岡村陽久の勝手にしやがれ

あなたの相談を岡村流「勝手な解釈」で解決。ITのことから、世の中、男女、不条理まで

【第46回】若手と飲みに行きたい!イケてるおじさん“西久保さん”に聞く「若手との交流の作法」

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第46回。数カ月ぶりにアドウェイズ岡村は、おくりバント高山をアドウェイズ社長室に呼び出した。ここ最近アドウェイズ岡村は“とある悩み”によって苦しめられており、大好きなキャンプにも身が入らないほどだという。「元号が令和に変わっても俺の悩みは変わらない」と語るアドウェイズ岡村のその悩みとは一体。全国のおじさん必見の内容、令和第一回目の「勝手にしやがれ」を最後までお楽しみに。

 

令和元年・6月某日 アドウェイズ社長室にて

 

アドウェイズ岡村:高山さん、お疲れ様です。

 

おくりバント高山:お久しぶりです、岡村さん。そうこうしているうちに、元号が変わりましたね。

 

岡村:そうですね、いよいよ令和になりましたね。あれだけ世間は「平成の終わり」と騒いでいたのに、もう誰も「平成」というワードを口にしなくなって少しさみしい気もします。

 

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高山:言われてみれば……平成、もう忘れさられてますね…。ちなみに岡村さん、令和の目標ってもう作ったんですか?

 

岡村:……これは平成からずっと思っていることなんですけど、やはり、若手と飲みに行きたいんですよ。目標っていうか、悩みですね。かなり深刻な悩みです。

 

高山:飲み会ですか。なんかちょっと時代に逆行している気がしますが……。

 

岡村:まあ、確かにそうかもしれませんが、僕はできれば飲みながら人と会話をしたいんですよ。会社組織を良い組織にするには、やはり仕事以外のコミュニケーションを取ることが一番だと思うんですよね。

 

高山:じゃあいっそのこと、もう直接誘ったら良いんじゃないですか。会社にはたくさんの若手がいるので、岡村さんが一声かければ、誰かしら一緒に行ってくれると思いますよ。

 

岡村:高山さん、それこそアルハラじゃないですか。「飲み会なんて行きたくない」と思っている人を、僕の勝手なエゴで誘いたくはないんですよ。とはいえ、「飲みに行きませんか?」なんて誘いも滅多に来ません。ってなると、僕は一体どうしたら良いんですかね。

 

高山:うーん、じゃあ、若手から飲みに行きたいと思われるキッカケを作れば良いんじゃないですか。

 

岡村:キッカケ……?

 

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「若手と飲み会に行きたい」と悩むアドウェイズ岡村だが、酒の席では基本的に「コーラ」を頼むという。アルコールは一切飲まないが、コーラを飲みすぎて糖分を摂取しすぎると、翌日は二日酔いになってしまうらしい。

 

おじさん界のホープ、西久保さんに聞いてみる

 

高山:ということで、令和の時代を代表するおじさん界のホープ、西久保さんを連れてきました。

 

岡村:あ、西久保さん、お疲れ様です。なんか最近すごいッスね。

 

西久保:お疲れ様です、ありがとうございます、おかげさまで……。

 

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~西久保剛 プロフィール~

学生時代には、プロボクサーを目指す。だが、視力検査があることをプロテスト試験中に初めて知り断念。現在は株式会社アドウェイズにて業務に勤しむ。先日Twitterにて、おくりバント高山と一緒に“世界同時バズ”を生むなど、SNSでの活動にも精を出している。

 

 

岡村:イケてるおじさんってことで話題の西久保さんですけど、若い人とはよく飲みに行ってるんですか。

 

西久保:ん〜、まあそうですね、ちょいちょい飲みに行ってますよ。

 

岡村:であれば、ちょっと質問したいんですけど、どうしたらそんなに“ちょいちょい飲みに”行けるんですか?

 

西久保:そうですね…。簡単に話すとですね、若者には二種類いまして。これは僕と飲みに行きたい人、行きたくない人の二種類です。要するに、行きたくない人を飲みに誘っても仕方ありません。

 

岡村:…そりゃそうでしょうね。

 

西久保:ということはですね、僕と飲みに行きたいっていう人を探すんです。

 

岡村:あの、西久保さん、それが難しいんじゃないですか。

 

西久保:いや岡村さん、自分で探すから難しいんですよ。まさか、まだ平成を引きずっているんですか?

 

岡村:え……?

 

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平成を引きずるアドウェイズ岡村に対し、令和を生きるおじさんホープ西久保。「令和はピースです。しかし、私たちはピースを受け取る側ではなく、与える側にならなくてはならないのです」という言葉を、彼は口癖のようにつぶやいていた。

 

西久保:例えばですね、おじさんが若者を飲み会に誘うと、大体の確率で「面倒くさいおじさん」と思われます。おじさんはおじさんが思っているよりつまらないし、脅威ですからね。しかし、間におじさんを挟むことでそうは思われなくなるんですよ。

 

岡村:お、おじさんを挟む?

