岡村陽久の勝手にしやがれ

あなたの相談を岡村流「勝手な解釈」で解決。ITのことから、世の中、男女、不条理まで

【第34回】毎年恒例!部下に恵まれる上司になる!新入社員を迎える先輩・上司の6つの心構え!

アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第34回。東京では観測史上3番目の早さで桜が満開になるなど、春らしい陽気を迎えていた。そんな3月末であるが、アドウェイズ社長の岡村の様子がおかしい。パソコンを広げて仕事をしているのかと思いきや、自分が書いた過去のブログを見て笑っているのである。アドウェイズ岡村は、なぜそのような行動に出たのだろうか。真実はブログの最後に明かされる。

 

 

2018年3月末・アドウェイズ社長室にて
 

  

f:id:okuri_bunt:20180328144239j:plain「大事な話がある」と言って、おくりバント高山を社長室に呼んだアドウェイズ岡村。だが、あまりにも突然呼んだため、昼食のパンを食べながらの話し合いとなってしまった。


アドウェイズ岡村
:高山さん。2018年、早くももう4月ですよ。4月といえば、言わなくても分かりますよね?

おくりバント高山:そりゃもちろん、花見ですよね。桜の下で飲む酒、日本ならではの醍醐味ですもん。よろしかったら近々一緒に行きますか? 中野に絶好の花見スポットがあるんですよ。
 

f:id:okuri_bunt:20180328145041j:plain「花見のことなら誰にも負けない自信がある」と豪語する、おくりバント高山。だが、「何が、どのように、誰に負けないのか」については自分でも良くわかっていない。
 

岡村:高山さん、相変わらず何を言っているんですか。

高山:え? だって4月といえば……

岡村:4月と言えば、いよいよ新社会人達が働き始めるわけです。そんな時に花見のことしか考えていないでどうするんですか。新社会人たちを迎える僕ら上司は、ずっと浮かれているわけにはいかないんですよ。

高山:すみません。うちの会社には新入社員は入ってこないので…。

岡村:……そういう姿勢がダメなんですよ。

高山:ごめんなさい……。でも岡村さん、よく考えてみると、僕ら先輩社員だけが「迎える気持ち」を持つのではなくて、新社会人たちもこれから社会に属すために「迎えられる気持ち」を持つ必要だってあるのではないでしょうか。

岡村ちょっと待ってください、高山さん。

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岡村:それって、新人を総プリウス化しようとしてません?

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高山:そ、総プリウス化………??

 

新人を総プリウス化しようとする上司とは

 


高山:新人の総プリウス化って、どういうことですか?

岡村:新入社員を迎えた上司ってどうしても「最近の若い奴は根性がない」とか、基準に届いてない部分を見つけがちじゃないですか。

でもね、例えば自動車で「リッター3kmしか走らなくて、急斜面だとすぐ底を擦っちゃう凄くうるさい車」があったら、みんなダメな車だって思いますよね。

高山:確かにそんな車、絶対役に立たないです。

岡村:でも実はその車、ものすごい速くて、ものすごいカッコ良いんです。言うなれば、それがフェラーリじゃないですか。フェラーリでさえ、悪く言おうと思えば悪く言えちゃうんですよ

高山:な、なるほど……!! 悪いとこだけ見てたらそうなっちゃいますよね。

岡村
:日本で一番売れてるプリウスって、燃費が良くて、坂道も擦らないし、4、5人乗れてすごく便利ですよね。全ての項目で合格点を出してくる名車です。でも、プリウス以外は全部ダメな車なんですか? って話じゃないですか。

乗りこなすのは難しいけど格好良いフェラーリや、多少燃費が劣っても7人乗せられるステップワゴンを、プリウスの基準に満たないってだけで否定してやしませんか?

高山:基準以下の部分ばかり指摘して直させようとする……それが新人をプリウス化しようとする上司なんですね……!

 

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3月末現在で「今年一番のドヤ顔」を決めたアドウェイズ岡村。今年はあと何度この「ドヤ顔」を見ることができるのだろうか。これからのブログにも乞うご期待である。

岡村:上司の最初の役割って、ダメな部分を探すことじゃなく、そいつが何者なのかを特定することだと思うんですよ。まず見極めて、「あ、トラックだ」ってわかった瞬間に荷物ガンガン乗せてやるんです。

高山才能に合わせた適材適所、みたいなことですね。でもどうやって見極めれば良いんですか?

