アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第29回。肌に触れる秋風が心地よい季節となったここ最近であるが、この日は岡村のテンションが普段と比べて高かった。右腕に持つ「コーラ」を口に流し込みながら、岡村は一滴も飲めない「アルコール」について声高に話を始めたのである。アドウェイズ岡村が口にする「飲マナイケーション」とは一体何なのか? お酒が飲めない人、必見の内容である。
岡村:……。うん……。うん……。よし……! 今日もいい感じだな……!
西新宿の路上でおにぎりを食べるアドウェイズ岡村。20代の頃は「シーチキン味」が好きだったのだが、最近は「塩おにぎり」を好んで食べているそうだ。
おくりバント高山:岡村さん、お疲れ様です。今日は「お酒が飲めない人に、飲み会の楽しみ方を教えたい」って言ってましたけど、何でおにぎりを食べているんですか? お腹が空いたんですか?
岡村:何って……? 高山さんは本当に分かってないですね……。このおにぎりを見てもピンとこないんですか?
高山:……? え?
単純作業を行うように、おにぎりを食べるアドウェイズ岡村。彼は飲み会に訪れる際、水やウコンの力などの飲み物は口に入れず、おにぎりを胃に放り込むのである。
岡村:高山さん。日本のお酒といえば、何だかわかります?
高山:日本のお酒……。やっぱり日本酒ですかね。僕は日本酒苦手なんですけど……。
岡村:はい、そうです、日本酒です。その日本酒ですが、主な原材料はご存知ですか?
高山:えっと……。お米……。あ!!
岡村:気付きましたね。そう、お米です。僕はお酒を飲めないので、その原材料であるお米を口に入れてテンションを上げているんですよ。
高山:なるほど……。って、全然なるほどじゃないですよ! 僕、お米は好きですけど、胃の中に入れて酔っ払ったことはないです。意味、分からないです……!
「岡村さんって、飲み会は楽しいんですか?」というおくりバント高山の問いに、「当然面白いですよ」と答えるアドウェイズ岡村。おにぎりを食べていると、このように顔がうつろになっていくのだそうだ。
岡村:まず根本的なところですけど、酒がなくても酔っ払えるんですよ、人間は。普通の人はお酒を飲んで体にアルコールが入り、気持ちが良くなりますよね。
高山:はい。
岡村:僕は、米を食べるんですよ。米を発酵させるんです、体の中で。要するに、外で発酵させるか、中で発酵させるかの違いです。お酒を飲めない人は、体の中で発酵させるんですよ。発酵させて、アルコールにして、酔っ払えばいい。酒を飲まなくても酔っ払えるんですよ。
高山:まだあんまり意味が分からないんですけど、とりあえず岡村さんは今、酔っ払っているってことですね?
岡村:はい。なので、乾杯しましょうか。発酵が終わったんで、テンションが高くなってきました。
「お昼に米を胃に入れても、発酵はしない」とアドウェイズ岡村はそうつぶやいていた。要するに、自分で発酵しようと胃に思わせないと、体が発酵しないのである。
岡村:実は、本当に発酵されているのかどうかは、僕もよく分からないんですよね。ただ一つ言えることは、「酔っ払う」とはなんなのかというと、「テンションが高くなる」ってことなんですよ。
高山:そうですね。僕もお酒を飲むとテンションが高くなります。
岡村:でも、僕らはそのお酒を体に入れることができません。とはいえ、その場を楽しむという集中力があれば、酔っ払いと同じテンションになることができるんですよ。
高山:はあ。
岡村:まずですね、みんなが酒を飲んで盛り上がっている時、自分も発酵させようと、アルコールが入っていると思い込めば良いんです。そうすれば、勝手に自分のテンションも高くなって、周りと同化することができるんですよ。
高山:なるほど……!
岡村:結局、先入観なんですよ。酒を飲まないと、こうなれない、テンション上げられないって、みんなそういう先入観を持っているんです。酒の場でみんなが盛り上がっている中、俺はああいう風にはなれないなと冷たい目で見ちゃう。でも、米を食べることにより、発酵してアルコールになって俺も酔っ払ってきたぞって思い込めると、酔っ払いに負けないテンション、集中力を培えるんですよ。
酒の席では基本的に「コーラ」を頼むというアドウェイズ岡村。とはいえコーラを飲みすぎて糖分を摂取しすぎると、翌日は二日酔いになってしまうという。
高山:では、あんまり大差はないんですね? 酒飲みと飲めない人では。
岡村:そうですね。ただ、お酒が飲めない人は、スタートは弱いんですよ。だいたいお酒を飲み始める20時くらいは、酒飲みの方が強いんです。この人たちは、24時くらいになってくると、ますます絶好調になります。
高山:そうですね。
岡村:とはいえ、朝の5時とかになると、全然ダメになるんですよ。ここで重要なのが、我々は絶好調ということ。だから、朝の5時までより良い状態で楽しめるんです。酔っ払いの介抱もできるし、電車も乗り過ごしません。
高山:お酒が飲めない人でも、意外とメリットが多いんですね……。
岡村:そうなんですよ。しかもお酒を飲む人は、アルコールのせいでセクハラをしたり、暴力的になったりすることもあるかもしれませんが、こっちはそんなリスクは0ですからね。発酵では、理性は失われないんです。
高山:発酵には失敗がないんですね。
岡村:そうですそうです。あとですね、これはとても重要なことなんですけど、酔っ払っていると、何が楽しかったのか、全部忘れているじゃないですか。でも、シラフの人は結構色々とその時の会話を覚えているんですよ。
高山:はい。
岡村:実はですね。これにより、思い出し笑いっていうのができるんです。
高山:思い出し笑い……?
