アドウェイズ社長の岡村陽久がユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ。3年目にしてようやく質問に答え始めた……かに見えた岡村だったが、キュレーションサイトを巡る一連の騒動を見てまた何やら語りたくなってしまったとのこと。アドウェイズ岡村がDeNAの社員達に伝えたい熱い想いとは——
株式会社おくりバント社長。風邪で寝込んでいたところを呼び出された。
約5〜10匹いる。感情がある。
高山:(風邪声で)今回のDeNAの問題について話したいことがあると聞きました。
岡村:あれ?高山さん、のど大丈夫?
高山:ちょっと風邪ひいちゃって。あ、でも家系ラーメン食べて治療してるんで大丈夫ですよ。
岡村:それって、自分が風邪をひいたことを認めたってことですよね?
高山:……え?
岡村:高山さん、今「風邪ひいた」って言ったじゃないですか。
高山:はぁ……
岡村:いいですか?風邪ひくってことはその前に「風邪のひき始め」ってのが絶対あるはずなんですよ。で、「風邪のひきはじめ」の「ひき始め」ってのがあるんですよ。
高山:はぁ……… え? どういうことですか?? 風邪の……?
岡村:だーかーらー、「風邪をひく」「風邪のひき始め」「風邪のひき始めのひき始め」、3段階あるんですよ基本的には。この「ひき始めのひき始め」っていうのは「いつもよりなんか体温が高いな」「低いな」とか「寒気がするぞ」っていうちょっとした体の変化なんですけど、この段階で対策を打てば絶対に風邪なんてひかないんですよ。
よく風邪ひいたら風呂入るなって言うじゃないですか。僕は逆だと思うんですよ。風邪ひきそうだなって思った時ほど熱い風呂に入ったりサウナに入ったり運動したりする。(※ 岡村陽久は特殊な訓練を受けています。決して真似をしないでください )
高山:なんかヤバいこと言い出しちゃってる……
岡村:いわゆる「ひき始めのひき始め」ってのはウイルスが1、2匹しかいない状態ですね。これが5〜10匹になると「ひき始め」になっちゃうし、20、30のウイルスになるとこれはもう安静にしてないといけません。でも1、2匹の段階なら全然殺せます。熱い風呂入ればもう殺せます。(※ あくまで岡村の肌感覚です。科学的な根拠はありません )
高山:オカルト情報ですね。
岡村:あとは「認めない」ってことも大事。鼻水たれてても咳き出てても「いや俺絶対ひいてねーから」って認めない。
岡村:認めた時に、はじめてウイルスもノってくるんですよ多分。ウイルスにだって絶対に感情ありますから。主が認めたなーと思ったらウイルスは元気になるし、逆に認めなかったら活発に活動できない。「ひき始めのひき始め」も見逃して「ひき始め」も見逃して、仮にひいたとしても認めない。つまり、絶対に風邪なんてひかない。こういうことですね。(※ 風邪をひいたと思ったら病院に行ってください )
高山:間違っても健康情報のキュレーションとかやらせちゃいけない人だわこの人。
高山:「ひき始めのひき始め」についてはまだ風邪の話なんで笑えますけど、今回のDeNAのキュレーションサイトは命に関わる部分や著作権の部分で大きな問題になりましたね。
岡村:医療関連ではないんですけど、僕も昔キュレーションで痛い目にあったことがあるんですよ。
高山:ほほう。
岡村:以前 函館に行った時に「函館 すし」で検索して、一番上に出て来たキュレーションサイトで1位のお店(当時)に行ったんです。函館のイカって食べたことあります?透明なんですよ、新鮮だから。そのお店で出されたイカね、真っ白でしたよ。もうめちゃくちゃマズかったですよ!内陸部の寿司屋で出てくるよりも白いイカが出てきて、あれには驚きましたね。
高山:ラーメン屋探してる時とかもハズレ引いちゃうことありますよね。
岡村:でもそういう事実とかけ離れた情報ってのは1、2割で、キュレーション自体は見て勉強になったり役に立つ、あったほうがいいものだと思ってます。だからこそ、やるからには間違った情報を無くしていって欲しいなと、いちユーザーとして思っているんです。(※ もちろん1、2割というのも岡村の肌感覚である。というかそもそもこのブログ自体が全て岡村の肌感覚によるものでした )
岡村:今回の件は記者会見をネット中継で観させて頂きました。DeNAさんの今後を担う柱であったキュレーション事業のサイトを全部閉じるって、これ大決断ですよね。
