岡村:え?

 

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先日西久保は喫茶店のオープンテラスにとてもガラの悪い3人組が座っているのを発見し「実に平成的だな」と思ったという。「しかもとても低い声で声をかけてくるので、そのまま気づかぬ振りをして立ち去ろうかと思ったんですけど、よく見たら岡村さんと社員だったんですよ」とのこと。

 

西久保:これ、平成、昭和の時代だったら“美談”じゃないですか。「あの時ムカついたけど、教えてくれてありがとうございました」ってなる事例です。でも令和になった今、そうじゃないと思うんですよ。

 

高山:と、いうと。

 

西久保:怒るのが決してタブーではないと思うんですけど、一方的に怒っては若手の士気を欠くだけです。これ僕だったら、全てギャグで返しますから。例えばタクシーを捕まえられなかった若手には、「お前、視力はどれくらいだ? 俺は0.2だから拾ってくれないか」みたいな感じで、前提を置きます。もし捕まえられなかったら、「お前も視力が悪いのか!」とコミュニケーションを取ると思いますね。

 

高山:ユーモアを混ぜると。

 

西久保:はい。若手に本気で「すみません」って言わせちゃダメなんですよ。そうすると“ただの注意”になっちゃうんで、嫌な印象を与えるかもしれないじゃないですか。烏龍茶がなくなりそうな時だって、ずっと「喉乾いた!」って言い続ければ良いんです。その若手よりも早く飲まず、自動的に若手の飲み物がなくなることだってできます。要するに、あくまで気がつかせることが大事なんですよ。

 

岡村:確かに……。

 

西久保:おじさんは、「なにを話したら笑ってくれるのかな」など、目の前の人のことをずっと考えなきゃならないんです。仮に新卒は超つまらないことを言っても、絶対笑ってくれますから。説教や自分語りが笑えないことを、自覚するべきです。

 

岡村:反省ですね、これは…。

 

若者が飲み会に行くメリットとは?

 

高山:怒ることに慣れているおじさんたちが今の時代も大半と考えると、若手っておじさんと飲みに行くメリット、なくないですか。

 

西久保:はい、なのでメリットをこちらから提供していかないといけないですよね。逆に言えば、「このおじさんと飲みに行けばメリットがある」と思われるようなおじさんにならなくてはならないってことです。

 

岡村:ほう。

 

西久保:一つは、僕らおじさんは若手より多少“財力”と“経験”があるので、うまいものを食わすことができます。これはただ高い店というわけではなく、安くて美味しい若手が知らないような店のことも指します。

 

岡村:あ、それでいうと、僕は焼肉を食べに行く際は部位ごとに“はしご”をすることがあります。タンを食うならここ、ハラミをここで食ってから、あっちでホルモンを食べよう、などと。

 

西久保:お、それは良いですね。楽しそうです。

 

岡村:ちなみに若手に「何が食べたい?」と聞く時は、「肉と鳥、魚のどれが食べたい?」と聞くようにしています。

 

高山:鳥? 鳥は肉と同じじゃないですか、岡村さん(笑)。

 

岡村:…あえて鳥を出す理由は、筋トレやダイエットなのどの理由でたんぱく質だけを取りたい人もいるからです。肉という選択肢だけだと、鳥が食べたいって言い辛いじゃないですか。まあ、高山さんからしたらなんでも一緒かと思いますが。

 

高山:すみません。

 

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「肉ならなんでも美味しいんだけどな…」と話すおくりバント高山だが、ラーメン二郎の“豚”だけは店によって味が変わることを理解できるらしい。「目黒の豚はしょっぱすぎず良い塩梅。ひばりヶ丘の豚はフワトロで最高。野猿街道店2はしっかり染みたカエシで味もインパクトも最高」と語る。

西久保:食べ物のメリットを理解できたら、次は飲み会で何を話すかです。先ほど言ったように、若手にはメリットを持たせなければなりません。そこで僕のオススメのネタが、“不快がない情報提供”でして。

 

岡村:不快がない情報提供…?

 

西久保:その人にとって有益な情報を教えるんです。仕事をするにあたり、メリットがある情報を。「〇〇さんはああ見えて繊細なタイプだから、企画書を細かく作ったほうがいいよ」とか。

 

高山:な、なるほど。これはメリットがあります。

 

西久保:大切なのが、自分語りをしちゃいけません。「俺の時代はこうだったからな…」なんて武勇伝は問答無用。下世話な話ではなく、単純にメリットがある話をしましょう。ちなみにネタの入手法ですが、自分の経験談もしくはギルドで新鮮なネタを捕まえる方法が良いでしょう。

 

高山:参考になります。  

 

西久保:最後に、若手と飲む時は、遅い時間まで飲まないようにすることが大切です。目標は“90分”で締めるのが良いですね。若手からしたらうまい飯を食って、メリットがある情報をもらって、そしたら帰りたいじゃないですか。

 

高山:90分……。

 

西久保:「もう一杯行こう」なんて絶対ダメですから。足りなかったなって思われるくらいに帰るのがちょうど良いんです。次にも繋がりますしね。まあ、とにかく解散は早めに。終電までとかはNGです。

 

岡村:そうか、飲み足りないんだったら、そのあとおじさんギルドを使っておじさんを呼べば良いですもんね。

 

西久保:はい、そういうことです。若手から人気者になりたいんだったら、この3つを心がけてください。 

 

岡村:すごい、すごい参考になりました。西久保さん、今日はありがとうございました。

 

西久保:いえ、とんでもないです。岡村さん、ギルドで有益な情報を交換しながら、若手と交流を深めていきましょう!