岡村:車みたいに見れば判るものじゃないので難しいですよね。でも、何かは持ってるはずなんだ。だから、こいつ自身も気づいてないことを見つけてやる!そういう感覚で色んなことをやらせてみたり、仕事以外の話もたくさんして、部下がどんな人間かを知ろうとすることが必要です。

高山:なるほど…。でも、どのくらい部下のことを知れば良いのでしょうか。

岡村:自分の部下に関する自慢話を、最低でも2時間は話せないと、僕は上司としてダメだと思うんですよ。車の良いところを語れない車屋みたいなもので、部下の良いところを語れない上司なんて職務怠慢なんですよ。

「実は今11人乗りの車を探してて」って言われた時、誰がその能力を持った人材か分からないってことじゃないですか。こいつだったらできますよって言えるくらいでないと。

 

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「僕は高山さんの自慢、4時間話せますよ」と言い、おもむろに図を描き始めるアドウェイズ岡村。

 

高山:なるほど……新入社員に一方的に基準や心構えを押し付けてるだけじゃ、上司としてはまだまだってことなんですね。

岡村:やっとわかってくれましたか。では最後に、新入社員を迎える上司として、僕が大事にしている心構え6つお伝えします。

高山:(6つも…?)

 

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上司の心構え講座、スタートです!

 

 


新入社員を迎える上司の6つの心構え
その1. 1教科の法則で部下を育てよ!

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高山:1教科の法則……ですか?

岡村:どの学校にもいる勉強が苦手な人って、だいたい全教科できてないですよね。そういう人に勉強させる方法って実は簡単で、1教科だけをめちゃくちゃ勉強させて超高得点取らせるんです。1教科でも良い点とったら嬉しいじゃないですか。そうすると、じゃあ他の教科も頑張っちゃおうかなってなるんですよ。

高山:仕事がどれも上手くできない新人も同じってことですか。

岡村:仕事ができないやつも、1個だけ強みを持てば仕事自体が楽しくなって自信もついてくるんです。自信って、できないこともできるって信じさせる力があるじゃないですか。1つ自信を持たせると、他のこともできるようになってくるんですよ。

高山:新人には、まず1個だけ頑張らせろ。わかりやすいですね。

岡村:僕の経験上、9割くらいの人は何か強みを見つけられるはずです。必ずひとつ、オリンピックで金メダル取れることがあるはずなんです。強みが判ったら、その強みを使った仕事をバンバンやらせる。そうやってそれが凄くできるようになると、弱みだった部分も強みに変えられるようになるはずです。

そして本当は強みがあるのにどうしても見つけられない残りの1割は、上司がひとつ強みを作ってあげるんです。そうすれば他の強みも見えるようになってくるはずです。



新入社員を迎える上司の6つの心構え
その2. 部下と一緒に『ランボー』を観よ!

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岡村:長所を見つける次に大事なのは信頼関係だと思います。

上司と部下って常に良いことを言い合うわけじゃないじゃないですか。「お前ここが悪いぞ」って耳の痛いことも言わなきゃいけない時に直そうって思ってもらえる信頼関係が大事かなと。

高山:その関係はどうやって作れば良いんでしょうか。

岡村:部下と一緒に『ランボー』を観に行ってください。

高山:『ランボー』ですか……?

岡村:2008年に新卒の研修を僕が担当した時、みんなで『ランボー』を観に行ったんです。その時のことってみんな今でも覚えてて、話にも出るんですよね。そうやって思い出を作ることも大切だと思うんです。

付き合ってるカップルが、映画も買い物も食事も行ったことないなんてこと、あんまりないですよね。

僕は、上司と部下って恋人や親友、家族と同じくらい大切な関係だと思うんです。だって平日の朝から晩までずっと一緒に過ごしてるわけじゃないですか。他の誰よりも時間を共有する相手なんですよ。

高山:思い出を作ろうと思うくらい、最上級の愛を持って接しろということですね!

岡村:そういうことです! しかも上司と部下は、同じ目標のもとで同じ苦しみを味わい、喜びを共有する、言わば戦友に近い関係なんですよね。

高山それを解らせたくて『ランボー』を観に行くってことですか!

岡村:そうそうそう! 部下に対してそれくらいの愛を持ち、部下の幸せを願い、良いところを引き出す。それが上司だと思うし、本気で部下の幸せを願っているならその気持ちは伝わりますから。自然と信頼関係も構築されていくはずです。

高山:まさにトラウトマン大佐とランボーの関係!!

岡村:それくらい部下を愛して幸せを願えってことですね。

高山:今日帰りに『ランボー』シリーズ全部レンタルして観ます。



新入社員を迎える上司の6つの心構え
その3. 「褒め怒り」を会得せよ!