岡村:あのですね。本当に酔っ払ってしまうと記憶が残らない場合って結構あるじゃないですか。要するに、思い出の共有ができないんです。例えば、同じ人達と2回目に飲みに行くと、前回はどんな飲み会だったのかの「振り返り」があるじゃないですか。その思い出を唯一ちゃんと話せて、ネタの宝庫になれるんです。
高山:あっ!ってことは例えば、一人持ち上げたい人がいたとして、この時、ありもない話もして良いってことですね?
岡村:というと?
高山:「〇〇さん、前回さすがだなあと思ったのが、朝の5時で雨が降っていて、みんながタクシーを待っていたのにも関わらず、タクシーに乗れずに困っていた年配の方に先輩が順番を譲ってあげてましたよ。酔っ払っているのによくあんなことできますね」
なんてことも言えちゃうのかなと……?
岡村:まあ、極端ですが……そういうことですかね。確かに酔っている人の話より、酔っていない人の話の方が信用できますからね。
高山:これでお互いの株が上がって、出世も間違いありませんね!
岡村:……。
「乾杯の時、テキーラをみんなで飲む時とかあるじゃないですか。その時、水を飲んではいけないんです。たとえ酒が飲めなくても、テキーラと同じ苦しみを味わわないといけないんですよ。何を飲むかというと、コーラを飲むんです。コーラの一気飲みは、テキーラより苦しいですからね」と、アドウェイズ岡村は淡々と語る。
高山:とはいえ、会社の飲み会の場合だと、上司に「無理矢理飲め」って言われることもあるんじゃないですかね。
岡村:はい。ただ、さっきも言ったように、飲めるか飲めないかじゃないんです。場の空気を読めないことによって場を乱さないことが大事であって、テンションを維持できれば、場が崩れないんです。飲めないことによってテンションが下がっているから、飲めって言われるんですよ。この時に、「こいつ、シラフの方が楽しいんだ」と、周りにそう思わせなきゃいけません。
高山:ほうほう。
岡村:結局、何のために酒を飲むのかわかりますか? みんな、昼間と雰囲気を変えたいとか、普段真面目にやっていても、夜は楽しくやりたいとか、盛り上がりたいとか、そういうために酒を飲んでいるんです。だから、合わせなきゃいけないんですよ、その空気に。
そして、お酒を飲めないことは、最初に言うことがとにかく大切です。「私は酒が苦手です。だからお酒は飲めません。」って。
高山:確かに最初にそう言ってくれると、すごい親切だし飲む人には助かりますよね…!
岡村:僕の場合、この勇気ある申告に加えて、「ただ、テンションは高いんで、ご安心ください!」って付け加えれば、尚更大きな安心感を与えることができるんです。これにより、相手の心配度合いをかなり下げることができるんですよ。
飲むぞって時は、これから4人で盛り上がろうぜっ!て話じゃないですか。普段できない話をして楽しもうと。それに対して、当然お前も酒が飲めて、一緒に盛り上がれるんだろう?と思われて呼んでもらっていますよね。要するに、何度も言いますけど、そこの期待を裏切ることはしてはいけないんです。
一見、酒が飲めないって、ハンディキャップに見えるかもしれないですが、それは違うんですよ。
酒が飲めないから飲み会を楽しめない、っていうのは本当に先入観。酒がなくても、必要なのは、そこに同化すること。もちろん酒があった方が、同化しやすいのは確かかもしれませんが、訓練をすることによって、同化することは必ずできます。
同化をして、且つリスクもない発酵。必ずみなさんはできる!できるんです!信じるんだ!
僕は、お酒を飲まずに飲み会を楽しんでくれる人が、これからも世の中に増えていって欲しいと、切に願っています。
まずは3年、発酵の訓練をしてみてください。飲み会が嫌いなんてワードが口から出ることはなくなるでしょう。
ぜひ、みなさんも、より良い「飲マナイケーション」をお楽しみください!
飲み会前に改めて米の発酵方法を確認したい方は、この画像を保存してプリントアウトして持って行こう。(画像の著作権はフリーなので、ダウンロードしてご自由にお使い頂いても問題ございません)
編集・構成:長橋諒