岡村陽久の勝手にしやがれ

あなたの相談を岡村流「勝手な解釈」で解決。ITのことから、世の中、男女、不条理まで

【第2回】「匂うんですよね…大逆転の香りが…」話題のgumi國光社長の狙いを大胆予想

アドウェイズ社長の岡村陽久がユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第2回。

 

久しぶりに岡村から呼び出しを受けた我々おくりバント取材部。「ユーザーの悩みや疑問に答える」という企画でありながら、サイバーエージェント藤田晋社長についての想いを熱く語り続けてお開きとなった第1回目のリベンジを果たすべく、指定された場所に向かった。

 

着いた場所は西新宿五丁目の「ヘアーサロンヨーコ」。なんでも役員の鹿野晋吾が"床屋のひげ剃り"にハマっているらしく、今日は岡村が誘われたらしい。

 

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 gumiの國光社長のことなど微塵も知らないであろう「ヘアーサロン ヨーコ」のヨーコさん。

 

— …あのー。

 

岡村:(無視して)あれ、鹿野くんは分からなかったんだ?

 

鹿野:いやー、全く分からなかったですね。ラストシーンでびっくりしましたもん。

 

岡村:僕、序盤で大体分かっちゃうんですよ。「あれ、こいつはなんかあるぞ」と。

 

— …あのー、 一体何が分かるんですか?

 

岡村:あ、来てたんですね? 待ってましたよ。今、何を話していたかと言うと、『サスペンス』についてです。実は僕、サスペンス映画やドラマの犯人を当てるのがメチャクチャ得意なんです。映画だったら開始10分ぐらい見れば、8割以上は犯人を当てちゃいますね。

 

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筋金入りのCAマニアであり、筋金入りのサスペンスマニアである岡村。 

 

 …はあ。そんな特技があるんですね。

 

岡村:例えば、去年に放送されていた「家族狩り(http://www.tbs.co.jp/kazokugari/)」ってテレビドラマあったじゃないですか。あれ、第1話見ただけで犯人分かりましたもん。こいつが犯人だなと。もちろん原作は読んでません。

 

 …へー。それ以外に何か当てたことありますか?

 

岡村:そうですね……(無言で宙を見上げる)

 

 …あのー、ないならないでいいんですよ?

 

岡村:…ありますよ。いや、正確には当たっているかのどうかは分からない。ただ、僕の嗅覚が反応しているのは確かです。「こいつは匂うぞ」と…。

 

 それは何でしょう?

 

岡村:お答えしましょう。それは…gumiの國光さんのことです。

 

 …え? gumiの國光社長のことですか。ちなみにgumiは昨年末に東証1部に上場したばかりですが、先日に業績予想を下方修正したことで株価が下がり、かなり叩かれているようですね。

 

岡村:そうです、まさにそのことについてなんです。僕は感じているんですよ。このgumiの動き、常識じゃ測れない何かがあるぞと。ちょっといいですか、今日はこの件について、語らせてもらいますよ!

 

[お詫び]

今日こそはユーザーの皆さんの質問をぶつけるはずだったが、先に岡村のトーク熱に火が点いてしまったようだ。皆さん申し訳ございません。今日は株式会社gumi 代表取締役社長 國光宏尚氏について岡村が語る1日になりました。

 

実は上方修正なんじゃないの?

 

岡村:まずは僕の結論からお伝えしましょう。「あの業績予想の下方修正、実は『上方修正』なんじゃないの?」ってことです。

 

 …はあ。どういうことですか?

 

岡村:説明しましょう。gumiが3月初旬に発表した決算書を見ると、経費を削減していれば下方修正をする必要はなかったように思えるんです。営業利益で当初より約17億円マイナスという発表ですが、これは広告費や外注費を減らす、もしくはアプリを前倒ししてローンチするといった対策をとれば、発表資料を見ても相殺できた額なんですよね。

 

鹿野:…なるほど。僕はサスペンス音痴ですが言いたいことがなんとなく分かってきました。

 

 …え、鹿野さんも? 岡村さん、もう少し説明してもらえますか?