 

高山:(あれ、そういえば、こんな話前回もしなかったっけ……

 

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 「おじさんは同じ話を何度もする」という定説があるが、「おじさんたちは同じ話を何度もすることで、より自分にとって、人にとって大切なものは何かを気づくのである」と西久保は語る。

 

 


3人のおじさんが“若手と飲みに行くにはどうしたらよいか”を考えた今回の「勝手にしやがれ」は閉幕した。この議題について完全なる正解を導き出すのは難しいかもしれないが、ここまで読んでいただいた皆さんは、おじさんたちの考え方に理解を深めることができただろうか。令和に生きる全国のおじさんたち、ギルドを作ってがんばれ!

 

ということで、次回の「勝手にしやがれ」もお楽しみに。

 

 

 

編集・構成:長橋 諒

 

 

 

【第45回】アドウェイズ岡村×須田仁之 IT業界のおじさんたちが、若者から好かれるにはどうしたら良いのかを考えてみた

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第45回。珍しくこの日はアドウェイズ岡村が深刻な顔をしながら、おくりバント高山を社長室に呼び出した。なにやら岡村は、4月から新卒を迎える前に“解決しておきたい悩み”があるという。そしてこの悩みは2人では解決出来ないということで、今回は特別ゲストを招き正解を探っていくようだ。全国のおじさんサラリーマン必見の内容を、最後までお楽しみに。

 

2019年 3月25日(月)深夜23時、アドウェイズ社長室にて

 

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アドウェイズ岡村:あの……そろそろ、結論を出したいですよね。

 

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おくりバント高山:そうですね……。僕もちょっと眠くなってきました。

 

岡村:割と長い時間、話をしていると思うんですけど、やっぱり答えがまとまらないですね。須田さんはどうでしょうか?

 

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須田さん:そうですね、僕もちょっと眠くなってきました。やはりこの件について答えを出すのは無理なのかもしれないですね。

 

岡村:やっぱダメか……

 

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アドウェイズ岡村とおくりバント高山はこの日、夜の20時過ぎから熱い議論を交わしていた。話の結論が見えてこないため、会社の近くのコンビニで酒とつまみを買いに行ったほどである。

 

岡村:えっと、一旦振り返ってみましょう。僕らはこの数時間、ずっと同じ議題に悩まされているわけですが。

 

高山:もう3時間以上経過していますね。

 

岡村:はい。その結果、2人で悩んでも仕方ないと思い、須田さんを呼んだんです。

 

須田さん:急に電話がかかってきて何だろうと思ったら、今すぐ新宿にきてほしいと。渋谷で飲んでいたのですが、急用かと思いすぐに駆けつけました。

 

岡村:本当にありがとうございます。

 

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急な誘いに関わらず、快く駆けつけてくれた須田さん。エンジェル投資家ならぬ“エンジェル労働家”を自称する須田さんの初めての著書『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』(ヨシモトブックス刊)は、全国の書店にて絶賛発売中だ。

 

須田さん:そしたら、2人ともずっと同じ議題で悩んでいるって言うじゃないですか。

 

高山:はい。すみません。

 

須田さん:でもこの議題って、僕らおじさん世代がもう何年も悩まされている問題だと思うんですよ。だから急に解決するのは無理なのではないでしょうか。

 

岡村:いやいや須田さん、ダメなんです。僕らは今日中に解決したいんですよ。若手社員に好かれる方法を…!

 

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若手から好かれるためにはどうしたらいいか。

 

岡村:あの、さっきから何回か言ってますけど、来週から新卒が入ってくるんですよ。その前にこの悩みを解決しておきたくてですね。

 

高山:はい。

 

岡村:ちょっと例を出すと、僕らが若手の頃って、仕事上“無茶振り”があったら嬉しかったじゃないですか。多少どこかで、何というか…芸人的な“おいしさ”があったんです。でも、今の若手って、無茶振りには引いちゃいますよね。

 

須田さん:はい。ドン引きですね。

 

岡村:多分ベンチャー企業を10年以上やっている人って、無茶振りは喜ぶのではないかと勘違いをしてる人って多いんですよ。僕もつい最近までそうだったんですけど、しかし、どうもこうも違う、おれが違うんだと思い始めたんです。

 

高山:岡村さんは考え方が変わったんですね。

 

岡村:はい、ここ数年で体育会系的な思考を変えなきゃと思うようになったんです。でも、いざ変えるといっても、どういう風に若手に接したら良いのかマジでわからないんですよ。

 

須田さん:わかります、わかります。

 

岡村:今アドウェイズにいる本部長とかは無茶振りをして育ってきた世代で、なんでもかんでも出来ると信じて無茶振りをして、だんだん成長して今があります。だから変えなくてはならないってなった今、全くわからないんですよ。

 

須田さん:普段、若手社員とはあんまり喋らないんですか?