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高山新人の叱り方とかも難しいですよね。どれくらいのさじ加減が良いのやら。

岡村:最近の新卒の傾向は、最近の幼稚園に行くとわかるんです。昔の幼稚園って「こら!おやつ食うなって言ってんだろ!」ってげんこつ食らわしたりしてたじゃないですか、そういう時代なんで。

でも今の幼稚園は「だめだよ~おやつ食べちゃ~。も~食いしん坊さんなんだから~」って言うくらいで、褒めて伸ばしてるんですよね。殴る時代から褒める時代に変わりつつあるんです

そういう褒める力を、特に昔の人こそ意識して身につけていった方が良いかなと思います。まずは褒めるところから入ると。

高山:具体的にはどう褒めて、どう怒れば良いんでしょうか。

岡村:僕が怒る時っていつも、できないことじゃなく、本来やれたはずなのにやらなかったことに怒るんです。

「お前の能力ならできるのに、なんでできなかったの?」「お前できるやつなんだからさ」「できるのにやらなかったことを怒ってるんだぞ?」って言ってたら、怒られてるんだか褒められてるんだかわからなくなってきません?

高山:怒られてるのにちょっと嬉しいですね(笑)

岡村:そうなんです。頭ごなしに怒るんじゃなくて「怒られてたはずなんだけど、なんか気持ち良かったな…」ってとこに持ってくのがコツだと思うんですよね。

高山:それなら言葉が届き易くなりそうです。

岡村:褒める時も同じことで、上手くいった時こそ「本当によくやったな。でももうちょいこうすると良かったよね。」「こっちもできるようになると良いよね。」と、認めつつアドバイスを添えるんです。調子良い時は心が開いて素直になってるので言葉が入るんですよね。

逆に失敗直後に怒るのは全然効果ないと思います。

高山:なるほど~。合わせて褒め怒りということですね。

岡村:時代は褒め怒りですよ。嘘だと思ったら幼稚園見学に行ってください。



新入社員を迎える上司の6つの心構え
その4. 怒った後は喫茶店で恋バナをせよ!

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高山:僕も岡村さんに死ぬほど怒られたことありますけど、岡村さんって一回怒ったことは二度と言わないですよね。

岡村怒った後もすごい重要だと思ってるんです。その人のやったことに対して怒っても、その人自身は絶対否定しちゃいけないと思います。

高山:罪を憎んで人を悪まずってやつですね。

岡村:でも、怒られた側の心理としては両方否定されたように感じるんですよね。だからこそ、僕は怒った後は忘れて普通の話しますね。

高山:そう、それよく話題になります! 怒られた後に普通の話されるの超気まずいんだけどってみんな言ってますよ(笑)

岡村:怒っても、お前自身を否定するってことは絶対ないぞってことを相手に示さないといけないんですよね。だからこそ、怒った直後は喫茶店に行って恋愛話なんです。

高山:確かに気まずいのも最初の30分くらいですもんね。でもなんで恋愛話なんですか?

岡村:あ〜 僕、専門分野が恋愛相談っていうか、色恋沙汰が大好きで(笑)

高山:好きですよね(笑)

岡村:仕事以外でも頼れるところがあったほうが、仕事だけの関係よりも強いっていうのもありますね。

高山:確かにそう見えるかもしれません。



新入社員を迎える上司の6つの心構え
その5. 部下とのカラオケは竹原ピストル

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高山:若い社員とカラオケ行ったりすると、ジェネレーションギャップをもろに感じちゃったりしますよね。ああいう時って何を歌えばいいんですかね。

岡村竹原ピストルですね

高山:いや、なんでですか(笑)

岡村:やっぱり僕は、上司がカラオケ行った時の役目って「あ、こんな良い歌あったんですね」って感じてもらうことだと思うんです。

高山:はぁ~、なるほど。仕事だけじゃなくて文化面においても上司たれってことですか!

岡村今流行りの歌を歌うのは若者の役割じゃないですか。上司の役割っていうのは、古すぎたりマニアックで聴いたこともない名曲を厳選して歌って、後世に伝えていくことだと思うんです。僕はそれが竹原ピストルや長渕剛の中にあると思ってます。

高山:確かに岡村さんと知り合わなかったら西新宿の親父の唄とか知ることなかったと思います(笑)でもそういう志を持つと、カラオケの選曲する時の迷いも消えますね。



新入社員を迎える上司の6つの心構え
その6. 飲ませる上司は三流と心得よ!