 

岡村:恐らく、國光さんは東証1部上場後に大きな可能性を見つけてしまった。回避できた下方修正をやってまでも、そのチャンスを獲りにいったのではないかと思うんです。つまり、これは今この瞬間だけを見れば下方修正かもしれませんが、長いスパンでみれば上方修正とも言えなくはないということです。

 

 な、なるほど…。

 

岡村:あくまで僕の個人的見解ですよ! ただ、gumiというのはディズニーを超える世界一のエンターテイメント集団になることを標榜している会社ですよ。当たり前のことをやっていたら、そんな大きな目標を達成できるわけないんです。

 

鹿野:うぉーあつい!!

 

 さすが鹿野さん。アドウェイズいちの熱血漢はダテじゃないようですね。

 

鹿野:いえ、蒸しタオルの話です。

 

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筋金入りのCAマニアでありサスペンスマニアである岡村の名推理に水を差した鹿野への視線が厳しい。

 

岡村:…ちなみに、言っておきますけど、アドウェイズはgumiの株を持っています。上場の時にそれなりの額を出資させていただきました。そして、このgumiの株を僕は全く売る気はありませんね。それはシンプルにgumiの掲げる目標・姿勢に共感しているからですよ。

 

 「自分たちが持っている株の価格を下げたくないから、岡村はそんなこと言ってるんだろ」と言う人が出てくるかもしれませが。

 

岡村:断言します。そんな気は全くありません!

 

鹿野:あつい!!

 

岡村:…えーと。もちろん、國光さんにこの件について何か聞いたこともなければ、裏の情報を持っているわけでもありません。僕の本能が当たり前の結論を拒否しているんですよ。匂うんです! まぁ、たまに外れることもあるんですけどね(笑)。

 

ベンチャー企業としての本質

 

岡村:大体、上場企業っていうのはあまり下方修正をしないものなんです。これは悪く言えば「予定調和」です。予想を立てて、その通りに動いているだけです。國光さんにはアドウェイズの半期会議でゲストスピーカーとして講演をしてもらったことがありますが、本質を見る人だという印象を強く受けました。だからこそ、予定調和を取り繕うことよりも、真のベンチャー企業としてビッグチャンスという本質を獲りにいくことを決断したのではないでしょうか。

 

鹿野:gumiはこれから10年間で10回下方修正があっても、30回上方修正があるような、そんな企業かもしれません。

 

岡村:コンテンツ制作のベンチャー企業の中でも、「世界で勝負する…」とか「グローバルな市場で…」といった目標を掲げるところは結構ありますけど、実際に海外で戦えている企業がどれぐらいありますか? gumiはその中で実際に海外で勝っている企業なんですよ。世界で通用するノウハウがあるということです。アドウェイズとしても見習わなければいけないですよね。

 

 いいコンテンツを作れる企業はそれなりにあっても、それを海外展開して実際に数字を出しているところは確かに少ないかもしれません。

 

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世界に通じるコンテンツの話をしながら昼サスを観る三人。 

 

岡村:大体ですよ、「下方修正は前々から見えていたのに、それを隠したんじゃないか」というようなことがネット上の一部で言われてるみたいですが、そんなことは簡単にはできませんよ。gumi上場の主幹事だった野村證券が許さないはずです。あそこのチェックは本当に厳しいですから。野村證券の凄さを僕に語らせれば、数時間は必要ですよ!

 

 アドウェイズの上場時に、身をもって野村證券の厳しいチェックを感じたわけですね。

 

岡村:いや、弊社は日興証券さん。

 

一同:え? これだけ言っておいて野村證券じゃないんですか?