 

岡村:正直な話、若い人との接点をあまり持たないようにしているんです。なぜかと言うと、すぐ気合いと根性の話をしちゃうからで…。本当はめちゃめちゃ喋りたいんですけど、でも喋って嫌われるかもしれないと思うと怖いんですよ。

 

須田さん:なるほど……、嫌われたくないんですか。そしてこの話って、日本中のおじさんサラリーマンが悩んでいる議題ですよね。

 

f:id:okuri_bunt:20190326224045j:plain気合いと根性を受け入れることができる世代は「親が育った世代が戦後か戦後じゃないかということで変わるかもしれない」とアドウェイズ岡村は持論を展開していた。ちなみにアドウェイズ岡村が着用しているジャケットは「木更津のアウトレットで買った」とのこと。

 

高山:若手とおじさんたちがうまくいってる会社って、どんな感じにやってるんですかね。

 

須田さん:うーん、僕が見てきた感じだと、やっぱり“寄り添う”っていうことは大事なのかなって思いますよ。でもその寄り添い方が難しいんですけど。

 

岡村:卑怯かもしれないけど、新卒と接している時はすごい優しく寄り添っていますね。中堅社員からは「え、僕らの時代は…」とか言われますけど、それは割り切ってもらっています。

 

須田さん:まあ、こんな風に世の中が変わるのは仕方ないことですよね。昭和は終わって、なんなら平成も終わろうとしていますから。言うなれば、これからの若手が喜んで仕事が出来るシステムを開発する企業が勝つんじゃないですかね。どの会社もいろいろ模索していますが。

 

高山:岡村さんも昔は最年少上場の若社長でしたけど、今はもうおじさん社長ですからね。

 

岡村:本当ですよ。そしてこれは話尽くされているかもしれないですが、昭和系は「飲みに行こう」と言われたら喜ぶじゃないですか。仮に夜23時でも「いえーい!」となりますよね。でも若い子は絶対に嫌がりますよね。

 

須田さん:いやいや、話尽くされてますし、もう飲みなんて禁止ですよ。

 

高山:え。禁止ですか。

 

須田さん社員のプライベートを飲み会で削るなんてもってのほかです。社内的に禁止にした方が良いくらいです。

 

岡村:でもそうすると、社内でのコミュニケーションが薄まってしまうのでは……。

 

須田さん:であれば、例えば夕方15時くらいからハッピーアワーを開催して、飲みたい人だけ参加するシステムを作るとか、いろいろ策はあると思いますよ。

 

岡村:確かに……。

 

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尊敬されているおっさんを研究すれば良い

 

岡村:とはいえですね、部下に誘われたりしたいじゃないですか。30代以上の中堅にはご飯とかに誘われますが、20代からは一度もないですからね。キャンプも釣りも、おじさんしか一緒に来てくれないですから。

  

須田さん:うーん、であれば、アンケートとかを取ったら良いかもしれませんね。そうすれば若手が会社に何を求めているかを把握出来るかもしれません。上司に怒られた時とか取引先とトラブった時とかに、岡村さんに直接相談できるシステムがあっても良いかもですね。

 

高山:辞める前に一度こちらへ、退職相談のります。とかも嬉しいかも。

 

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「キャンプ、釣りは若手に人気がないと薄々気づいていた」と語るアドウェイズ岡村。その2つがダメならば、次の候補として「パンケーキを一緒に食べに行く」という戦法を考えていたらしいが、須田さん曰く「絶対にやめておいた方が良い」とのことである。

 

須田さん:というか、最近の若手はめちゃくちゃスペックが高いんですよね。今の新卒は即戦力ですから。小さい頃からIT機器をいじっているからだと思いますが、エクセルもパワポもインターネットも全部使えます。

 

高山:そう考えると、ネットに疎いおじさんたちを尊敬できないし、そんなおじさんたちに指示なんか出されたくないってことかもしれませんね。

 

岡村:あー、ってことはじゃあ、尊敬できるおっさんになったら良いってことで、そのためには尊敬されているおっさんを研究すればいいんじゃないですか?