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岡村:若手に酒を飲ます上司っているじゃないですか。あれすごいダサいですよね。なんで若手に飲ませようとするかって言ったら、飲ませる以外に盛り上げ方を知らない人が飲ますんですよ。

高山:飲ます、脱がす、あとは嫌なイジリとかですね。

岡村:そう。せっかく居酒屋に行ったなら、上司としてめちゃくちゃ盛り上がるような楽しい話、またこの人と飲みに行きたいと思わせる話術で場を盛り上げないと絶対ダメだと思うんです。酒飲ませて盛り上げるなんて三流ですね。

高山:だいたい飲ませるやつに限って自分が飲まないんですよね。

岡村:逆に、自分が飲んで「俺こんなに飲めるんだぜ!」って盛り上げるのは最高ですよね。自分で喋って盛り上げたり、自分で飲んで盛り上げてこそ、上司として一流だと思います。尊敬できる経営者、例えばクルーズの小渕さんとかって、めちゃくちゃ面白いですもんね。

高山:小渕さん話は面白いし、お前飲めよ!とか全く言わずに自分が「うぉーー!」って飲むんですよね。こっちも、小渕さんが飲んでるなら僕も!ってなりますよね(笑)

岡村できる社長ほど、自分が飲むって法則はありますね。自分が面白いことができなくても、相手の面白い話を引き出すことはできますし。できる上司ほど人に飲ませない。これは間違い無いです。

 

***

 

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高山岡村さんが理想とする上司像が見えた気がします。大切なのは、やっぱり愛なんですね。

岡村愛ですね。弱点が沢山ある部下にも良いところがある。それを見つけたらきっと好きになるし、好きになったなら、幸せを願って成長をサポートしようと思うはずです。

そう思えたら、例え他の部署に行こうが転職しようが「やりたいことをやるべきだ」って思って支えますよね。どこかで上司が見ててくれたり、何かあったら助けてくれるって思えるのと思えないのって全然違うじゃないですか。

高山:そうやって育った部下が、今度は上司のことを助けてくれたりもしますよね。僕も、アドウェイズに入社した時の部下に、おくりバントのピンチを救ってもらったことがあります。後輩や部下が、上司を支えてくれてもいるんですよね

岡村:ほんとにそうですね。一生上司のつもりで幸せを願う。6つの心構えを紹介しましたけど、これが新入社員を迎える上司にとって一番大切な気持ちだと思います。

高山:愛ある上司のもとでは新人一人ひとりが優秀な人材に育っていく。それこそが「部下に恵まれる」ということなのかもしれませんね。 僕ももし今後、新入社員を迎える時は、まず得意分野を見つけるところから始めようと思います! 

岡村:お互い理想の上司目指して頑張りましょう! 

高山:はい! ちなみに、さっきから思っていたんですけど、僕の勘違いだったら申し訳ないんですけど、この話って去年しませんでしたっけ?
 
岡村:え…………?

高山:まるっきり同じ話をした気がしていて…。僕の勘違いですかね…。

岡村:……バレちゃいました?

高山:やっぱり……。

岡村:あのですね、どうしてもこの話、このタイミングでもう一度したかったんですよ。

高山:と、言いますと…

 

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岡村
:昨今、社会において「働き方」に関する様々な問題が出ているじゃないですか。僕ら上司である立場の人間は、それらを解決しなければならないし、部下が働きやすい環境作りを作ることは上司の責任なんですよ。

 

高山:そうですね。


岡村:僕だって高山さんだって、今は社長ですけど20年前は新入社員だった頃もあるわけじゃないですか。ただ、新入社員が入ってくるこの時期くらいは、自分自身を振り返る時間を作っても良いのではないかと思っていて。

 

なので、この記事をキッカケに、上司である人たちに“初心は大事”だということを伝えたいんです。

高山:そういうことって、すぐに忘れちゃいますもんね……。

 

岡村:“部下”という仲間たちに支えられて、会社が成り立つんです。そのことを、上司という立場にある人はしっかり踏みしめて仕事をしていって欲しいなと、そう思うんですよ。

 

念押しですけど、これは本当に大事なこと。なので、僕は毎年この内容をブログに書きたいと思っています。

高山:すごい。そういうことだったんですね。聞いたことある話をされていたので、岡村さん今日疲れているのかなと思ってましたよ。

 

岡村:もう何年も一緒に働いているんですから、もう少し僕の気持ちを理解して下さいよ。僕の良いところ、高山さんは2時間話せますよね?

 

高山:2時間どころか、8時間話し続けれるよう、努力します。

 

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ということで、今年度も「勝手にしやがれ」をよろしくお願いします!!
 
次回もお楽しみに!