 

岡村:こればっかりはタイミングと縁ですからね(笑)。日興さんには本当にお世話になりました。

 

当日のひげ剃りの様子を動画にしました。

 

思い出す07ショック。会社の危機が今の礎に

 

鹿野:今のgumiの状況を見て思うのが、2007年のアドウェイズと似た状況にあるのかなということなんですよね。

 

岡村:確かに。『07(ゼロナナ)ショック』(※)の時と似てるかもしれない。うちも上場して半年後ぐらいのことでしたしね。

 

(※注1)「07(ゼロナナ)ショック」
アドウェイズの広告収入の中心となる顧客はクレジットカード会社やキャッシングカード会社だったが、東証マザーズ上場から約半年後の2007年頭、上限金利の引き下げにより各社の広告費が半減。アドウェイズは新入社員の大量採用を進めていたことも併せて赤字が大幅に拡大。新規事業の撤退や社内体制の改革だけでなく、岡村自身も役員報酬を8割カットし、4畳半風呂なしアパートに移り住んだ。

 

 あの頃はどういった心境だったんですか?

 

岡村:本当にまいりましたよ。何度も挫けそうになりました。色々な悔しい目にもあいました。例えば、ある外資系証券会社のことですが、07ショックまでは先方での会議の時、部屋の上座に必ず案内されていました。それが、07ショック後は態度が一変ですよ。呼び出されてその証券会社に行ったら、相手が先に上座に座るんです。

 

 客を上座に案内しないのは失礼だということですね?

 

岡村:上座じゃなきゃ嫌だとか、そんなことはどうでもいいの!

 

 …はい。

 

岡村:頼みますよ! 僕が言いたいのは席の上下がどうこうじゃなくて、やっぱりそんな露骨な手のひら返しをされると、本当に屈辱を感じるということです。絶対に見返してやると思いました。でも、あのおかげで闘志が湧きましたら、今では逆に感謝しているぐらいです。担当者のことは絶対に忘れないですけどね(笑)。

 

f:id:okuri_bunt:20150323064703j:plain「く、苦しい」。蒸しタオルごしに2007年へ思いを馳せている様子の岡村。続けて「あつい!」。熱いものがこみ上げているようだ。

 

 今では07ショックのことをどのように振り返りますか?

 

岡村:そうですね。あの時は本当にきつかったんです。でも、今となって振り返ると、あの2007年があったから、今のアドウェイズがあるということです。内定を出していた新入社員が150人いましたが、例えば内定取消をして経費削減することもできたんです。でも、僕たちは未来に賭けました。そして、あの2007年に入ってきてくれた新入社員が今はアドウェイズの中心を担ってくれています。実際、役員にも2007年入社組が2名いますしね。

 

鹿野:僕もその一人ですね。内定取消されずにアドウェイズに入れてよかったです(笑)。

 

岡村:そう考えるとあの2007年には苦い思い出も含めて『感謝』という言葉が一番相応しいのかもしれません。

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窓からターゲットを狙う三流サスペンスの犯人にしか見えない、おくりバント高山。

 

高山:苦しい時代に仲間になった人たちが今の会社を支えているってことですが、僕も2007年にアドウェイズに中途で入ったんで、忘れないでください。『おくりバント』代表として、『アドウェイズ』までも背負っていけるような人間になりたいです。

 

岡村:いえ、高山さんはホームランを狙わないでください。送りバントで十分だから。とりあえず、三流サスペンスの犯人みたいな、その汚いヒゲは剃りましょう。気分転換して帰った方がいいですよ。ヨーコさん、お願いします!

■撮影協力『ヘアーサロン ヨーコ』

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東京都新宿区西新宿5-22-2

*お電話でのお問い合わせはご遠慮ください。

 

高山が善人に生まれ変わった様子です。

 

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 『岡村陽久の前のめり人生道』:日経ビジネスオンライン
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※本記事および対談の内容は株式会社グミ、あるいは國光宏尚氏とは一切関係がありません。岡村陽久、鹿野晋吾、および株式会社おくりバントによる創作です。

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編集・構成:小沼朋治

文: 是枝勉

写真:堀裕輝