 

高山:一理ありますね。

 

須田さん:芸能人でいうと出川さんとかサンドイッチマンさんとか、ちょっと“ダサいおじさん”って、好感度がめちゃくちゃ高いんですよ。

 

岡村:うん、ちょっと“スベって”いるおっさんって、可愛いし尊敬もされるのかもしれません。

 

須田さんマウントも取ってないですし。そしてちゃんと仕事も出来るという。

 

高山:これ、発見ですね。

 

須田さん:要するに、若手に権威を振りかざしてマウントを取ってはいけないってことですよ。そう考えると芸能界と同じように、IT業界にも“本当にいい人が尊敬される時代”が来るのではないでしょうか。なんか僕らの業界って、ちょっと胡散臭い人が多いですしね。

 

岡村:KPIとかエンゲージメントとか、難しい言葉を権力を振りかざして使うおじさんになってはいけないってことですね。そう考えたら僕はカタカナが嫌いな人間なので、結構若手に好かれる気がしてきました。

 

須田さん:まあ、ある程度リテラシーは高くないと尊敬してもらえませんよ……

 

 

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 気がつけば時刻は深夜2時になっていた。話し合いの結果、アドウェイズ岡村は新卒を迎え入れる心構えを持てたようである。ちなみに須田さんの話をもっとよく聞きたい、という方は、著書『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』(ヨシモトブックス刊)を購入してみてはいかがだろうか。

 

 

3人のおじさんが“若者に好かれるにはどうしたらよいか”を考えた、対談形式の「勝手にしやがれ」は閉幕した。この議題について完全なる正解を導き出すのは難しいかもしれないが、ここまで読んでいただいた皆さんは、おじさんたちの考え方に理解を深めることができただろうか。

 

ということで、次回の「勝手にしやがれ」もお楽しみに。

 

 

 

編集・構成:長橋 諒

 

【第44回】アドウェイズ岡村×芸者東京田中 IT企業の社長同士が語るアウトドアの魅力とは

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第44回。外に出ると暖かさを感じられるほど、日本全国に春の陽気が訪れた。花粉症の方にとっては辛い季節かもしれないが、アドウェイズ岡村にとってこの春は「キャンプ人生初の春」であり、新たな戦いを挑む季節らしい。ということで今回は特別ゲストを招いたうえで、前回に引き続き“アウトドア”について語っていく。最後まで乞うご期待あれ。

 

~前回のおさらい~

 

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アドウェイズ社長の岡村陽久は、2019年、新しい趣味「キャンプ」を見つけた。まだ始めてから数ヶ月しか経っていないにも関わらず、「キャンプは戦い」、「新宿に土地を買って、毎日テントで寝たい」、「コンビニで買ったレトルトカレーが、もうやんカレーに昇華する」などの名言が飛び出した。その上、アドウェイズ岡村の最終目標は“完全自給自足生活”を送ることだという。今回は、そのキャンプ話から1ヶ月後をお送りする。

 

~2月某日・アドウェイズ社長室にて~

 

おくりバント高山:この前、キャンプにハマっていると言ってましたけど、その後は順調ですか?

 

アドウェイズ岡村:ええ。あれからもう何回もキャンプに行くほどハマっています。

 

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高山:あれから1ヶ月しか経ってないですよ。でもそんなに行くなんて、本当すごいハマっているんですね。初心者ならではの悩みとかは特にないんですか?

 

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岡村:それで言うと、キャンプの前日とかは「ワクワク」しちゃってしかたないんです。というか、休憩中は現地のグーグルマップを隙があれば見ちゃうし、仕事中でも頭と心の片隅に常にキャンプがあるんです。どうしたらいいんですかね。仕事とプライベートを切り分ける方法を知りたいです。

 

高山:あのそれ、上場企業の社長が言う言葉ですか。

 

岡村:いや、本当に悩みなんですよ。

 

高山:あ……すみません。ちょっと静かにしてください…。

 

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岡村:え……?

 

高山:今回は特別に、岡村さんと同じくアウトドアにハマっている社長を連れてきました。

 

岡村:え……!?

 

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岡村:あ、ご無沙汰してます!

 

高山:こちら、芸者東京の田中社長です。

 

田中社長:お久しぶりです、岡村さん。今日は宜しくお願い致します。

 

岡村:お会いしたかったんですよ…! Facebookを見ていて、勝手に師匠として仰いでいるほど…! いろいろ聞きたいことがたくさんあります!

 

高山:岡村さん、すごいはしゃぎようですね。連れてきて良かったです。

 

岡村:そりゃもちろん、田中さんは憧れの人ですから。ありがとうございます。

 

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田中:こちらこそ! 僕も岡村さんとはお話をしたいなと思っておりました、お会いできて良かったです。あ、早速ですが、岡村さんの聞きたいこととはなんでしょうか?

 

岡村:あ、あの……最近、僕はキャンプにハマっているんですけど、ハマりすぎて仕事とプライベートの切り分けができないんですよ。どうしたら良いのかなと思っていて…。

 

田中:え、そんなの簡単じゃないですか。

 

岡村:……え?!