 

西久保連携プレーを使うんです。例えば岡村さんが「こいつと飲みたいな」と思っている若者がいるとします。その人の情報をあらかじめ僕と共有しておくんですよ。僕はその若者と会った際に「そういえば岡村さん、君のこと凄く優秀と褒めていたよ」とか、「岡村さん、君の心配をしていたぞ」など、さり気なく“誘い水“を出します。そこで「行きたいです!」と言われればすぐさまセッティング。要するに、おじさん同士で若者をサンドイッチ。いわゆるオジサンドイッチです。

 

高山:(オヤジギャグ……)

 

西久保:この連携プレーをするにあたって大切なことは、周りにいるおじさんが全員参加すること。全員じゃないと連携プレーが成り立ちませんからね。一人でも連携できてないと、おじさんはすぐ「周りのおじさんより俺の方がすごいんだ」ってマウントを取っちゃうんですよ。

 

岡村:なるほど、おじさん相手に変な負けん気を出すなと。

 

西久保:はい。あくまでもおじさん同士は譲歩し合わなければなりません。とにかく、まず若者よりも、おじさんの友達をたくさん増やさなきゃならないってことです。ちなみに僕はこれを「おじさんギルド」と呼んでいます。

 

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おじさんギルドに入会したアドウェイズ岡村とおくりバント高山。なお、ギルド感を出すために話し合いの場所は社長室から会議室に移動した。

 

安易に若手に怒ってはいけない。

 

岡村:話は変わりますけど、この前、うちの若手と飲みに行ったんですよ。28歳くらいの。そこでちょっと怒ってしまったことがあって。

 

高山:え、キレちゃったんですか?

 

岡村:いや、そこまで怒ったわけではないんですが、言うことは言わないとなと思いまして。いくつかあったんですが……一つは飲み会に行く際、交差点でタクシーを拾ってもらおうとしたんです。しかし、その若手は“空車”を2台、目の前で逃したんですよ。

 

高山:はい。

 

岡村:まあ、これは仕方ないっちゃ仕方ないんです。左折レーンの前にバスが止まっていたので、タクシーからしたら見えなくって。でもこれって、バスの後ろで止めなきゃいけないじゃないですか。

 

高山:そうですね。遠いところで手をあげていたら見えないですもんね。

 

岡村:しかし僕は、タクシーの止め方もわからなくて何が仕事だと、説教をしてしまいました。

 

西久保:あ〜〜〜。

 

岡村:飲んでいるときも、僕の手元にあった烏龍茶が最終的に無くなるまで注文をしなかったんです。焼肉も生焼けで皿の上に出されました。僕は“よく焼き派”なんです。ちゃんと確認してほしくって、その都度怒ってしまいました。社会人としてのマナーをわきまえろと。

 

高山:えっとそれは、どれくらいの口調で怒ったんですか?

 

岡村:もちろん優しくですよ。まあ、僕と飲み行ってる分は良いんです。でもクライアントとの飲み会で同じことをやったら彼が恥を掻くじゃないですか。あくまで指導をしたわけですね。

 

西久保:うん。岡村さん、実に平成的ですね。

 

岡村:え?

 

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先日西久保は喫茶店のオープンテラスにとてもガラの悪い3人組が座っているのを発見し「実に平成的だな」と思ったという。「しかもとても低い声で声をかけてくるので、そのまま気づかぬ振りをして立ち去ろうかと思ったんですけど、よく見たら岡村さんと社員だったんですよ」とのこと。

 

西久保:これ、平成、昭和の時代だったら“美談”じゃないですか。「あの時ムカついたけど、教えてくれてありがとうございました」ってなる事例です。でも令和になった今、そうじゃないと思うんですよ。

 

高山:と、いうと。

 

西久保:怒るのが決してタブーではないと思うんですけど、一方的に怒っては若手の士気を欠くだけです。これ僕だったら、全てギャグで返しますから。例えばタクシーを捕まえられなかった若手には、「お前、視力はどれくらいだ? 俺は0.2だから拾ってくれないか」みたいな感じで、前提を置きます。もし捕まえられなかったら、「お前も視力が悪いのか!」とコミュニケーションを取ると思いますね。

 

高山:ユーモアを混ぜると。

 

西久保:はい。若手に本気で「すみません」って言わせちゃダメなんですよ。そうすると“ただの注意”になっちゃうんで、嫌な印象を与えるかもしれないじゃないですか。烏龍茶がなくなりそうな時だって、ずっと「喉乾いた!」って言い続ければ良いんです。その若手よりも早く飲まず、自動的に若手の飲み物がなくなることだってできます。要するに、あくまで気がつかせることが大事なんですよ。

 

岡村:確かに……。

 

西久保:おじさんは、「なにを話したら笑ってくれるのかな」など、目の前の人のことをずっと考えなきゃならないんです。仮に新卒は超つまらないことを言っても、絶対笑ってくれますから。説教や自分語りが笑えないことを、自覚するべきです。

 

岡村:反省ですね、これは…。

 

若者が飲み会に行くメリットとは?