企業の対応としてもまず社長が出てきていの一番に謝る、これが第一義的にも正しいと思うんで、ぼくは今回の対応は良かったと思いますよ。合格ラインじゃないですかね。
高山:さ、さすが炎上にお詳しい……(笑)。じゃあもしうちが大問題おこしても、真っ先に岡村さんが出てくれるんですね。
岡村:それは当然、僕が謝罪しますよ。
高山:良かった〜。もう3年も経ってるのにアドウェイズの子会社一覧におくりバントの名前がなかったりしたから、いざとなったら見捨てられちゃうんじゃないかと心配してたんですよ。
岡村:あ、おくりバントの話? おくりバントが問題おこしたら別会社ってことにしますよ。子会社に載せてないのもリスクヘッジですね(笑)
高山:いや登記とかされてるから、それ何のリスクヘッジにもなってませんからね!(笑)
岡村:こういうことって、どの会社でも起きるじゃないですか。どんな企業でもどんなに偉い人でも間違いは起きる。だからこそ、起きたあとが重要だと思うんです。きちんと謝罪して、対策して、これからどうするかっていうのが一番大事なんです。
僕がこの業界に入ったのは2000年頃でしたけど、モバイルからネット接続できるようになったばかりの頃はまだ大したサービスも無かったんです。そこに2004年、DeNAさんがモバオクっていうサービスを出してきたんですよ。
高山:当時はインターネットと言ってもPCがメインでしたから衝撃でしたね。
岡村:当時うちでもモバイルの広告事業をやっていました。広告事業をやってるとどの時代にも主力となるクライアント、火付け役のクライアントが必ずいるんですけども、モバイルは限られた業種がメインの広告主だったのでさほど盛り上がらなかったんです。それがDeNAさんがモバイルを一気に集客するために広告を出稿した時、モバイルの広告業界が爆発的に盛り上がったんです。
あれが多分、モバイル広告の始まりだったと思うんです。そして2006年に登場したモバゲータウンが、再びモバイル業界の流れを大きく変えたんです。
岡村:モバイル広告業界の初期、クライアントとしての火付け役がモバオク、メディアとしての火付け役がモバゲータウンだったんです。
そこからモバイル業界が凄い勢いで伸びてきて、色んな会社が恩恵を受けた。新しい会社が生まれ、事業が生まれ、雇用が生まれた。僕は業界のど真ん中にいたんでわかることなんですけど、その流れを作ったのってほんとにDeNAだったと思うんですよ。
その後もモバゲータウンのプラットフォームがオープン化され、ゲームデベロッパーが作ったゲームをユーザーに提供できるようになったことで今度はソーシャルゲーム時代がやってきました。新しい会社が沢山できて、色んなゲームが作られて、そのゲームを世界でも売ってこうぜっていう夢や希望まで生まれた。DeNAって、インターネット業界どころか日本の産業に常に火付け役として新しい何かを提供して、事業や産業が生まれるきっかけを作ってきた会社だと思うんです。
岡村:今回起きたことでDeNAさんは社会に多少なりとも迷惑をかけ、色々叩かれています。ただやっぱりDeNA社員の方々に言いたいのは、今回の件が起きたからといってDeNAさんの全てが否定されるわけじゃないっていうことなんです。
DeNAさんのこれまでの功績っていうのは、すっごい大きいものだと僕は思うんですよ。
DeNAってのはそういう会社だし、これからのインターネット産業をDeNAさんの社員は作ってかなきゃいけない。今回の件で、世の中に迷惑かけたその100倍200倍、世の中にもっともっと貢献できるようなサービスやプロダクト、産業を生み出して欲しい。DeNAさんのこれからに、僕は凄く期待しています。
高山:同じ業界でずっとやってきたからこそ、DeNAさんに対する特別熱い想いがあるんですね。やっぱりDeNA守安社長とも、共に戦い抜いてきた盟友的な間柄なんですか?
岡村:あ、守安さんとは何回かお会いしたことはありますね。ただその、僕ごときが気安く話しかけていいお方ではないんで、いつも遠目に「お疲れさまです…」みたいな、そういう感じですね。
高山:あ、岡村さんは末席にいる感じなんですね。
岡村:うん。
高山:そのわりにけっこう上から色々言いましたね……
岡村:恐縮です。