 

田中:仕事もアウトドアも、考え方は一緒なんですよ。例えば釣りって、どこに魚がいるのか、それに向かってどうアプローチをすれば釣れるのかって考えるじゃないですか。仕事もそれと同じなんです。

 

僕はフライフィッシングを去年から始めて、仕事の調子がすごいよくなったんですよ。昔から、テストがある世界で点を取ることは得意だったんですが、それだと上手くいかないってことに最近気付いて。でもフライを知って、自分が自分のためにやる仕事はこうあるべきだと感じたんです。社員への態度とか、全部間違ってたなと。それで会社のやり方とかも全て変えよう、生き方も変えようとなりました。そこから会社も自分も調子がすごくよくなったんですよ。

 

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高山:……。

 

田中:しかも、アウトドアは女性にモテますからね。めちゃめちゃモテるんですよ。多分、みなぎる生命力にグッと来るのではないでしょうか。遊んでる人間の、骨の隋からでてくる、コンソメみたいなのが……、響くんですよ。しかもめちゃめちゃ可愛い子にモテますから。で、要するに、女性にモテるってことは、仕事上でもクライアントにモテるってことですからね。いい仕事がポンポン入りますから。

 

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田中:だからこのまま突き進んだら良いと思います。岡村さんがアウトドアを続けることで、アドウェイズ、時価総額10倍くらいになると思いますよ。

  

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岡村:さすが師匠。

 

師匠の最近の話

 

 

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岡村:田中さんは去年フライフィッシングを始めたっておっしゃってましたけど、その割にはFacebookにかなりの釣果写真がアップされているように思えたのですが…。

 

田中:ええ。去年の6月にフライフィッシングに出会ったんです。出会ってから今日まで、ほぼ毎日やっていますからね。

 

岡村:え、ほぼ毎日……?

 

田中:はい。運命の人に出会ったような感じですね。ということで、フライは簡単には手放したくないんですよ。フライを取り巻く全てがめちゃめちゃ面白いんです。

 

岡村:すごい…。あの、話は変わるんですけど、フライでシーバスを釣るってすごくないですか? Facebookの写真を見てビックリしたのですが。

 

田中:あー、いや、実は僕、そんなに上手くはないんですよ。

 

岡村:え、絶対上手いじゃないですか。

 

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「今日もこれから行こうと思っていて。潮がすごい良いんですよ、下潮だから」と話す田中社長。なおアドウェイズ岡村もいつでも釣りに行けるように、コンパクトロッドを持ち歩いているようだ。

 

田中:言うなれば僕は釣りが好きなのではなくて、フライが好きなんです。なので釣れたか釣れていないかは究極どうでも良くて。だけど、やっぱり釣れたほうが楽しい。なので釣れるまで頑張るんです。だから、あまり上手くなりすぎるのはよくない、楽しくないかもしれないとまで思っています。

 

岡村:なるほど、それは目からウロコです。その考え方はありませんでした…。

 

高山:あの、えっとすみません。あの、話の腰を折るようで申し訳ありませんが、フライってなんなのでしょう?

 

田中:フライフィッシングは、エサを使わず昆虫を模した「フライ(毛バリ)」を使う釣りのことです。フライは水面に浮くほど軽いので、それ自体の重さで飛ばすことができないんですよ。そこで糸の重さを利用して、米粒の重さにも満たない毛バリを飛ばします。

 

高山:すごい難しそうですね…。岡村さんはフライはやらないんですか?

 

岡村:難しい、っていうイメージがやはりあって、まだ挑戦していないんです。糸の重さだけで釣り上げるから、技術がいるんですよね。フライは5年後くらいにやりたいと思っていましたが、でも田中さんの「上手くなりすぎては楽しくない」という話を聞いて、挑戦してみたいなとも思っています。

 

田中:ありがとうございます。フライは竿を振って、毛バリを飛ばしているだけで快感がやばいんですよ。釣りはぶっちゃけ、魚がいたら釣れるじゃないですか。でもフライは魚がいなくたってこの際良いんです。キャスティングトーナメントっていう、遠くに投げるっていう競技があるくらい。

 

高山:へえ……。

 

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海も山も湖も川も海外も、基本的になんでも行く田中社長。最近はアマゾンでピラルクを釣り、これには「本当にいい恋愛をした」と感慨深く語っていた。影の薄いフライだが、田中社長曰く「フライは隠れキリシタンみたいなもん」なんだそう。

 

師匠の今後の展望

 

岡村:今後の田中さんの展望って、どんな感じなんですか。狩猟とかも今挑戦されているんですよね。

 

田中:狩猟は今やっていますが、あれはテニスサークルみたいなもので。みんなとワイワイしながら楽しむってスタイルです。本格的な話でいうと、今は乗馬に挑戦したいですね。

 

高山:え、乗馬…?