 

高山:怒ることに慣れているおじさんたちが今の時代も大半と考えると、若手っておじさんと飲みに行くメリット、なくないですか。

 

西久保:はい、なのでメリットをこちらから提供していかないといけないですよね。逆に言えば、「このおじさんと飲みに行けばメリットがある」と思われるようなおじさんにならなくてはならないってことです。

 

岡村:ほう。

 

西久保:一つは、僕らおじさんは若手より多少“財力”と“経験”があるので、うまいものを食わすことができます。これはただ高い店というわけではなく、安くて美味しい若手が知らないような店のことも指します。

 

岡村:あ、それでいうと、僕は焼肉を食べに行く際は部位ごとに“はしご”をすることがあります。タンを食うならここ、ハラミをここで食ってから、あっちでホルモンを食べよう、などと。

 

西久保:お、それは良いですね。楽しそうです。

 

岡村:ちなみに若手に「何が食べたい?」と聞く時は、「肉と鳥、魚のどれが食べたい?」と聞くようにしています。

 

高山:鳥? 鳥は肉と同じじゃないですか、岡村さん(笑)。

 

岡村:…あえて鳥を出す理由は、筋トレやダイエットなのどの理由でたんぱく質だけを取りたい人もいるからです。肉という選択肢だけだと、鳥が食べたいって言い辛いじゃないですか。まあ、高山さんからしたらなんでも一緒かと思いますが。

 

高山:すみません。

 

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「肉ならなんでも美味しいんだけどな…」と話すおくりバント高山だが、ラーメン二郎の“豚”だけは店によって味が変わることを理解できるらしい。「目黒の豚はしょっぱすぎず良い塩梅。ひばりヶ丘の豚はフワトロで最高。野猿街道店2はしっかり染みたカエシで味もインパクトも最高」と語る。

西久保:食べ物のメリットを理解できたら、次は飲み会で何を話すかです。先ほど言ったように、若手にはメリットを持たせなければなりません。そこで僕のオススメのネタが、“不快がない情報提供”でして。

 

岡村:不快がない情報提供…?

 

西久保:その人にとって有益な情報を教えるんです。仕事をするにあたり、メリットがある情報を。「〇〇さんはああ見えて繊細なタイプだから、企画書を細かく作ったほうがいいよ」とか。

 

高山:な、なるほど。これはメリットがあります。

 

西久保:大切なのが、自分語りをしちゃいけません。「俺の時代はこうだったからな…」なんて武勇伝は問答無用。下世話な話ではなく、単純にメリットがある話をしましょう。ちなみにネタの入手法ですが、自分の経験談もしくはギルドで新鮮なネタを捕まえる方法が良いでしょう。

 

高山:参考になります。  

 

西久保:最後に、若手と飲む時は、遅い時間まで飲まないようにすることが大切です。目標は“90分”で締めるのが良いですね。若手からしたらうまい飯を食って、メリットがある情報をもらって、そしたら帰りたいじゃないですか。

 

高山:90分……。

 

西久保:「もう一杯行こう」なんて絶対ダメですから。足りなかったなって思われるくらいに帰るのがちょうど良いんです。次にも繋がりますしね。まあ、とにかく解散は早めに。終電までとかはNGです。

 

岡村:そうか、飲み足りないんだったら、そのあとおじさんギルドを使っておじさんを呼べば良いですもんね。

 

西久保:はい、そういうことです。若手から人気者になりたいんだったら、この3つを心がけてください。 

 

岡村:すごい、すごい参考になりました。西久保さん、今日はありがとうございました。

 

西久保:いえ、とんでもないです。岡村さん、ギルドで有益な情報を交換しながら、若手と交流を深めていきましょう!

 

高山:(あれ、そういえば、こんな話前回もしなかったっけ……

 

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 「おじさんは同じ話を何度もする」という定説があるが、「おじさんたちは同じ話を何度もすることで、より自分にとって、人にとって大切なものは何かを気づくのである」と西久保は語る。

 

 


3人のおじさんが“若手と飲みに行くにはどうしたらよいか”を考えた今回の「勝手にしやがれ」は閉幕した。この議題について完全なる正解を導き出すのは難しいかもしれないが、ここまで読んでいただいた皆さんは、おじさんたちの考え方に理解を深めることができただろうか。令和に生きる全国のおじさんたち、ギルドを作ってがんばれ!

 

ということで、次回の「勝手にしやがれ」もお楽しみに。

 

 

 

編集・構成:長橋 諒