 

田中:例えばチャリで山を移動しようとすると、パンクをするじゃないですか。そうなるとただの重りになるわけですよ。って考えると、究極、なんじゃないかと。馬は草を食えばいいですからね、充電も必要ありません。パンクもしません。最悪、食料にもなります。

 

岡村:それはまさに自給自足ですね…。僕も本当はいつかは自給自足ができるようにしたいと思っております。

 

田中:わかります。いずれ日本に「ハイパーインフレ」が来たとき、最後に勝つやつは自給自足ができる人間だと思うんです。

 

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岡村:さすが、師匠。僕もこの仕事を引退したら、山にこもって、狩猟をして、川で釣りをして、山菜やきのこを採って、薪で風呂に入って、完全自給自足生活を送りたいと思っているんです。そして、そのために今は訓練をしなきゃならないと思っています。

 

田中:老後が楽しみで仕方がないですよね。あ、岡村さん、「山賊ダイアリー」とか読んでいますか?

 

岡村:もちろんです。あの漫画は本当に面白いですよね。狩猟やジビエを通じて新しい観点・発想・人生観を学べる漫画です。

 

高山:この前までキングダム読んでいたのに…。

 

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「山賊ダイアリー」を愛読すると語るアドウェイズ岡村。最近はなぜ新宿に海と山がないのか、そこに疑問を持っているらしい。

 

田中:それで言うと、僕は永遠の旅人になりたいと思っています。世界中にいるアウトドア好きの人たちと友達や家族ぐるみで付き合って、例えば「魚がライズしてます!」とか「裏山で松茸見つけた!」みたいな情報が入ってきたら、すぐに飛行機に乗ってどこでも行きたいんですよ。いい酒を持って。

 

岡村:それはスケールの大きい旅人ですね…。

 

田中:世界中の旬を追っていきたいんです(笑)。 だって人から「好きなものを見つけろ」って言われても、見つけることって難しいじゃないですか。だったら、自分が見つけた好きなものを深掘りし続けた方が楽しいと思うんですよ。

 

岡村:確かに。

 

田中:なんなら旅行に行くときも、ホテルに行くのはダサいなって思ってるんですよ。正直、野外とかサウナとかで寝たほうが贅沢ですから。例えば星野リゾートに行くよりも、山に行った方が本当の自然です。金は必要ありませんし。

 

でもこんな生活をしていると、少し不安になるんです。もしかしたら、僕らの遊び場は今後なくなるのかも、って。

 

岡村:あ、それわかります。釣りとかキャンプに行くたびに、今後ここはなくなっていくのかなって、毎回のように心配になります。

 

田中:だから岡村さん。日本にもっといい自然を残そう、っていうことを僕はしたいんですよ。もし良かったら、ちょっと一緒にやりませんか。

 

岡村:はい、すぐに打ち合わせを組みましょう。

 

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ということで無事、お互いが自分の思いを伝えることができ、対談形式の「勝手にしやがれ」は閉幕した。ここまで読んでいただいた皆さんは、アドウェイズ岡村たちの考え方に理解を深めることができただろうか。

 

次回も引き続きアドウェイズ岡村は、サバイバルについての話をするようだ。乞うご期待あれ。

 

取材協力:芸者東京 代表取締役CEO 田中泰生
スマートフォン向けのゲームアプリなどを展開する芸者東京の代表取締役CEO。2018年末、手がけるアプリ「Snowball.io」が、アメリカのiOSアプリマーケットの無料総合で1位を獲得した。

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左上の黄色い魚はアマゾンで釣った、ピーコックバス。左下の大きな魚は同じくアマゾンで釣ったピラルク。そして、右の魚が北海道の山奥で釣ったエゾイワナ。バッタ型の毛バリを咥えているとのこと。

 

 

編集・構成:長橋 諒

 

 

【第43回】2019年、新しい趣味を見つけました。アドウェイズ岡村がキャンプの魅力について語る

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第43回。今回は年初めということもあり、恒例となりつつある“アドウェイズ岡村の今年の目標”をお送りする予定…だったのだが、アドウェイズ岡村は「目標どころではない」とおくりバント高山をまくし立てた。なにやらアドウェイズ岡村は新年早々“ハマったこと”があるらしく、それについて話したいらしい。果たしてその“ハマったこと”とは一体何なのだろうか。2019年最初の「勝手にしやがれ」をお楽しみに。 

 

 

アドウェイズ岡村が見つけた新しい趣味

 

 

おくりバント高山:岡村さん、あけましておめでとうございます。

 

アドウェイズ岡村:あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 

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高山:ん、どうしたんですか、岡村さん。そんな浮かない顔をして…。次回の勝手にしやがれは“新年の目標を語りたい”って、この前言ってたじゃないですか。

 

岡村:ああ、新年の目標……。それどころじゃないくらい、いま辛いことがあるんですよ。

 

高山:え、辛いことですか? 岡村さんに悩みがあるなんて珍しいですね…。あの、僕でよかったらなんでも聞きますよ?

 

岡村:ええとですね、早くキャンプに行きたくて辛いんです。

 

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高山:は……? 

 

キャンプにハマったアドウェイズ岡村

 

 

高山:え、キャンプってどういうことですか? 岡村さんキャンプなんて好きでしたっけ?

 

岡村:実は去年の11月に初めてキャンプに行って、そこからめっちゃハマってしまったんです。今年になってから、もう4回は行っているくらいに。

 

高山:いやいや今年って、まだ1月中旬じゃないですか。ちょっとハマりすぎじゃ……

 

岡村:はい、ハマってます。でもそれが何か…?

 

高山:あ、えっと…。すみません、とりあえず聞いておきますけど、どうしてキャンプにハマったんでしょうか。

 

岡村:順を追って話しますと、僕、この歳になるまでキャンプって行ったことなかったんですよ。子供の頃、寝袋を親に買ってもらって毎日ベランダで寝ていたほど興味はあったのですが。

 

高山:そうだったんですね。

 

岡村:そんな記憶の片隅に残っていたキャンプだったんですけど、11月にアドウェイズの中にキャンプにハマっている社員がいることを知りまして。で、時間があったので一緒に付いて行くことにしたんです。そしたら案の定めちゃくちゃ寒くて。群馬の山奥ですからね、そりゃ寒いんですけど。で、僕はその寒さにすごく感動したんです。こんな寒いことってあるんだ、こんな寒い中寝なきゃいけないんだ、と。

 

高山:どの辺が感動ポイントなのかわからないです。

 

岡村:まあ、その日は全然寝れなかったんですが…。でもそのおかげで、“寒さと戦う気持ち”が湧いたんですよ。次は寝てやるぞっていう。で、12月にもう一度同じところに装備を整えて向かいました。

 

高山:そこからどんどんハマっていったと。

 

岡村:はい、戦うのが楽しくて仕方ないんです。

 

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「基本的には何人かメンバーを揃えて行くが、いずれはソロキャンプも挑戦してみたい」と語るアドウェイズ岡村。ただどうしても今すぐキャンプをしたいという衝動が出てくるようで、そのような際は「自宅の前でテントを張ってキャンプをするんです。もう2回もやりました」とのこと。

 

アドウェイズ岡村が語る、キャンプの魅力

 

 

岡村:まあよくある話かもしれませんが、キャンプって日常と比べて全くの別世界なんですよ。僕らが普段暮らしている環境って、暖房が効いてて、いつでも冷たい飲み物や暖かいご飯も食べられて、テレビやネットも自由に繋がる。でもキャンプではお湯を沸かすのも一苦労なんです。要するに会社で飲むコーヒーも美味しいけど、キャンプ場で豆から引くコーヒーは全然違うんです。

 

高山:確かによく聞く話ですね。

 

岡村:僕もよく聞く話だと思っていたんです。しかしですね、実際にキャンプに行くとその価値観が本当に変わるんですよ。普段当たり前だと思っていたことが5倍、いや10倍は変わりますから。コンビニで買ったレトルトカレーが、もうやんカレーに昇華するレベルです。

 

高山:まじっすか。 

 

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写真はアドウェイズ岡村が作った、もうやんカレーに昇華したコンビニのレトルトカレー。ちなみにもうやんカレーとは、アドウェイズ本社がある住友不動産新宿グランドタワーから徒歩30秒の場所にあるカレー屋のことだ。(他にも全国にて10店舗営業中)ランチビュッフェが大人気らしい。

 

高山:飯がそんなに美味くなるなら、僕も少しは興味があります…。

 

岡村:あのですね。美味いとか美味くないとかもそうですが、例えばカップラーメンを食べること、それは実はめちゃくちゃ楽しいことなんですよ。

 

高山:え? 楽しいこと?

 

岡村:この世にはカップラーメンの食べ方が2つあるのですが、実は知らない間にみんな“つまらない方”を選んでいるんです。

 

高山:どういうことでしょうか。

 

岡村:文明パターンの場合、ガスコンロでお湯を沸かしますよね。で、3分経ったらそれで食べる。これは面白くありません。ただ、サバイバルパターンの場合、まきを割る、火を起こす、お湯を沸かす、という工程があって、やっと食べることが出来るんです。

 

高山:なるほど…

 

岡村:要は、みんな“火”と“お湯”を生み出すことをショートカットしていて。でも、実は一番そこが楽しい所なんです。楽しい所を削ったら、ご飯の美味しさも削れていくじゃないですか。でも、キャンプは自然に楽しみを作ってくれるんです。

 

高山:えっとまあ、言いたいことはわかります。 

 

岡村:言うなれば、コーヒーは10倍美味くなりますからね。あのルノアールのコーヒーより美味いんですよ。正直な話、キャンプのコーヒーを飲んだ後じゃルノアールに行けませんから。

 

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IT企業の社長であるアドウェイズ岡村だが、「極力文明に頼りたくない。文明によって失われたものを取り戻したい」と豪語する。なおキャンプ中はスマホは使用しても良いが、仕事は極力してはならないというマイルールがあるようだ。

 

 

僕らのDNAの大半ってキャンプのDNAが埋め込まれている

 

 

高山:あの、ここまで熱く語っていただいた上で、とても憚られるんですけど……僕、キャンプ苦手なんですよ。

 

岡村:あ、そうなんですか。

 

高山:すみません、なかなか言いだすタイミングが難しくて…。キャンプで食べるご飯には興味があるのですが、僕は準備が苦手なんです。キャンプどころか、人生で一度も自分で洗濯機を回したことないくらいに。

 

岡村:あーいや、全然いいですよ。全く問題ないですね。

 

高山:え、良いんですか…?

 

岡村:はい。僕は本来ならば全部やりたいんで、キャンプに携わることを。だから何もやりたくないっていう人は大歓迎です。高山さんがいたら、全部僕が出来るじゃないですか。

 

高山:あ、そうなんですね。てっきりキャンプ好きな人って、皆で盛り上がろうぜ! でも仕事はちゃんとしろよ! みたいな感じだと思ってました。

 

岡村:そんなことないんです。ずっとその辺フラフラしてて良いんですよ。高山さんは飯を食うときに盛り上げてくれるくらいで良いんですから。

 

高山:あ、良かったです。引っかかっていた心の荷がおりました。

 

岡村:まあ、キャンプに対する価値観は人それぞれだとは思いますが、僕はそう思っています。そして、絶対に誰もがキャンプをやったほうがいいとは思っていません。ただ僕はたまたまキャンプが好きだったっていうだけですから。でも、僕らのDNAの大半ってキャンプのDNAが埋め込まれていると思うんですよ。火を見ると安心するってあるじゃないですか。原始的な目線で見るとですけど。

 

だからもし1mmでも興味があったら行ってみて欲しいですね。僕のように、実際に体験をしてみたら好きになる人が多いと思うので。

 

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写真はアドウェイズ岡村が実際に立てたテントである。11月にキャンプデビューをしたのにも関わらず、アドウェイズ岡村はこの3ヶ月の間にテントを3回も変えているらしい。なおその間、おくりバント高山はラーメン二郎の好きなトッピングが10回変わったようだ。

 

高山:ちなみにもし僕がキャンプに行くとしたら、守らなくてはならないマナーとかってあるものなんですか? キャンパーってなんか怖いイメージがあって。

 

岡村:基本ゴミは全て持って帰る。人がいるところはうるさくしない。とかそういう人として守らなくてはならないマナーはありますよ。ただ、基本的には自由にやったら良いと思います。ちなみに僕らの場合は周りのキャンパーにテントの工夫とかを一回一回聞きに行きますけど、みんなとても親切にしてくれます。

 

高山:なるほど、そうなんですか。

 

岡村ネットで情報を得るのではなく、プロのキャンパーに聞くことが大事なんです。例えば広葉樹と針葉樹の使い方とか、ネットには詳しく書いてないですからね。現地で人の話を聞くっていうのが一番なんですよ。

 

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「新宿に土地を買って、毎日テントで寝たい」と語るほどアドウェイズ岡村はキャンプにハマっている。なお冬は寒さと戦うことを主としているが、夏は暑さと戦う予定だという。その上で一般的なキャンプのベストシーズンと言われる春・秋については「戦うべきものが見つからないのでは」という心配に駆られているとのこと。

 

高山:そういえばキャンプの話ばかりになってしまいましたけど、岡村さんが去年までハマっていた“釣り”はもうしないんですか?

  

岡村:いえ。釣りはもちろん並行して続けていますよ。キャンプは釣りの延長ですから。

 

高山:延長、ですか。

 

岡村:近い将来、さらにキャンプから派生して、狩猟とかテント泊登山などのサバイバル領域をもっと攻めたいんです。魚を採り、野菜を採り、イノシシを採り、キャンプを張ってそこで寝る。要するに釣りはこの最終目標達成のために必要不可欠なんですよ。

 

高山:えっと…。岡村さんは一体、何を目指しているんですか…?

 

岡村:最終目標は完全自給自足です。

 

高山:やはり……。

 

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完全自給自足生活を目指すアドウェイズ岡村。キャンプを始めたばかりの頃、煙が充満したテントで寝てしまうミスを犯し、一酸化炭素中毒になりかけたことがあるらしい。アドウェイズ岡村のようなキャンプ初心者の方は、くれぐれも注意が必要だ。

 

岡村:今年、いや来年中には狩猟の免許を取れるように頑張ろうと思っています。 

 

高山: あ、はい、陰ながら応援しています…。

 

 

 

ということで無事、アドウェイズ岡村が自分の思いを伝えることができ、今年初めての「勝手にしやがれ」は閉幕した。ここまで読んでいただいた皆さんは、アドウェイズ岡村の考え方に理解を深めることができただろうか。

 

次回も引き続きアドウェイズ岡村は、サバイバルについての話をするようだ。乞うご期待あれ。

 

 

 

編集・構成:長橋 諒